キレたり、スネたり、イジケたり

UnsplashHunter Johnsonが撮影した写真

パワハラと逆パワハラ

あなたの部下の中に、モンスター社員はいませんか?

今日はそんな書き出しで文章を始めてみる。

というのも、パワハラはだいぶ世間的に取り締まりが厳しくなって少なくなってきたのに対し、逆パワハラは未だに残存し続けているように感じるからだ。

というか、むしろ増えているようにすら感じる。

その結果、「正当防衛」すらできず、殴られるままになっているマネージャーが相当数いて、その中にはメンタル不調に陥る者だっている。

また、会社もそのような者に対して何か具体策を取るでもない。

そんな「自分の身は自分で守るしかない」環境の中で、モンスター社員とどのように向き合っていくか?

今日はそんなことを書いていこうと思う。

モンスター社員の特徴

やりたいことしかやらない。

でも、そのやりたいことが社内的に通らないと、すぐに感情的になる。

そして「こんな会社はダメだ」とスネ始め、社内評論家のように偉そうなことばかり言っている。

何か指示をすれば、「それって何の意味があるんですか?」と世の中を全て知ったような顔で反論してくる。

でも、実力はない。

その実力のなさを論理的に指摘すると、すぐにイジける。

一旦イジけ始めると、ずっとそのまま。

だから、気を遣って適度に褒め、自信を回復させてあげなければならない。

自信が回復すると、やりたいことしかやらなくなる。

以下、繰り返し。

言葉を伝える能力と受け止める能力の欠如

ここ最近増えてきたと感じるタイプのモンスター社員の特徴を書いてみた。

この種の人は、自信家であると同時に自分の実力のなさも自覚していて、でも他者に対しては辛辣で、メンタルも弱い。

そして何よりも、言葉を伝える力、言葉を受け止める力、が圧倒的に不足している。

何かを伝える、ということは、アナログなものだ。

デジタル(0,1)のように、入力があるか、ないか、ということではない。

グラデーションのように、伝わり方には幅があり、濃淡がある。

その調整をするのが、言葉を伝える力(受け止める力)だ。

ニュアンスを感じ取る能力の欠如

これはニュアンスを感じ取る(嗅ぎ取る)力の欠如、とも言えるかもしれない。

文脈を無視した、センテンスだけをその字面通りに受け取る人たちもこのカテゴリーに入る。

だから、何かのワードを言えば、すぐに「パワハラだ!」と叫ぶのだ。

今風に言えば、「切り取り」の動画みたいなものである。

大事なことは、結論だけにあるのではない。

キレるとキレない(やりたいこととやりたくないこと)の間には、グラデーションがあるもの

それは小説の読み方に似ている。

というか、本全般に言えることかもしれない。

本を要約して読もうとする人を僕が毛嫌いしているのは、きっとそういうことなのだろう。

感情もデジタルなものではない。

キレるとキレないの間には、様々な感情の動きがある。

それが彼(彼女)らにはわからないのだろう。

そして、やりたいこととやりたくないことの間にも、様々なグラデーションがある。

やってみなければわからないこと。

嫌々やってみることで、自分の可能性が開けることだってあること。

それが彼(彼女)にはわからないのだろう。

まともに組み合っても殴り殺されるだけ

この種の人たちに対して、まともに組み合う必要はないのだと僕は思っている。

もちろん、日々上司と部下という関係性の中では、否が応でも顔を合わせなければならないのは事実だ。

でも、以前にも書いたように、真っ向勝負はやめた方が良い。

ただ、無抵抗のまま、殴り殺されて終わるから。

会社も守ってはくれないから。

パワハラ・上から目線・思い出補正

それなりの気持ちを込めて、その人の将来を憂いて言った言葉は「パワハラ」と解釈される。

その人の為を思って言った言葉は「上から目線」と捉えられる。

自分の経験談を話せば、「思い出補正」と揶揄される。

それならそれでいいのでは?

黙祷を

僕は以前、この種の人に対しては「軽く無視をする(しかない)」ということを書いた。

それなりに強い言葉であったので、反感を買うかなと思っていたけれど、共感を覚えてくださった方もいる。

そう。

そのくらいマネージャー(特にミドル)は厳しい立場にいるのだ。

「逆パワハラを苦に自殺した」というニュースを見るたびに、僕は我が事のように胸がギュッと苦しくなる。

きっと責任感が強い人だったんだろうな。

きっと真面目に仕事に取り組んでいたんだろうな。

そのように想いを馳せる。

黙祷、というと大げさかもしれないけれど、僕なりの共感というか同情というか、そういった気持ちが芽生えるのは事実だ。

だから、同時代に生きているマネージャーには、そうなって欲しくないのである。

正当防衛もしくは逃走を

あなたが真面目に向き合おうとしたところで、そいつが変わることはない。

もちろん、最善は尽くすべきだ。

でも、それ以上のことはあなたの仕事ではない。

テキトーに付き合って、テキトーにマネージャーとしての仕事を全うすればいい。

何か具体的な被害が生じるなら、エビデンスを取って、会社にきちんと報告することも必要だ。

自己防衛はパワハラではない。

正当防衛は許される権利だ。

それでもダメなら、逃げたってOK。

身を守ることが最優先だ。

別のところでその能力を発揮しようぜ?

向き合い方、なんて大風呂敷を冒頭で広げた割には、しょうもない回答かもしれない。

でも、それくらい過酷であること、孤立無援であることは、同じ仕事をしている僕はわかっているつもりである。

大事なのは生き延びることだ。

あなたの誠意や責任感は別のところでもっと役に立つはずだから。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

モンスターに対して寛容な社会。

そう感じることがあります。

その度に正当防衛くらいはさせてくれよ、と思います。

多くの人たちが「子ども」のままでいるのは、その方がコストパフォーマンスが良いからです。

そのような人たちの累計が、僕たちがいるこの社会を形作っています。

それでいいなら、いいけれど。

僕は「大人」たちと仕事をしたいと思っています。

適切な対応は無責任でも非情でもありません。

自らの身を守っていきましょう。