「いてもいなくても同じ」くらいでいいのでは?

UnsplashLuca Bravoが撮影した写真

アピール・アピール・アピール

「マネージャーは空気のような存在で構わない」

そんなことを最近思う。

何かにつけて、自分の手柄であることを声高に叫ぶマネージャー達を横目に、僕は淡々と仕事を続けている。

確かにマネジメントという仕事は地味である。

ある程度自分でアピールをしなければ、何をやっているのかわからないくらい地味な仕事である。

ただ、それでいいのではないか、と僕は思うのだ。

今日はそんなことを書いていく。

チーム構築段階にはマネージャーの存在感は必要だけど…

まず最初に誤解がないように書いておくと、これは「チームがある程度軌道に乗った後の話」である。

それまでは、チームの状況が確立されていない状態では、マネージャーの仕事は結構あるし、時にはアピールも必要である。

そういう意味では、チームの構築段階では、マネージャーはある程度存在感を示すべきだと言える。

ただ順調にチームが回ってきた後は、徐々にその存在感を薄め、最終的には「いてもいなくても同じ」くらいの立ち位置まで引いていくことが大事なのだと僕は思っている。

チームの主役はあくまでもメンバーである。

そのメンバーたちの能力を引き出す為には、マネージャーが表に出るのではなく、裏からサポートすることに全力を注ぐ方が上手くいく。

僕はそんな風に考えている。

航路を守る

これはマネージャーの経験がある程度蓄積されたから言えることなのかもしれない。

以前に「自動化」ということも書いたけれど、僕はそのような状態(手を加えなくても勝手に仕事が回っていく状態)を望んでいる。

チーム構築の段階が終わると、このような「定常状態」とも言えるような状況になり、そこでは「毎日を同じように円滑に回す」ことが重要となる。

変な波風は立てない方がいい。

ただ航路を守り、真っすぐに進んでいくのだ。

メンテ中

もちろん、これが永遠に続いていく訳ではない。

天気が悪くなったり、風が強くなったり、チームには様々なことが起きる。

突発的なこともあれば、構造的なものもある。

外傷的なものもあれば、疾患的なものもある。

これをメンテナンスしていくのがマネージャーのその後の仕事となるのだ。

マッチポンプ

「未然防止」というのは地味な仕事である。

何か問題が起きそうな時に、先回りして問題の芽を摘んでおくことはマネジメントにおいてとても大事なのだけれど、いかんせん地味である。

だから(というか気づいていないだけかもしれないけれど)、多くのマネージャーは問題をそのまま放置しておいて、いざ問題が起きた時に、「オレの出番だ!」と張り切ってそこに出張っていくのである。

そしてその問題を解決したことを声高に叫ぶのだ。

僕からすれば、そんなのは「マッチポンプ」に過ぎない話なのだけれど、大抵の人はこの違いに気づけないようである。

自分で問題を起こし(放置し)、自分で解決することの何が手柄なのか?

「忙しそう=有能」という概念は捨てよう

名医と呼ばれる人が未病に焦点を置くように、何気ない日々を何気なく過ごすことにはとても意味があるのだ。

そしてその何気ない日々にはマネージャーはいらないのである。

課長は暇そうでいい」というのはこのブログの初期に書いたもので、ありがたいことに多くの人に読んで頂いている記事であるけれど、僕の思想はその時から変わっていない。

マネージャーの力は、「有事」にこそ発揮すべきなのであって、「平時」には鼻でもほじっていればいいのだ(職場で本当に鼻をほじるとコンプラ的にうるさそうなので、あくまでも比喩である)。

それに対して「暇そうだな」とか「楽そうでいいな」とか言ってくる輩もいるけれど、このような人達はマネジメントの本質を理解していないので、相手にしなくていい。

忙しそうにするマネージャーというのは、僕からすれば無能を証明しているのと同義なのだけれど、多くの人はそれに気づいていない(これはマネージャーに限ったことではない。「忙しそう=有能」という概念をそろそろ日本人は改めるべきだ)。

「ヒマ=仕事をしていない」ではない

出番がないということはチームにとって良いことである。

これをもう少しありがたがるべきなのだ。

自分が暇になってくると、仕事をしてないんじゃないかと不安になるマネージャーもいると思う。

ただそれは間違いである。

というか、成果を指標として考えるべきなのだ。

課長なんていらない

担当者時代には、プロセス面も大事であると皆言われてきたと思う。

上記した「忙しさ」というのは、その1つのバロメーターでもある。

でも、マネジメントという仕事は別である。

課せられた成果指標に対しての到達率が重要であって、それまでのプロセスは評価に値しないのだ(もちろんプロセスは成果を出す為には重要なのだけれど、それは評価する対象ではないのである)。

だから、仮にマネージャーが暇そうであっても、目標達成していれば何の問題もないのだ。

深夜まで残業する必要もないし、有給休暇だって消化すればいい。

課長なんていなくたってチームは回っていくのだ。

それを寂しがってはいけない。

自分が目立とうとしてはいけないのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

自信がない人ほど実力を誇示したがる。

仕事をしているとそんな風に思うことがあります。

でも、極論すれば、実力なんていらないのです。

結果が全て。

もちろん実力があれば、結果も出せる確率も上がるはずです。

数字で会話しましょう。

それ以外は付帯事項です。

冷たく、冷血に、仕事をしていきましょう。