管理職の若返りって良いことなのだろうか?

UnsplashMimi Thianが撮影した写真

年齢が高い方が管理職は楽

今日はまだ結論が出ていなくて、疑問の状態のものを書いていこうと思う。

それは「管理職の若返りって手放しで良いとされがちだけれど、本当にそうなのだろうか?」というものである。

マネジメントという仕事を7年以上やってきて、当たり前だけれど、僕も同じだけ歳を重ねた。

その中で思うのは、やっぱりある程度「年齢が高い方が管理職は楽」というシンプルな事実である。

もちろん、それは経験を重ねたからこそ言えることなのかもしれない。

でも、そうでなくても、今の年齢で管理職を始められていたら、過去僕が犯したいくつかの過ちは犯さずに済んだのではないか、と思わずにはいられない。

そしてそれは部下にとっても、チームにとっても良いことであると思うのだ。

今日はそんな話である。

大抵のことが許せるようになる

年齢を重ねて一番良いと思うのは、「尖り」がなくなることである。

これはプロフェッショナル(専門職)でやっていくのには短所となり得るのかもしれないけれど、マネジメントをやっていく上では長所になるのである。

大抵のことに関して「許せる」ようになる。

この単純なこと、これが若いとなかなか難しいのである。

不条理の連続

マネージャーをやっていると、たくさんの不条理に遭遇する。

それは組織的なものもあるし、チーム内のこともある。

部下の仕事のやり方だって納得がいかない。

とにかく自分が描いていたようにはコトが進んでいかないのだ。

過去の自分と比べてしまうと…

ましてや、若くしてマネージャーになるということは、過去それなりに結果を出してきたはずである。

その乖離ジレンマに、イライラが募ることになる(少なくとも僕はこうだった)。

要は狭量になってしまうのだ。

それは今振り返ると「視野が狭い」ということだとわかるのだけれど、当時はそんなことは思わなくて、「何でこんなに上手くいかないのか…」と悩んでいた。

なんくるないさー

翻って今である。

中年となった僕は、あらゆることに対する執着が薄れている。

それはある面では悲しいことではあるけれど、ことマネジメントにおいてはとても役に立っている。

どんなことが起きても、「なんくるないさー」と思えるようになるのだ。

丸いマネジメント

確かに経験値の要素はあると思う。

いきなり今「管理職をやれ」と言われて初めてやったら、最初は苦戦するとは思う。

でも、たぶんすぐにキャッチアップできる。

それは「丸く」マネジメントができるからである。

落としどころを探る

マネジメントという仕事は妥協の連続である。

色々な人が色々なことを言ってくるし、それぞれが納得することは絶対にない。

もう一度言う。

絶対にない、のである。

その中で、折衷点というか妥協点(落としどころ)を見つけながら、運営していくのがマネジメントという仕事である。

僕だって、本当はピカピカのチームを作りたい。

でも、それは実現不可能だし、ガムテープだらけのチームだってそれなりに良い所があるのである。

そういうことを感じられることが歳を重ねることのメリットであるのだろう。

若さとマネジメントは相性が悪い

翻って現在。

多くの会社では管理職の若返りが図られている。

そしてこれはポジティブな意味合いで捉えられている。

大枠ではそうだろうと僕も思う。

うだつが上がらない「おじさん管理職」よりも、若くてピカピカの管理職に任せた方が生産性は上がりそうだからである。

ただ、質は担保するべきである、とは思うのだ。

というのは、上記したように、「若さ」と「マネジメント」というのは相性が悪いからである。

「仕事ができる」=「マネジメントができる」とは限らない

「仕事ができる」だけではマネジメントはできない。

もちろん、「真の意味」で仕事ができれば、マネジメントもできる。

でも、担当者レベルの「仕事ができる」というくらいでは、マネージャーは務まらない。

それも若い内は特に難しい。

だからこそ、優秀であるだけでなく、妥協できるくらいの度量がある「質」が求められるのである。

人生経験を重ねるメリット

これを当時のマネージャーに成り立ての自分に言っても理解してもらえるとは思わない。

鼻っぱしの強かった僕は、「おじさんがなんか言ってるわ…」程度にしか思わなかっただろう。

でも、やっぱり年齢は重要なのだ。

というか、人生経験は重要なのだ。

それは「そこで働いている人達の背景に思いを馳せることができるから」である。

部下の様々な側面に想いを馳せる

職場には様々な人がいる。

当然ながら、職場における「その人」というのは、人生における一面に過ぎない。

家に帰れば父親(母親)だったり、介護が必要な親がいたり、子供が学校でいじめられていたり、配偶者との関係が上手くいっていなかったり、子供がぐれていたり、まあ本当に色々なことがある。

そんな中で彼(彼女)らは働いているわけである。

若い頃の僕は、「そんなの関係ねえ。仕事なんだから、ちゃんと働けよ!」と思っていた。

今だってその気持ちがないとは言えない。

でも、当時の僕よりも丸く考えられるようになったのだ。

ブルシットジョブを超えるために

それはある種の妥協ではある。

プロとして、求めるレベルが下がっていると言われればその通りだろう。

でも、職場にいるのは、生身の人間なのである。

その人達を理解しなければ、高い成果を上げ続けることはできないのだ。

そして色々なことがありながらも、「まあ課長がああ言ってるんだし、頑張ってやるか」と思わせられるかどうかが、ブルシットジョブが溢れる世の中には必要なのだろうと思う。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

仕事ができることマネジメントができることは異なります。

でも、日本においては、仕事ができる人が次のステップとしてマネージャーになることが多く、その人がマネージャーとしての素養があるかどうかはあまり問題視されません。

僕はこれに疑問です。

特に若いうちというのは、人間的に未熟な部分も多いので、その辺の見極めをきちんと行わないと、部下が大変な思いをします。

人間力を磨いていきましょう。