紙に書く

UnsplashKelly Sikkemaが撮影した写真

アイディア出しの方法

皆さんはアイディア出しをどのように行っていますか?

僕は考えていることをまず紙に書いて、それを部下に見せ、そこからブレストに入る、というやり方をしている。

でも、このようなやり方をしている人はそんなに多くないようにも感じている。

特に「考えていることを紙に落とす」という部分は捨象されているように思うのだ。

もちろん、アイディアの出し方は人それぞれだと思うし、僕のやり方を強要しようというつもりはさらさらない。

ただ、頭の整理をしてから議論に臨むのと、そうでないのとでは、その後の実りが大きく変わると思うので、今日はそんなことを話していこうと思っている。

何らかの参考になれば幸いである。

それでは始めていこう。

議論の質を高める為には考えるという作業が必要だ

議論の質を高めるにはどうしたらいいか?

僕は事前に参加者それぞれが考えておくことが必要であると思っている。

ただ、ある主題について、皆が高いレベルで事前に考えているという事態は残念ながら起こりづらい。

僕もそうであるが、自分の仕事で手いっぱいになり、考えるという作業はどうしても後回しになりがちだからである(それが自分にとって大きなトピックでなければ猶更だ)。

特に部下においては、考えるよりも動くことが優先されがちで、そのような状態の部下と議論をしたとしても、なかなか質の高いアイディアが出てくることはないのが現実である。

でも一方で、アイディアがなければ、高い成果を出すことは難しい(漫然と仕事に向かっていても、成果のレベルはたかが知れたものになってしまう)。

このジレンマをどのように解消するか?

紙に落とすのは思ったよりも難しい

僕は「考えていることを紙に落とし、先に部下に見せてしまう」ということをやっている。

それも、かなりアイディアとして柔らかい段階でそのようなことをやってしまう。

これはやってみるとわかると思うけれど、頭で考えていることを紙に落とすことは、実はそんなに簡単なことではない。

アイディアとしては面白いものであっても、それを具体的に実行する為には様々な実務的な問題が生じてくる。

それをどのように実行していくか、ということは、頭で考えているだけではなかなか思いつかない。

紙に落とすことは、自分の頭を整理することに繋がる。

そして、他者に伝えるに当たって、どのような表現方法を用いれば的確に伝わるかを考えることにも繋がる。

漠としたイメージに輪郭を与える作業。

それが紙に書くという行為である。

部下に見せる

一通りその作業が終わったら、それを部下に見せる。

僕は手近の部下に見せることが多い。

そして、その反応を伺う。

基本的には、相手は部下で、僕は上司であるので、そのアイディアがイマイチなものであったとしても、露骨にダメ出しはされない。

ただ、良いアイディアを出した時よりも、明らかに反応が悪い時があるので、その際はあまり良くなかったんだなと思い、こちらから「どこが良くない?」と聞くことにしている。

部下のタイプにもよるけれど、段々と僕のパーソナリティがわかってくると、色々とオブラートに包みながら、ぼそぼそと「ここが…」ということを言ってくれるようになる。

それに対して、こちらも「いや、でも、そうすると…」みたいなことを言う。

こうして簡単なブレストが始まる。

ブラッシュアップする為に

他者に話すことは、自分で考えているだけでは生まれない方向性を生む。

また、良いアイディアであった場合には、その確信を深めることに繋がる。

そうやって自分のアイディアをブラッシュアップしていくのだ。

下ごしらえを同時にやってしまう

これは同時に部下への「下ごしらえ」も意味する。

手近に部下が複数人いたら、それぞれに紙に書いた自分の考えを見せていく。

すると、それぞれの反応があったり、簡単な議論が始まったりする。

それを受けて、僕も話をする。

結果、僕の考えていることが、自然と部下に伝わるようになる。

これが「下ごしらえ」という意味である。

いきなりアイディアをぶつけられるよりも、このように考えて、このような戦略を実行しようとしているのだ、ということがわかると、部下はスムーズに行動するようになるのである。

戦略の間を埋めてもらう

これは以前書いた「過程を共有する」ということに繋がる。

それがあると、部下の腹落ち度合いが増し、部下の行動が本質的なものになる。

結果、成果の度合いが大きく変わるのである。

そして、それらの作業が終わったら、今度はもう少し多くの人にそれを展開する。

その際には戦略自体がブラッシュアップされているし、こちら側もそのことに自信を持っているので、スムーズに話をすることができるようになっている。

もちろん、対象を広げると、その内容についてはやや薄まるというか、汎用的にならざるを得ないのは事実だろう。

でも、その場合においても、最初の頃に話をした部下達が「濃い部分」を説明して(間を埋めて)くれるので、ぼやけた戦略になることなく、仕事を進めることができるのである。

その為にも、まずは自分の考えを紙に落とすという作業が必要なのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

話をするのが上手い人。

言葉に落とすのが上手い人。

僕は後者だと思っています(というか、相対的には、ということですが…)。

そういう人には今日の話はもしかしたら参考になるかもしれません。

上手に部下を腹落ちさせていきましょう。