感情的になったら負け
マネージャーの機嫌がチームに与える影響は絶大
マネージャーにとって大切なことの1つに、キレないことがある。
どんな状況においても平静を装い、安定した情緒でいること。
これは何てことないことのように思われるかもしれないけれど、チームや部下に与える影響は絶大である。
もちろん、キレそうになることはたくさんある。
マネージャーだって人間なので、それも自分では考えられないような事態を部下は簡単に引き起こしてくるので、感情が波立つことは確かにある。
でも、それをグッと堪え、表には出さないようにする。
過去に起きたことを責めても、そこをいくら糾弾しても、現在の状況は変わらない。
「さてさて、じゃあどうしようか?」というところに意識を向けていくこと。
それがキレない為には重要である。
それでは始めていこう。
感情が安定しないと、パフォーマンスも安定しない
皆さんが思う、嫌いな上司の特徴はどんなものだろうか?
ちょっとだけ考えてみて欲しい。
もちろん色々な特徴が挙げられるとは思うけれど、少なからずトップ10(もしかしたらトップ5)までには「すぐ感情的になる」という項目が入るだろう。
それくらい人は感情が安定していない上司を嫌う。
それはなぜか?
たぶん、ビジネスに、それもマネジメントという仕事に、感情の変動はそこまで必要がない、と考えられている、ということだと思う。
もう少し言うと、感情が安定しないとパフォーマンスが安定しない、ということを、僕らは何となく(薄々)気づいているということなのだろう。
ダメな人認定の要素
これはスポーツの世界でも同様だ。
熱し過ぎず、冷め過ぎず、丁度良いメンタルの状態(ゾーン)の時に、身体は最大限の能力を発揮する。
それは狙って再現できるものではないにせよ、そのような方向に意識を向けることはできる。
そして多くのアスリートが言うのは、ゾーンに入る為には極限の緊張状態からリラックスの方向に意識を向けていくことが重要である、ということである。
もちろん、ビジネスにゾーンが必要であるとまでは流石に言えない。
悲しいかな、我々の仕事というのはそこまでの仕事ではない。
ただ、マネジメントという仕事を少しでも高いレベルで行いたいのであれば、このようなイメージは必要不可欠である。
それは部下などの周囲からの信認低下の要素が、キレているそのこと自体にあること(大体の議論はこの部分の話だ)に加え、潜在的にこの人は高いパフォーマンスを安定的に発揮することができない人物であるということを本能的に理解してしまうところにあるような気がしている。
キレる上官? 願い下げだ!
仮に戦場にあなたが兵士として立っているとする。
そしてあなたの上官(指揮官)の感情が安定しないとする。
その指揮内容、作戦をあなたは信じることができますか?
作戦の決定が、何かに対する激昂から為されているとしたら?
その作戦を信じ、命を捧げることはできますか?
たぶん(というか絶対)無理だろう。
そう、指揮官というのは、そういうポジションなのだ。
もちろん、頭が切れるだとか、胆力があるだとか、カリスマ性があるだとか、その他の要素も指揮官には求められるだろう。
でも、仮にそれらを全て備えていたとしても、感情が安定しない人に命を預けることはできない、そのように思うのだ。
俯瞰で見る
では、キレない(感情を安定させる)為にはどうしたらいいのだろうか?
あまりのめり込まない、というのがその(1つの)回答である。
俯瞰から見るというか、自分を客観視してしまうというか、1人称をやめて、3人称的な視点からその状況を眺めることで、視野が狭くならないようにすることが大事である、と僕は考えている。
キレる、というのは、その渦中にいる、というニュアンスに近いものである。
当事者である、というか。
でも、ことマネジメントという仕事においては、自分がその渦中にいる、ということは起こりづらい。
部下なり、上司なり、会社なり、他者がトリガーとなり、イベントが起こるから。
そしてマネージャーの仕事というのは、そのリアクション(アクションではなく)が中心であるから。
それを引きで眺める。
主観で見るのではなく、客観で見るようにする。
自分の後頭部をカメラが捉えているかのようなイメージを持ちながら、セリフを発する。
もしかしたら、そこにモノローグやナレーションを付け加えても良いかもしれない。
僕はそんな風に思うのである。
面白がってしまえ
それはある種戯画化に近いものである、とも言える。
自分を客観視し、巻き込まれた状況を茶化し、コメディに転化してしまうこと。
「やれやれ、また厄介なことに巻き込まれてしまった…」であるとか、「そう。ウエノという人物は、歩けば不幸に直面するという星の元に生まれてきてしまった人物なのである」というようなコメントを付ける。
そして、「面白くなって来やがったぜ」とニヤリと笑う。
あくまでも仕事の話なのだ。
命を取られる訳じゃない。
ましてや、自分だけで処理する訳でもない。
淡々と、職務を遂行すればいいだけなのである。
そのような心持になれた時、自分から解き放たれた時、マネジメントという仕事はちょっと面白くなってくる。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
以前にも書いたかもしれませんが、自分の感情が不安定になりそうになった時、僕はモノローグを付けることを習慣としています。
「この時のウエノはまだ知るよしもなかった。これから甚大な被害が生じるということを…」みたいなナレーションを頭の中に流し、そこにいる渦中の僕を第三者化してしまいます。
マネージャーなんてものは、ただの「役」です。
上手に演技していきましょう。