君のチームにエースはいるか?

エースの言葉はメンバーに響く

チームにエースがいるかいないかでは、チーム・ビルディングの難易度は大きく変わる。

エースがいれば、マネージャーの仕事は「あいつを見習え」で事足りる。

チームが苦境にある時でも、メンバーがスランプに陥っている時でも、エースの行動が一つの見本となるので、マネージャーとしては「ああいう風にやっていれば大丈夫」と言うことができるのでとても楽だ。

エースはチームに属しており、メンバーとある種同じ目線で話すことができるので、その言葉の浸透力はマネージャーの比ではない。

実際に現場に出ているのもエースであり、壁にぶち当たった経験があるのもエースであり、それをどうやって乗り越えたのかもエースであるので、メンバーもその言葉を飲み込みやすい。

マネージャーの言葉は「武勇伝」と捉えられやすい

これがマネージャーだとそうはいかない。

かつては(自称)名選手であったマネージャーの言葉は残念ながらエース程は響かない。

それはやはり立場と「生感(なまかん)」が違うからだ。

マネージャーの言葉は「あっち側」の言葉としてメンバーには処理される。

いくらマネージャーが善意で発言したとしても、「そりゃ言ってることはわかりますけど、あんたは実際に営業している訳じゃないし」とか、「そんなに言うなら、お前がやれよ」という言葉に翻訳されてしまう。

腹落ちするところまではなかなかいかない。

マネージャーの経験は確かに有用なものではあるものの、リアルタイムの事象に対応している訳ではないので、どうしても聞き手側にとっては「武勇伝感」が出てしまう。

「オレがかつて若かりし頃は…」というトーンになってしまう。

そして受け手側には「はいはい、昔はそれで良かったんですよね(今は違うんだけど)…」と受け流されてしまう。

マネージャーはマネージャーで、「なんでオレの言っていることがわからないんだ」と一人で憤慨することになる。

行動規範としてのエースの存在は大きい

これが間にエースが入ると状況が大きく変わってくる。

一言エースが「いや、確かに課長の言う通りだよ」と言ってくれるだけで、メンバーの防御の壁は簡単に取り払われてしまう。

同じ言葉であっても、「ああ、○○さんがそう言うなら、きっとそうなのだろうな」というように柔らかく浸透していく。

指導についてもそうだ。

いちいちマネージャーがうるさく言わなくても、エースが行動で示してくれるので、メンバーも勝手に良くなっていく。

結局人間というものは自分で気づかなければ変わらないものだ。

どうして上手くいかないのだろうかと漠然と考えてはいるものの、それをいざ行動に移そうとすると、しり込みしてしまう。

その時に、手本となる人(ロールモデル)が近くにいると、「ちょっと真似してみよう」と腰を上げることができる。

これが積み重なるとチームは大きく変わっていく。

もちろん営業面でもエースがいると助かるのだけれど、数字というよりは、この「行動規範」という側面が非常に大きい。

自律性のあるチームが出来上がる。

こうなればマネージャーなんて正直いらなくなる。

エースは育てられない

だが、悲しいことに、エースはあまりいない。

そして、さらに悪いことに、エースを「育てる」ことはできない。

エースは元々エースとなる資質を持っているからだ。

例えが適切かわからないけれど、エースはドラフト1位の選手なのだ。

新人の頃から全然立ち振る舞いが違う。

その芽を摘まないようにしていれば、自然とエースになっていく。

しかしながら、大抵のメンバーはドラフト2位以下(もしくは育成枠)なので、エースになることはごく稀だ。

もちろんイチロー(ドラフト4位)のように並外れた努力があれば違ってくるのだろうけれど、そこまでの新人はなかなかいない(少なくとも僕のところには入ってこない)。

だからこそエースは貴重なのだ。

中途入社とか、転勤とか、そういった偶然によって君のチームにエースが来ることはあるだろうけれど、一から育てられる程の逸材は滅多にいない。

そしてそういうチームを君がマネジメントすることになるのだ。

エースがいなくても戦える方法を

僕がここに書いているマネージャー論はエースがいないチームを前提としている。

それでも戦える方法論を書いている。

優勝を目指せるようなチームではなく、せいぜいAチームに入るのが関の山である程度のチームを念頭に書いている。

でももし君のチームにエースがいるのであれば、優勝を狙える。

マネジメント手法ももっと高度なことが実践できる。

きっとアメリカ西海岸的な手法が取れるのだろう。

でも僕が書いているのはドメスティックかつ地べたに這いつくばった戦術だ。

それはそれで楽しい。

でももし君のチームにエースがいるのなら、エースになれる素質があるメンバーがいるのなら、こんなもの読んでいないで、是非優勝を目指して欲しい。

しかしながら、目を皿にして探してもエースがいないのであれば、ぜひ僕のブログを読んで欲しい。

きっと参考になる箇所があるはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

いいチームを作るためにはいい文化が必要で、いい文化を作るためにはエースが必要です。

エースがロールモデルとしてチームに在籍しているだけで、そのチームの状況は格段に良くなります。

そしてそれは継続します。

これはエースの存在により、よい文化が受け継がれていくからです。

メンバーが変わっても、不思議と強いチームは強いままです。

これは文化の伝播という影響が物凄く大きいからです。

残念ながらマネージャーがエースの代わりを務めることは難しいですが、それに近いことはできるはずです。

「日頃の行い」を正して今日も頑張っていきましょう。