小さな勝利を積み重ねる

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勝ちの価値を上げていく

今日はベタ過ぎて今まで書いていなかった話を。

それは「小さな勝利を積み重ねる」ことの大事さについてである。

チームが停滞していたり、負け癖がついていたりすると、そこから浮上するのはなかなか難しい。

特に人(メンバー)の入れ替えがあまりない場合には、その難易度は更に上昇する。

そしてその際にマネージャーにできることは限られている。

さて、何をするか?

僕が普段から心掛けているのは、理想を追うのではなく、現実を見ることである。

やりたいサッカーをするのではなく、できるサッカーをするのが僕の信条である。

そこで大事なのは、現有メンバー現有戦力の中で、何を「勝ち」と定義するか、である。

そしてその定義した「勝ち」を愚直に続けながら、「勝ち」の「価値」(ダジャレみたいだが)を少しずつ上げていくことである。

それでは始めていこう。

勝ちパターン

自分が思い描いているチームと現実のチームのギャップ。

マネージャーになった人であれば、誰もが感じたことのあるものだと思う。

そして、往々にして、マネージャーというのは勝ちパターンを持っているので(だからこそマネージャーにもなれたのだろう)、そのやり方をチームにも当てはめようとしてしまう。

勝ちの基準を下げる

いや、「してしまう」と書いたけれど、これはある種当然のことでもある。

自分が経験してきた勝ち方を、自分のチームに適用しないなんて勿体ないからだ。

でも、残念ながらチームのメンバーはあなたではない。

あなたほどの能力がないことが殆どだ。

なぜ(こんな簡単なことが)できないんだ?

あなたは幾度となくこう思うことになる。

そして、その度に部下の不甲斐なさに腹を立てたりする。

もしかしたら、言ってはいけないようなキツい言葉を発してしまったりもする。

でも、何も変わらない。

強く言っても、厳しくしても、アメで釣っても、チームの成果は芳しくないままだ。

さて、どうする?

僕からのアドバイスはこうだ。

「勝ち」の基準を下げなさい。

そしてその下げた「勝ち」を続けなさい。

意味? 大義? ナニソレオイシイノ?

僕自身もそうだったのだけれど、この程度を「勝ち」と表現してしまっていいのか、と不安になるくらい勝ちを細分化していくことがとても大事なことである。

これは実際にやってみると、本当に不安になると思う。

ある種過去の自分の否定にさえ繋がるからだ。

「こんなものを勝ちと言ってしまっているオレって何なのか?」という別の葛藤がそこには生じるのだけれど、その内面の声を一切無視して、とにかく勝ちの価値を小さなものにしていく。

誰でもできるくらいのレベルのものにしてしまう。

恥ずかしさも、意味も、大義みたいなものも、全てかなぐり捨ててそうするのだ。

誰だってできるものでOK

そして、その小さくなった「勝ち」を確実に積み上げていく。

もしその「勝ち」が続けられないのであれば、それはもしかしたらまだサイズが大きいのかもしれない。

その場合は、更に「勝つ基準」を引き下げていく。

「こんなの誰だってできるだろう」という言葉はタブーだ。

そのくらいの些細な勝利を、着実にできるように繰り返していくことが重要なのだ。

極小の勝利を

馬鹿らしい。

阿保くさい。

その気持ちもよくわかる。

でも、負けているチームに変化をもたらすためには、このくらいの本当に「極小の勝利」が必要なのだ。

そんな勝利に何の意味がある?

本質的ではないのではないか?

そんな疑念は一切無視だ。

そんなことは承知の上で、やっていくのである。

僕はグー。あなたはパー。

ここで厄介なのは、普段からできていない部下ですら、「こんなことに何か意味があるのですか?」と言い出すことである。

求められている水準から遠く離れた部下が一丁前にこんなことを言うと、流石のあなたも怒りを感じるかもしれないが、それも無視して、とにかく小さな勝利を続けていく。

例えが適切ではないかもしれないが、「僕は毎日グーを出すから、みんなは毎日パーをきちんと出してね♡」くらいのレベル感で最初は構わない。

どんなにしょうもなくても、この「勝つ」という経験が何よりも重要なのだ。

もっと言えば、毎日パーを出すことすら危ういメンバーがいるから、勝てていないのである。

それをきちんとやってもらう。

こんなもの、目をつぶっていたって、鼻くそをほじりながらだって、できるものだ。

オーケー、オーケー。

それでいいのだ。

勝つ習慣を

これを続けていると、不思議なことに、勝つという習慣が当たり前のものになってくる。

何かの課題をクリアすることが当たり前になってくる。

逆にそれができないと、気持ちが悪くなってくる。

この感覚が重要なのだ。

そして多くのメンバーというのはこの感覚が希薄(過ぎる)のである。

たぶんマネージャーになった多くの人は、課題をクリアすることを目指し、成功すれば喜びを、失敗すれば悔しさを感じるだろう。

でも、残念ながら、できないメンバーはこの感覚がわからないのだ。

わからない、ということ言葉が強いかもしれないけれど、実感として伝わらないのだ。

だから、それを体感してもらう。

それがたとえ「極小の勝利」でも。

あとは、ちょっとずつその勝利の価値を上げていけばいいのである。

いつしか、「常勝」のチームができているはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

悔しさを感じない人達。

それができない人の特徴です。

いや、別に仕事に悔しさを感じて欲しいということを言いたい訳ではありません。

ただ、「何が楽しいのだろう?」とは思ってしまうのです。

仕事なんてゲームの一種でどうせゲームをやるなら(やらなければならないなら)勝つ方法を考えて取り組む方が楽しいと僕は思うのですが、多くの人はそうは思わないようで、ただ漫然と仕事に向かっています。

そして、その人たちに強要するつもりはありませんが、マネジメントという仕事をする上では、この種の人たちを勝たせるように仕向ける必要があります。

そこで大事なのが「習慣の力」を借りることです。

惰性。慣性。

この種の人たちは、昨日までのことを今日同じように続けることが大好きです。

馬鹿らしいくらいの小さな勝利を積み重ねていきましょう。