部下に「課長がやればいいじゃないですか!」と言われたら
難しい時代
後輩の新任マネージャーから、部下が年上ばかりで、仕事を振ろうとすると「それは課長がやればいいじゃないですか!」と言われて困っている、という相談を受けた。
チームに着任したばかりでもあり、自分にマネージャーとしての自信もないことから、彼はその仕事を自分でやってはいるけれど、本当のところはそうじゃないのではないか、と感じている、それを打開する為のアドバイスが欲しい、そんな相談であった。
これは難しい問題である。
というか、ちょっと前の時代であれば、突っぱねておしまい、「お前の仕事なんだからやれよ!」と押し返して終わり、だったと思うけれど、最近はそれを言うとパワハラだと問われるリスクがあるので、そうもできない、そんな感じである。
ましてや、年若く、経験もないマネージャーであれば、年上の部下から強めに言われて押し返すのは至難の業だろう。
さて。
どうしたらいいだろうか?
今日はその回答というか、僕なりの考えを書いていきたいと思っている。
それでは始めていこう。
マネージャーの仕事ではないと判断したのなら、受けてはいけない
結論から申し上げるなら、「受けてはいけない」というのが僕の回答となる。
なぜなら、それはマネージャーの仕事ではないから。
というか、自分なりにその仕事内容を吟味し、それはマネージャーの仕事ではないと判断したのであれば、それは部下にやらせなければならない。
僕はそのように考える。
部下にやらせるのは前提
確かに、それを部下にやらせるまでにはそれなりの文句があり、対立があり、不和があるだろう。
「前の課長はやってくれたのに、今度の課長は全然ダメ!」というような批判も受けるだろう。
それでも、僕は自分ではやらないことをお勧めしたい。
というか、これができなければマネージャーとしての歩みを進めることはできない。
それくらいここは大きな分岐点である。
そして、悩むべきは、自分が引き取るか部下にやらせるか、ではなく、部下にやらせる為にはどのようにしたらよいか(どのようなアプローチをしたらよいか)である。
部下にやらせるのは前提なのだ。
考えるべきはそれをどうやって部下に腹落ちさせるか、である。
ここを間違えてはいけない。
では、どうやって部下に腹落ちさせるのか?
ましてや、年上の部下にどうやったら納得してもらえるのか?
そんなに簡単ではないことは百も承知で以下書いていく。
「やりたくないからやらない」訳ではないことを丁寧に説明する
僕はあまり格好つけず、できるだけ率直に話をすることが大事だと考えている。
それも繰り返すことが大事だと考えている。
なぜその仕事が自分の仕事ではないと思うのか(部下の仕事だと思うのか)、を丁寧に話していく。
経験上、多くの部下は「マネージャーがやりたくないから仕事をやらないのだ」という非常に浅はかな捉え方をすることが多いように思う。
というか、多くのマネージャーは実際に「その仕事を自分でやりたくないからやらない」というようなスタンスで部下に仕事を振るのだろう。
ベテラン社員ほど、過去の経験から反射的にそのように考える傾向があり、拒否反応も大きい。
だから、その誤解を解くべく、丁寧に話をする。
これが僕の回答である。
マネージャーの仕事は全体最適を図ること
もちろん、マネージャーはその分マネジメントの仕事をしなければならない。
空いた(というか元々するべきではない仕事をしなくてもよくなった)分、マネジメントとしての仕事を全うする必要がある。
そして、このような仕事の分配(配分)を行うのも、立派なマネジメントの仕事なのである。
新しく管理職になった人たちと話をする度に最近思うのは、仕事を振ることに非常に抵抗感を覚える(覚えがちである)、ということである。
人に何かをお願いすることに心理的抵抗を感じる、それは僕も理解できる。
でも、マネジメントの仕事というのは、「そういうもの」なのだ。
というか、全体最適を図るために、手持ちのリソースをどのように活用したらいいのかを考え実行するのがマネジメントという仕事なのである。
もちろん、考え抜いた結果、その仕事を自分が引き取ることがチームにとって最適である、と判断したのであれば、それを引き取ることだってあるだろう。
ただ、そうでなければ、安易に仕事を引き取ってはいけない。
なぜなら、あなたはマネージャーであるからだ。
部下に仕事を任せるのは、「ぶん投げ」とは違う
部下に仕事を任せるのは、仕事をぶん投げることとは違う。
でも、多くの部下はそのように受け取りがちである。
また、タスクが増えることに抵抗感を示すのは当たり前の反応でもある。
ただ、繰り返すが、マネージャーの仕事はマネジメントであり、部下に任せた仕事をマネージすることもその仕事内容に含まれている。
だから、その進捗のフォローやサポートについては全力を尽くすべきだ。
ただ、その仕事の主導権は部下にあるのである。
この違い。
それをきちんと理解しておく必要がある。
それでもダメなら
それでももし仕事を受けない部下がいるなら、「あなたは私の求める役割期待を満たしていない」ということを丁寧に説明し続けるしかない。
そして、その繰り返しによっても改善されないのであれば、人事評価上淡々と低評価を付ければいい。
仕事というのはそういうものだから。
というか、そのような厳しさを持ち合わせていないのであれば、この先マネジメントという仕事を続けていくことはできないから。
僕はそのように考えている。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
仕事の線引き。
年齢の大小があろうと、経験の浅深があろうと、仕事はそれをすべき人が受け持つべきです。
もちろん、これは「べき論」ではあります。
でも、その前提条件を間違えてはいけない。
「べき論」の議論を終えた後で、その仕事をマネージャーが引き取るというのは、現実的な選択肢として全然アリだと僕は考えています。
ただ、(対立を恐れるあまり)その議論を経ないのは全然イケてない。
その違いをきちんと理解することが重要です。
マネージャーの仕事はマネジメントです。
マネジメントをやっていきましょう。