上ばかり見る上司にならない為に

上も下も

マネージャーになった途端に、上ばかり見るようになる人は多い。

これは(僕が思うに)「もしかしたら、このまま順調に出世できるかもしれない」ということが頭をよぎるからだろう。

折角訪れたチャンスを活かしたい、それは何もおかしな感情ではない。

そしてマネージャーたるもの、上を見ることは別に悪いことではない。

ただ、同時に下も見ておかないと、足をすくわれることになりかねない。

今日はそんな話をしてみる。

上を向くと口が開く

比喩的な言葉ではなく、上を見ている人というのは、どうも間抜けに映る。

何というか、信頼できなさそうに見える。

これは人体の構造上、上を向くと自然と口が開いてしまう、ということも関係しているのかもしれない。

口を開けたまま上を向いている上司。

落ちてくる仕事を待っている上司。

それを冷めた目で見ている部下。

この対比がチームの熱を確実に冷ましていく。

上司の言うことは聞かなければならない。けれど…

何年も中間管理職をやっている僕が言えるのは、そうは言っても上司の言うことは聞かなければならない、という(やや無慈悲な)現実がそこにはある、ということだ。

たぶんマネージャーになりたての頃には、「上ばかり見る上司にはなるまい!」と心に誓っていたとしても、日々の仕事をしていく中で、段々とその志が折れてきて、「ただ黙々と従っている方が楽だな」と思うようになる、というのがリアルなところだと思う。

はっきり言って、上司に楯突いたって何の良いことはないし、黙って従っていれば自分のプライドは傷つけられないで済むし、断然仕事はしやすいのだ。

何かにつけて上司に異を唱えるマネージャーというのはある種子供っぽいし、未熟だとも言える。

ただ、だ。

それだけではマネージャーとして大成することはできない。

自分のことを棚に上げて、もう少し詳しく書いていく。

シュールで大真面目なコント

部下から見て、何というか「醜く」映るのが、どのマネージャーも上ばかり見ているというシチュエーションだ。

ドタバタ劇のように、ある種の喜劇のように、そんなコメディのような光景が日々職場で繰り返されることになる。

部下から見れば、それはシュールなコントであるのだけれど、演じているマネージャー達はみんな大真面目だ。

トップの言うことに大げさに頷いたり、どうでもいい報告を大仰に行ったり、わざとらしい愛想笑いをしたり、そんなことが当たり前に繰り返される程、部下のやる気を削ぐことはない。

もちろん社会人として最低限の節度というか、礼節は保つべきだ。

ただ、それがあまりにも行き過ぎると、本当に絶望的な状況になる。

そして、僕の経験では、そういう状況は結構多い。

マネージャーである僕でさえ、そんな光景を横目に見て、うんざりすることはよくあることで、部下の気持ちは推して知るべしだ。

パフォーマンス(成果)を軸にする

では、そうならない為にはどうすればいいのか?

それは、パフォーマンスが上がるかどうか、という尺度に基づいて仕事をする、ということだと思う。

そして、社内での人間関係に拘泥しない、というスタンスで仕事に臨むことだと思う。

これは「ないがしろにする」ということではない。

そこに「重きを置かない」で仕事をするということだ。

終身雇用制度が生き残っていた昭和時代ならともかく、明日会社がなくなるかもしれない令和時代において、社内政治に精力を注ぐのは、割に合わないと僕は思っている。

もちろん、それによって、パフォーマンスが上がるのであればどんどんやればいい。

(いつも言うことだけれど)大事なのは成果である。

上司への阿りによって、仕事がやり易くなるのであれば、やればいいのだと思う。

僕が言いたいのは、やるなら戦略的にやる、ということだ。

成果を上げる為の、作戦の1つとして行う。

部下に対しても、それをわかりやすく示す

それがとても大事なことだと思う。

「マネジメント対決」をすればきっと勝てる

以前にも書いたことだけれど、会社の外には広い世界があって、更に外にはもっと広い世界がある。

GAFAMとかBATとまではいかなくても、そのような規模感から自社を眺めてみれば、社内政治がいかに陳腐なものかが想像できるだろう。

そして、自分が媚を売っている上司がその世界の中でどの程度のものなのか、ということを考えれば、自ずとやるべきことというのは明確になると思う。

冷酷かつドライに言うのであれば、その上司とて、マネージャーとしての力量は取るに足りないことの方が多い。

旧時代(古き良き時代)の慣習に従って、偉くなっただけの場合が多い(と僕は思う)。

ヨーイドン、で「マネジメント対決」をすれば、圧勝できるくらいの実力しかないのが、本当のところだ。

どんな状況でも成果を出せるように

もちろん、見習うべきところは見習って、尊敬できるところは尊敬することは必要だ。

ただ、それ以上でもそれ以下でもないのだ。

冷静に、それこそドラゴンボールに出てくるスカウターみたいなもので、相手の「マネジメント力」を測定する。

そして、それを尺度として、淡々と自分の仕事をしていく。

阿るでも逆らうでもなく、パフォーマンスを第一義として、マネジメントを行っていく。

仮に嫌われたとしても、それでいいじゃないか、と僕は思っている。

成果は誰も裏切らない。

上司が変われば、会社が変われば、それは適切に評価されるものだ。

腕を磨くことに全力を注ぐ。

そういう上司がいる状況でもパフォーマンスを出せる、という経験を積み重ねていく。

それは何にも代えがたい自信となる。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

仕事観にも関係してくることかもしれませんが、僕はある時点から自分が昇進していくことよりも、いい仕事をしたい(たとえそれが自己満足に過ぎなくても)、という気持ちの方が強くなってきてしまったので、正直上司からの評価はあまり気にせずに仕事ができています。

でも、逆説的ですが、結果として高いパフォーマンスが発揮できて、上司からも評価されている、という不可思議な状況になっているのが現状です。

権力欲を否定するつもりはありません。

ただ、本当に出世したいのであれば、あまり上司に拘泥せず、自分のポリシーに基づいて仕事をした方がいいのかな、と僕は思っています。

社内における優劣には何の価値もありません。

淡々といい仕事をしていきましょう。