仕事の最大積載量を考える

仕事は自己増殖するもの
あなたが何か新しいことをやろうとした時に、部下がイマイチ乗ってこない、そういうことはないだろうか?
内容自体は悪くないはずなのに、なぜかチームのテンションが上がっていない。
そんな時は「仕事の最大積載量」を考えてみると良いと思う。
以前にも書いたことであるけれど、仕事というのは放っておくと、自己増殖していくものである。
人が代わったり、仕組みが変わったり、その他諸々の理由で、新しい仕事が増える。
そしてその仕事が減ることはない。
そのように仕事がオンされた状態の上に、また人が代わったり、仕組みが変わったりして、新しい仕事が乗っていく。
そのような積み重ねによって、いつしかキャパシティを超える。
それではテンションは上がらない。
今日はそんなことを書いていく。
増やすことよりも減らすことを
加算よりも減算。
マネジメントをやる人間なら、どこか頭の片隅に入れておいた方が良い概念がこれである。
兎角新しいことをやりたくなるのが人間の常ではあるのだけれど、そこをぐっと堪えて、まず無駄な仕事を減らすことを意識する。
このような仕事の棚卸しというのは、日常の中では中々できないものだ。
だから人が代わったタイミングや、決算期が終わったタイミングなど、何らかの節目で「えいやっ」とやってしまうことが大事である。
仕事を無くせば部下のモチベーションは上がる
僕は自分が新しいチームに着任した時にまず考えるのがこれである。
どれが無駄な仕事なのか?
やらなくていいことは何なのか?
それを無くすことほど、部下のモチベーションを上げるのに簡単なことはない。
だからまず削減する。
それを意識して欲しい。
軽い車はスピードが出る
すると、チームというのはだいぶ身軽な状態になる。
車で考えればわかると思うけれど、積載量が減ると燃費が良くなる。
軽くアクセルを踏むだけで、スピードも出るようになる。
そうは言っても、必要最低限の仕事だけでは成果は上がらない。
だから、そこに自分なりの戦術・戦略を積んでいく。
その重量は、やるレベルや負荷によって異なると思うけれど、大事なのは最大積載量を意識して、徐々に荷重を増やしていく、というイメージである。
「折角軽くなったのに」と部下に思わせないように、適度な重量のものを乗せる。
それに慣れてきて、ある程度負荷がかかった状態であってもスピードが出せるようになってきたら、更にもう1つやりたいことを乗せてみる。
そしてまた暫くその状態で走らせる。
こんな感じでチームを運営していくことが大事だ。
筋力が増す
新しいことというのは、成果が出るまで暫く時間がかかる。
時間をかけるのは、その効果を見極めるという意味がある。
そして今回のテーマに合わせて更に付け加えるとするなら、「筋力をつける」ということも関係してくるのだ。
ある程度の負荷がかかった状態で暫く走っていると、部下もその状態に慣れてくる。
そして車と違って、人間というのは筋力が増していく。
だから、適切な斤量で走らせることができれば、チームというのは全体的にレベルアップしていくのである。
適切な負荷とは?
ただ、多くのマネージャーはこの辺の「勘所」がよくわからないようである。
削減をしない状態で新しいことをやろうとする人が多過ぎるのだ。
企画自体は決して悪いものではなくても、部下全体の余裕がなくなっている状態では、「無理っす…」というネガティブな反応を引き起こしてしまうのである。
それをどう見極めるか?
「適切な負荷」をかけ続ける為にはどのようなことに注意すればいいのか?
それを以下に書いて、今回の話を終えようと思う。
無駄な仕事は思っているよりも多い
部下から出る不満には、「量」的なものと「質」的なものがある、と僕は思っている。
そして今回のテーマに即して言うなら、「量」的な不満が出ている内は、仕事の削減量が足りない、ということになる。
やや感覚的なものにはなってしまうけれど、「無駄な仕事」というのは自分が思っているよりもやや多い、というイメージは大事である。
マネージャーに見えていない部分で、無駄な仕事というのはたくさんある。
「洗い出して?」と頼んでも出てこない類の仕事。
それもわざと出していないのではなくて、部下も無意識でやってしまっているの(体に染みついているの)で、出てこないような仕事。
それらを吐き出させ切ったくらいが、スタートなのである。
量的な負荷と質的な負荷
そこから荷重をかける。
すると、それ以降は「量」的な不満よりも、「質」的な不満の方が増えていく。
そして「質」的な不満が出ている間は、負荷の「量」は適切なのである。
もちろん「質」の部分、内容ややり方みたいなものはチューニングする必要はあるのだけれど、斤量は適切であるので負荷の「量」はそのまま行く。
チューニング作業をして一定時間は知らせた後、「質」的な不満も少なくなってきたら、更に負荷をかけることを検討する。
それを繰り返していく。
そんなイメージである。
もちろん部下それぞれによって個人差はあるけれど、部下の不満の内容を見極めながら、負荷の度合いを変えていくことがマネージャーには求められるのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「イノベーションを起こすにはどうしたらいいか?」というのは、現代のどの企業にいても共通の悩みだと思っています。
僕の答えは「暇にさせる」というものです。
ルーティンの仕事を減らすことで、仕事には余白が生まれます。
人間というのは、暇な状態にずっとは耐えられないもので(何日かなら可能)、その空いた時間で何か新しいことをやろうとするものです。
僕たちマネージャーの仕事はその種(シード)みたいなものを一緒に面白がることです。
無駄な負荷を減らしていきましょう。