最初に話しかけてくる奴に気をつけろ!
職場で浮いている人が最初に話しかけてくる
マネージャーとして新しい職場に着任した時、どのようにコミュニケーションを取っていくか?
これはマネージャーのタイプによってそれぞれ違うとは思うけれど、僕の今日のアドバイスは「最初に話しかけてくる奴には気を付けた方がよい」である。
それはなぜか?
そういう奴は職場で「浮いている」可能性が高いからだ。
もう少し詳しく説明する。
一般的に、新しい職場に来た新しい上司に対してはまず様子を見るという人が多いと思う。
その人がどのような人なのか、どのようなコミュニケーションスタイルを取るのか、ある程度の距離を取って、間合いを伺う。
周囲の人の話や、情報や、話している様子から、おっかなびっくりでまず話しかけてみる。
こんな具合だと思う。
でも気をつけなければならないタイプの人は、初手から一気に間合いを詰めてくる。
図々しいというか馴れ馴れしいというか、妙に親しげな様子を取ってくる。
こちらも新しい職場で緊張していたりするので、積極的に話しかけてくれると嬉しくなって、「ああ、良さそうな人だな」なんて思ってしまう。
これは要注意だ。
チーム内の相対的な人間関係を注視する
「いやいや、そんなの考えすぎですよ」
そんな声が聞こえてくる。
でも本当にそうなのだ。
上手く言えないけれど、こういう人はマネージャーを値踏みしている。どの程度の力量なのかを一番に把握したいと思っている。
そして「新しいマネージャーとすぐに仲良くなることができる私」を演じようとする。
そこにはもちろんマネージャー自分の仲間に組み入れたいという下心があるし、他のメンバーに対する優越性の誇示という側面がある。
それを他のメンバーは実は冷ややかに見ていたりする。
だからマネージャーが安易にここでこの人を頼りにしたりしてはいけないのだ。
強い言葉で言うのであれば、この人が地雷である確率が非常に高いからだ。
この地雷タイプの人は、周りのメンバーから浮いていて、だからこそマネージャーと親しくなりたいと思っている。
できるだけ媚を売って、自分の課における相対的な位置を上げたいと思っている。
そういう振る舞いを他のメンバーはわかっているので、ここでマネージャーがその人を「いい人認定」してしまうと、出だしから他のメンバーの評価はダダ下がりとなる。
「ああ、こいつは表面しか見られないボンクラだな」という評価からスタートすることになる。
もしあなたが他のメンバーと打ち解けられていないのなら、身近な人を疑った方がいいかもしれない
被害妄想的過ぎる?
いや、そんなことはない。
本当に実態に即したことを言っているつもりだ。
たぶんどのマネージャー本にも書いていないだろうけれど、こういうことが実務上では結構大事だったりする。
僕は営業の経験が長いので、初見でその人が「ヤバい人」かどうかがわかる。
というか、「わかる」ところまではいかないまでも、その臭いをかぎ取ることはできる、という言い方のほうが正確かもしれない。
理由はわからないけれど、何となく違和感がある、という感じだ。
だけど、あまり営業慣れしていない人はこの部分がどうやらわからないようだ。
そのままの表面上の印象で、まんまと騙されていたりする。
そして本人もしばらくそのことに気付かないままチームの運営を行っていて、「どうして他のメンバーとうまく打ち解けられないのだろう」と思っていたりする。
そこが一番の原因であるとは全く考えずに。
もちろん稀に本当に良い人がいたりするのだけれど、その「本物」との違いは臭いが嗅げない人にはわからないと思うので、一般的には「最初に話しかけてくる奴に気を付けた方がよい」と言っておこうと思う。
人間関係は面倒くさい
マネージャーになると、人間というのは本当に複雑で面倒な生き物だということを折に触れて実感することになる。
人間の負の部分というか闇の部分というか、ドロドロとしたものというか、そういうものが見えてきて、本当に人間不信になる。
職場だけで見えている部分というのは本当にごく僅かで、それ以外の領域で色々な情報が飛び交っている。
これは男女問わずそうだ。
噂話や妬みや嫉みや色仕掛けや媚びへつらいや悪口や悪態や、そういうもので息苦しく、溺れそうになる。
だからと言って距離を取りすぎるのもよくないのだけれど、「人間というのはそういうものだ」ということを知った上で業務に取り組むのと取り組まないのでは、大きく仕事に対するストレスの度合いが変わってくる。
だからこそ拙速に物事を判断してはいけないし、愛想の良い奴に安易に騙されてはいけないのだ。
全体的に脅すような物言いになったけれど、マネージャーになるというのはそういうことを含んだものだ、ということを理解してもらいたくて今回はこのテーマを書いてみた。
人間不信にならないために
人間は本当に汚い生き物だ。
疑心暗鬼になるし、信じるに値するようなメンバーはいないように思える。
自分がやっていることはただの独り舞台で、嘲笑と冷ややかな視線しかない、本当にそういうことを感じる場面が必ず来る。
それをデフォルトとして仕事に取り組む。
すると、時々ごく稀に本当に素晴らしい瞬間に立ち会うことができたりする。
信頼できる部下と仕事ができたりする。
それは奇跡のような確率だ。
でもそれを信じて仕事をすることが大事だ。
僕は自分にそう言い聞かせて今日も仕事に行く。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
職場内において「どこまで距離を詰めるか」というのはとても難しい問題です。
僕は基本的にはアウトボクシングでいきたいのですが、時にインファイトも行わないとチームを改善させることはできません。
逆にインファイトばかりやっていると、人間関係のヘドロに飲み込まれて仕事が本当に嫌になってきます。
程々の距離感を保つ、と口で言うのは簡単ですが、実践するためには相応の訓練が必要です。
傷にワセリンを塗りながらも、ダウンすることがないよう、適切に戦っていきましょう。