仕事の最大積載量を考える

UnsplashHan Chenxuが撮影した写真

仕事は自己増殖するもの

あなたが何か新しいことをやろうとした時に、部下がイマイチ乗ってこない、そういうことはないだろうか?

内容自体は悪くないはずなのに、なぜかチームのテンションが上がっていない。

そんな時は「仕事の最大積載量」を考えてみると良いと思う。

以前にも書いたことであるけれど、仕事というのは放っておくと、自己増殖していくものである。

人が代わったり、仕組みが変わったり、その他諸々の理由で、新しい仕事が増える。

そしてその仕事が減ることはない。

そのように仕事がオンされた状態の上に、また人が代わったり、仕組みが変わったりして、新しい仕事が乗っていく。

そのような積み重ねによって、いつしかキャパシティを超える。

それではテンションは上がらない。

今日はそんなことを書いていく。

増やすことよりも減らすことを

加算よりも減算。

マネジメントをやる人間なら、どこか頭の片隅に入れておいた方が良い概念がこれである。

兎角新しいことをやりたくなるのが人間の常ではあるのだけれど、そこをぐっと堪えて、まず無駄な仕事を減らすことを意識する。

このような仕事の棚卸しというのは、日常の中では中々できないものだ。

だから人が代わったタイミングや、決算期が終わったタイミングなど、何らかの節目で「えいやっ」とやってしまうことが大事である。

仕事を無くせば部下のモチベーションは上がる

僕は自分が新しいチームに着任した時にまず考えるのがこれである。

どれが無駄な仕事なのか?

やらなくていいことは何なのか?

それを無くすことほど、部下のモチベーションを上げるのに簡単なことはない。

だからまず削減する。

それを意識して欲しい。

軽い車はスピードが出る

すると、チームというのはだいぶ身軽な状態になる。

車で考えればわかると思うけれど、積載量が減ると燃費が良くなる。

軽くアクセルを踏むだけで、スピードも出るようになる。

そうは言っても、必要最低限の仕事だけでは成果は上がらない。

だから、そこに自分なりの戦術・戦略を積んでいく。

その重量は、やるレベルや負荷によって異なると思うけれど、大事なのは最大積載量を意識して、徐々に荷重を増やしていく、というイメージである。

「折角軽くなったのに」と部下に思わせないように、適度な重量のものを乗せる。

それに慣れてきて、ある程度負荷がかかった状態であってもスピードが出せるようになってきたら、更にもう1つやりたいことを乗せてみる。

そしてまた暫くその状態で走らせる。

こんな感じでチームを運営していくことが大事だ。

筋力が増す

新しいことというのは、成果が出るまで暫く時間がかかる。

時間をかけるのは、その効果を見極めるという意味がある。

そして今回のテーマに合わせて更に付け加えるとするなら、「筋力をつける」ということも関係してくるのだ。

ある程度の負荷がかかった状態で暫く走っていると、部下もその状態に慣れてくる。

そして車と違って、人間というのは筋力が増していく

だから、適切な斤量で走らせることができれば、チームというのは全体的にレベルアップしていくのである。

適切な負荷とは?

ただ、多くのマネージャーはこの辺の「勘所」がよくわからないようである。

削減をしない状態で新しいことをやろうとする人が多過ぎるのだ。

企画自体は決して悪いものではなくても、部下全体の余裕がなくなっている状態では、「無理っす…」というネガティブな反応を引き起こしてしまうのである。

それをどう見極めるか?

「適切な負荷」をかけ続ける為にはどのようなことに注意すればいいのか?

それを以下に書いて、今回の話を終えようと思う。

無駄な仕事は思っているよりも多い

部下から出る不満には、「量」的なもの「質」的なものがある、と僕は思っている。

そして今回のテーマに即して言うなら、「量」的な不満が出ている内は、仕事の削減量が足りない、ということになる。

やや感覚的なものにはなってしまうけれど、「無駄な仕事」というのは自分が思っているよりもやや多い、というイメージは大事である。

マネージャーに見えていない部分で、無駄な仕事というのはたくさんある。

「洗い出して?」と頼んでも出てこない類の仕事。

それもわざと出していないのではなくて、部下も無意識でやってしまっているの(体に染みついているの)で、出てこないような仕事。

それらを吐き出させ切ったくらいが、スタートなのである。

量的な負荷と質的な負荷

そこから荷重をかける。

すると、それ以降は「量」的な不満よりも、「質」的な不満の方が増えていく。

そして「質」的な不満が出ている間は、負荷の「量」は適切なのである。

もちろん「質」の部分、内容ややり方みたいなものはチューニングする必要はあるのだけれど、斤量は適切であるので負荷の「量」はそのまま行く。

チューニング作業をして一定時間は知らせた後、「質」的な不満も少なくなってきたら、更に負荷をかけることを検討する。

それを繰り返していく。

そんなイメージである。

もちろん部下それぞれによって個人差はあるけれど、部下の不満の内容を見極めながら、負荷の度合いを変えていくことがマネージャーには求められるのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

「イノベーションを起こすにはどうしたらいいか?」というのは、現代のどの企業にいても共通の悩みだと思っています。

僕の答えは「暇にさせる」というものです。

ルーティンの仕事を減らすことで、仕事には余白が生まれます。

人間というのは、暇な状態にずっとは耐えられないもので(何日かなら可能)、その空いた時間で何か新しいことをやろうとするものです。

僕たちマネージャーの仕事はその種(シード)みたいなものを一緒に面白がることです。

無駄な負荷を減らしていきましょう。