言ったらそこで試合終了ですよ

「お前らのせいだ」
リーダーが絶対言ってはいけない種類の言葉がある。
それを言った瞬間に、全ての信頼が失われるような言葉。
そして二度とその信頼が回復することがない言葉。
それは「お前ら(部下)のせいだ」という言葉である。
これはその言葉の正当性とは関係なく、言った瞬間に終わるものである。
その言葉が正しくても(実際に部下のせいで業績が低迷することはある)、それを言っちゃあおしまいなのだ。
今日はそんなことを書いていく。
「私は大丈夫」なんてことはない
今日のテーマを読んで「私は大丈夫」と思われる方もいると思う。
そんなヘマは犯さない。
「地雷ワード」を踏むことはない。
気持ちはわかる。
でも、そんなに簡単に「大丈夫」と割り切れないのが、この種の言葉なのである。
踏み越えてはいけない一線
今までの社会人生活において、あなただって自分の上司がその種の言葉を口にする瞬間に立ち会ったことがあるはずである。
それも普段からそのような言葉を口にするタイプではなく、意外な人が言うから記憶に残っているのではないか?
もちろんリーダーとなるくらいの人なので、誰だってその言葉が「ヤバい」ということはわかっているはずだ。
そこに踏み込んだら危険だということくらいわかっている。
でも、進んでしまう。
超えてはいけない一線を越えてしまう。
だから、これはとても怖いのだ。
挽回は不可能
普段なら絶対に通らない道も、追い込まれていたり、メチャクチャ疲れていたりすると、魔が差してそちらの方向にフラフラと行ってしまうのである。
そして気付いた時には後の祭りなのだ。
我に返った瞬間には、もう試合は終わってしまっている。
どんなに取り繕っても、言い訳を重ねても、正当性を主張しても、もう挽回は不可能だ。
地獄の日々
白状しよう。
僕もかつてこの種の言葉を言ってしまったことがある。
経験が浅い時に、そして追い込まれていた時に、それを部下のせいにしてしまったことがある。
言った瞬間、言葉が漏れた瞬間に、時が止まり、「終わった」と僕ですら感じたくらいである。
でも、言葉は元に戻らない。
もちろん時が経ち、ある程度当時の状況を客観的に見られるようになってくると、部下も許してくれるようにはなったけれど、それまでの期間は本当に地獄のようであった。
というか、部下が直接言ってくれるならまだマシなのだ。
でも、そうじゃなくて、自己嫌悪の渦に飲み込まれながら、それでも以前と同じように仕事をしなければならないのが本当に心に「来る」のである。
今でも対処できる自信はないけれど…
当時を振り返って、同じ場面に今の僕が直面したとしたら、それを防げるのかと考えることがある。
経験を重ねた今の僕なら、そのような事態に対処できるのか?
正直に言うと、あまり自信がない。
もちろん、自分なりにこうしたら良かったのではないか、と思うことはある。
でも、冷静になれるような状況じゃないから、その種の言葉を口走ってしまうのである。
だから、自信はない。
ただそれだとこの記事を読んで下さっている人には何の役にも立たないと思うので、僕なりの回避策を以下に書いていこうと思う。
そういう状況にならないようにする
まず大事なのは、「そういう状況に追い込まれないようにすること」である。
切羽詰まった状況、精神的に不安定になるような状況に追い込まれないように、成果なり評価なりを出しておく。
これでメンタルはだいぶ安定する。
自分がどんなに「小さな」人間であっても、その小さな自分と向き合わなくて済むような状況を作っておけば、「事故」になる確率は大幅に避けられる。
僕の場合は「営業」なので、成果が出ていないと追い込まれることになることが多い。
だから、成果を出しておく。
できれば、経歴として残せるくらいの成果を出しておく。
これが重要である。
その場から消える
そうは言っても、成果が上がらない局面は訪れる。
そして追い込まれることはある。
あと一歩で口走ってしまいそうになるくらいメンタルがやられた時、どのようにすればいいのか?
僕は「その場から消える」ことを意識している。
黙ること、口をつぐむこと、そして静かにその場から去ること。
それによって、少しだけ冷静になる時間を稼ぐのだ。
売り言葉に買い言葉
多くの失言というのは、「売り言葉に買い言葉」的な状況で生じてしまうものだ。
だから、この状況を自ら消してしまう。
ちょっと危ないなと感じたら、場を外してしまう。
トイレに行くなり、外に出るなりして、時間を稼ぐ。
そうやって蓋然性を消してしまうのである。
言葉は言葉を呼ぶ
あと、「言葉は言葉を呼ぶ」ということも意識しておくと良いと思う。
それは他人の言葉だけでなく、自分の言葉でも。
(僕はあまりないが)話しているうちにヒートアップして、口が滑ってしまうこともある。
それを防ぐためには、客観視することが大事である。
マネージャーというのはただの「役」に過ぎなくて、自分はただ舞台上で俳優として演じているだけだ、と考えること。
話している言葉は自分の心からの声ではなく、セリフであると考えること。
これをイメージしておくと、「事故率」は下げられると思う。
二度と御免だ
少なくとも、僕は今のところ1回だけで済んでいる。
その経験だけは二度としたくないから。
「そっち側」の人間になるほど、マネージャーとして仕事をしている上で嫌なことはないから。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
部下のせいだ、と思うのは、それを実現できないマネージャーの責任である。
冷静な時なら、そう思えます。
全ての責任はマネージャーにある。
そんなの当たり前の話です。
ただ、これがどうにもならないくらい追い込まれることがある。
その時に本当の人間性が出ます。
弱い自分と向き合っていきましょう。