チーム力を上げる唯一の方法は1on1だと思う

そのチームに、そのタイミングで、たまたま合った手法

マネジメント業務というのは抽象的なものである。

何がチーム力を向上させているのか、というのが明確にわからないし、そこにマネージャーが寄与しているのか、というのも不明確である。

時間軸も長いし。

僕も含めマネージャーというのは、自分の手柄としてチームを改善したということを言い立てたい生き物なので、世の中にはたくさんのマネジメント本があって、それぞれがそれぞれの方法論や成功体験を語っている。

もちろんその中には有用なものもあるのだろうけれど、僕がマネージャーを経験してきてい思うのは、それはあくまでも、そのチームに、そのタイミングで、「たまたま」合った方法、であるものが多いような気がする。

成功者の体験談が往々にしてそうであるように、再現可能性は高くないものが多い、というのが(あくまでも僕の)印象である。

もちろん僕がこのブログ内に書いている文章の大半もそのカテゴリーに含まれるのだろう。

ただ、最近になって思うのは、それでも有効なものはあるはずで、それが何かと問われた時に、僕が返すとしたら、それは「1on1」なのだと思う。

繰り返すようだが、それはあくまでも「僕の場合」に過ぎないのかもしれない。

でも「誰か」には参考になるかもしれないから、今日はそんな話をしてみる。

理想的なチームは構築不可能であるので

マネジメントには必勝法はない

6年以上マネジメント業務をやってきてつくづくそう思う。

それは率いるチームによってそこにいるメンバーが異なるし、取り巻く環境も異なるし、上司も違ったりするので、その時に合わせた方法を取らざるを得ない、ということが関係しているからだと思う。

いつも言う話であるが、僕は自分の理想のやり方を持ってはいるけれど、それが実現できることは殆どなくて、それよりはそのチームで出来る方法を採用することが多い。

そのチームに合ったやり方というか。

そんな様々な方法論を試してきた僕が、エッセンスを凝縮して、何か1つだけアドバイスをするとしたら、それが今回のテーマである「1on1」になると思う。

ただ毎週話すだけ

僕が実践している1on1というのは、メンバー全員と毎週1対1で話をする、そしてその内容は特に業務に縛られることはない、というものである。

時間は相手によって異なる。

話がなければ5分くらいで終わるし、盛り上がれば2時間くらいになったりもする。

本当にフリーディスカッションみたいな感じである。

もう少し厳密に言うと、最初は業務の話から始まるけれど、それはあくまでも話題のとっかかりに過ぎなくて、あとは話が転がっていくのに身を任せている、そんな感じである。

アドバイスめいたことも話すけれど、どちらかというと雑談的な要素が強い。

人によっては無駄な時間と思う種類のものだとも思う。

でもこれがたぶん重要なのだ。

僕もその効果を疑ったことがある(し、実際にやめてみた)

僕は一時期、1on1をやめてみたことがあった。

僕自身もその効果に対して半信半疑だったし、時間が取られるのも事実なので、費用対効果が合わないのではないか、と考えたからである。

僕は部下が15人くらいいるので、その全員と話をするとなると、毎週平気で2時間とか3時間とかかかるわけだ。

そして、さして内容がある訳でもないし。

となると、その時間でもう少し有用なことができるのではないか、という疑問が生まれてくることになる。

それで一時期やめてみたのだ。

言葉が届かなくなる感覚

結果は散々であった。

いや、別に何か目に見えてチーム力が低下したとかそういうことではないのだけれど、何となくしっくりこないというか、言葉が届きづらくなっているというか、馬力がなくなっているというか、そんな感じである。

成果も悪くはないけれど、イマイチという感じ。

その経験を経てから、僕はどんなに忙しくても、どんなに無意味だと思えても、これだけは続けなければならないのだな、と思うようになった。

1on1をやったからと言って、何か目に見える「アウトプット」がある訳ではない。

ただ、ベースというか、底流の部分としてとても大事なことなのだ、というように今では理解している。

対話の重要性

日々仕事をしていると、部下と話す時間というのは思いのほか少ないものだということに気付く。

何となく「話している感」があると思っているかもしれないけれど、パーヘッドで考えると、人によって週1分も話をしていないのではないか(ましてや1対1では)、僕はそんな風に思っている。

それはやっぱりチームによって良くないことだと思う。

マネージャーが何を考えているのか、どのような人物であるのか、というのは、自分が考えている以上にメンバーには伝わっていないものである(逆も然りだ)。

そしてそのようなベース部分での共通理解がなければ、業務における指示の「伝わり率」というのが低下する。

この指示の精度僕が言っていることの趣旨やニュアンス・真意がメンバーにきちんと伝わることその反復というのが、チーム力の向上に繋がるのだ。

それは目に見えないものではある。

そして多くのマネージャーはそれを軽視している。

だからこそ僕はそれをやるべきなのだと思っている。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

1on1は継続することが大事です。

話題がなくても、取り敢えず1対1で定期的に話すということを習慣化すること。

本文では書きませんでしたが、これはリスクヘッジという意味でも重要です。

毎週話をしていれば、その部下の状態がある程度わかるようになりますし、何かコトが起きた時に、「よっこいしょ」と重い腰を上げることなく、気軽に相談したり、されたりするようになるからです。

話が盛り上がる部下、そうでない部下もいるとは思いますが、ルーティン化して継続していきましょう。