名刺の肩書きをストラテジストに変えたら笑われるだろうか?

UnsplashStartaê Teamが撮影した写真

マネージャーとストラテジスト

「まあ、笑われるよね」というのが今回のテーマの回答ではなく、マネージャーではなくストラテジストというイメージを持つことが大事なのではないかと思ったので、今日はそれを文章にしてみる。

マネージャー(manager)という言葉は、どうしても「マネージする人」というイメージを喚起しやすい。

もちろん、業務内容はマネージ(管理)的な要素が強いことは事実だ。

ただ、あまりにもそちら側に寄り過ぎている人が多いのではないか、という印象を僕は持っている。

マネージャーは管理(だけ)をするのが仕事ではない。

もっと戦略家(ストラテジスト)的な要素が含まれている。

だから、名刺の肩書きを変えなくても、自分にはストラテジスト的な要素がある、ということを意識するだけで、仕事の内容が変わるような気がしたので、それについて今日は書いていこうと思う。

それでは始めていこう。

目標やスローガンやプロパガンダは戦略ではない

僕はこのブログ立ち上げ当初から、戦略が大事、ということを言い続けている。

それはあまりにも戦略というものが蔑ろにされていると感じるからである。

というか、戦略が蔑ろにされているという考えすら持っていない人が殆どであると思っているからである。

僕がよく見る(聞く)戦略というのは、目標やスローガンやプロパガンダのどれかである。

また、特に日本においては、「そのような心持ちだから、失敗するのだ」「そういう気持ちが、失敗を呼び込むのだ」というような敗北主義的な風味がそこに加えられる。

戦略というのは、目標でもスローガンでもプロパガンダでもない(もちろん敗北主義でもない)。

では実際にどうするのか、という具体的な方策が含まれているものが戦略なのである。

そして、そこには選択と集中というか、やるべきことが絞られている(やらないことが明確になっている)必要があるのだ。

総花的な「戦略」と、業務内容を横文字にしただけの「戦略」

これも日本的な特徴なのかもしれないけれど、総花的な「戦略」を僕はよく見聞きする。

きっと関係各所の調整が上手くいかなかったのだろう。

それぞれのアイディアを取り入れた、玉虫色の「戦略」。

そこには美辞麗句も多分に含まれている。

でも、何も言っていない。

そうなのだ。

大半の「戦略」と呼ばれるものは、何も意味していないことが多い。

もし時間があるなら、自社の戦略と呼ばれるものを一読して頂けたら、僕が言っていることがわかると思う。

それっぽいことを書いているけれど、それって当たり前だよねというか、業務内容をただ繰り返している(言い換えている)ようなものが大半なのが現状である。

戦略はレバレッジを掛けられる

これを変えなければならないと僕は思っている。

もちろん、全社レベルの戦略を変えることは我々のようなミドルマネージャーには不可能である。

ただ、自分が指揮するチーム内であれば、それは可能である。

そして、それは相当な効果を発揮する。

汗水垂らして必死に働いているよりも(もちろんそれも大事なことではあるが)、大きな成果を簡単に上げられるようになる。

その為には、マネージャーというよりもストラテジストというイメージを持つことがとても大事なのである。

「考えること」の重要性を

「課長は暇そうでいい」

これも僕がこのブログの立ち上げ当初からずっと言っていることである。

これを今回のテーマに即して言い換えてみる。

「ストラテジストは暇そうでいい」

どうでしょうか?

課長が暇そうにしているよりも、何か深遠なことを考えているような響きが出てきませんか?(そうでもないか…)

上手く表現できなかったけれど、ストラテジストというイメージには「考える」ことに重きが置かれているような印象が僕にはある。

一方、マネージャーでは「考える」ことはそれほど重要視されていないような感じだ。

だから、そういう意味では、マネージャーにもっと「考える」というイメージを付与したい、付与した方がいいのではないか、というのが今回の趣旨になると言えるのかもしれない。

現状分析・一貫した方針・具体的な行動

大事なことは現状を分析すること、そこから出てくる課題に対して一貫した方針を示し具体的な行動に落とし込むことである。

これらはどれも欠かしてはいけない。

現状分析をテキトーにやって、ノリとテンションだけで戦略を策定するなんてことは愚の骨頂である(でも、多くの人は結構このようなことをやっているように見える)。

レバレッジが効くポイントはどこなのか、どこに戦力を集中的に注げばよいのか、それを見つけるのが現状分析である。

そこにはそれなりの体力と時間がかかる。

というか、かけなければならない。

一晩で思いつくようなアイディアは、完全に間違いとは言えないまでも、もう少し吟味してみた方が良い。

できれば、そのアイディアを打ち負かすためにはどうしたらいいのか、くらいまでは考えた方が良い。

そしてそれを基に一貫した方針を打ち出す。

総花的にならないように、それぞれが矛盾しないように、基本方針とも言えるようなその方針を忠実に守っていく。

また、具体的にどうしたらいいのかということを部下にきちんと示していく。

これが戦略である。

目標や願望を戦略と言うなかれ

目標や願望は戦略ではない。

それがわかった時、マネージャーはストラテジスト的な要素を備え、高い成果を出せるようになるはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

クリティカル・ポイント。

僕は昔から物事の要点を捉えることが結構得意です。

でも、それに気づいたのはマネージャーになってからです。

「どうやら多くの人は物事の要点を捉えることが得意ではないようだ」

「その理由は現状分析をしていないからだ」

そのように感じることがとても多いです。

「マネージャーの仕事はストラテジックなものである(べきだ)」

そのような意識。

暇そうであることは誉め言葉です。

どんどん暇そうに戦略構築して、レバレッジを掛けていきましょう。