「お前が言うな!」を言わせない

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「自分もそこに含まれている」という自覚はあるか?

チームを成長させたければ、自分も成長すべきである。

なぜこんな当たり前のことを書いたかというと、「自分だけは例外」と考えるマネージャーが多すぎるからだ。

例えば、部下に勉強させようとしたり、営業話法を身に付けようとしたりするなど、チームのレベルアップを図ろうとする場合に、「自分はそこに含まれていない」と考えていないだろうか?

勉強すべきは部下であり、自分はしなくてもいい、と思っていないだろうか?

もちろん、自分が担当者であった過去において、物凄く努力していたということはあるだろう。

それを部下にも経験して欲しい、という親心的な親切心から生じている場合もあるだろう。

ただ、現在時点ではどうなのだろうか?

あなたは部下にそれを言える資格があるのだろうか?

今日はそんなことを書いていく。

「お前が言うな!」と思うことが頻発するのが当たり前の国ってどうなん?

僕は自分が担当者であった時代において、一番納得ができなかったのが、自分ではできもしないのに、それを部下にはやらせようとする上司の存在だった。

自分のことは棚に上げて、自分は安全地帯から、「これをやれ!」と偉そうに言ってくる奴が大嫌いだった。

「お前はどうなんだ?」といつも思っていた。

そして営業においても、全くスキルも何もない奴が、偉そうな能書きを垂れていたりすると、よく「お前が言うな!」と思ったものだ。

年功序列型組織である典型的な日本企業に勤める僕は、明らかに能力が劣っている上司(かつ向上心のかけらもない上司)の言うことをなぜ聞かなければならないのか、いつも疑問に思っていた。

類似事例として、部活の顧問がサッカーの経験もないのに(偉そうに)指導しているとか、営業部長が営業現場の経験がないのに施策を滔々と語る、などというようなことはこの国ではよく見られる現象である。

志向性があるかどうか

「それじゃあれか、お前は未経験者は指導してはいけないというのか!」

そんな声が聞こえてくる。

そうではない。

僕のブログを読んでくださっている方ならご理解いただけると思うのだけれど、僕は「志向性」というものを非常に大事にしている。

ここで言う志向性というのは、何者かになろうとすることそれ自体、そうなりたいと思いその方向に進んでいること、を指す。

「経験がない」という過去は変えられないので、現在(または未来)において、その未経験であるという事実をどう捉えているか、そうではない状態になりたいと思っているか、が重要なのである。

サッカー未経験者でも、未経験者であるということを自覚し、実際に選手と一緒にプレーしてみるとか、フットサルチームに入ってみるとか、そういう意識(向上心)があれば、選手というのは付いてくるものである。

これは仕事においても同様だ。

口先で「やれ!」と言うだけでなく、自分でもやってみる。

資格を「取れ!」と言うだけでなく、自分も試験を受けてみる。

そういうスタンスが大事である。

労苦を共時的に味わうことが大事

個人的には、その結果というのはそこまで重要ではないと考えている。

仮にフットサルチームに入っても、リフティング1つできないままであるかもしれないし、資格試験を受けても、結果として不合格になってしまうかもしれない。

もちろんできることに越したことはないのだけれど、大事なのは実際にやってみることであって、労苦を共時的に味わうということなのだ。

マネジメントにおいては「言行一致」というものが非常に大事である。

ただ、これが一致している人というのは思いのほか少ないのだ。

だからこそ、これができれば、いや、これができるだけで、マネージャーとして圧倒的に優位に立てるのだ。

それがわかっている人は本当に少ない。

顔を作る

マネージャーの「顔」や「人間性」というのは日々の行動の積み重ねによって出来てくる。

これは一朝一夕で出来上がるものではない。

日々の地道な努力がマネージャーの顔を作り、人間性を高めていく。

そしてその顔があり、人間性があれば、部下は付いてきてくれるのだ。

一方で、「お前には言われたくない」「お前が言うな」というような風に思われてしまうマネージャーは、建前上は言うことを聞いてくれているように見えても、実際には部下の方はバカにしているので、チームとしての力が全く向上してこない。

一見すると、どちらのチームもそんなに違いがないように見えるのだけれど、土壇場における力が圧倒的に違うのだ。

根底の部分でのマネージャーへの信頼感がチームのパフォーマンスを大きく左右する。

マネージャーは「上がり」ではない

これは何も「好かれろ!」ということではない。

一目置かれればいいのだ。

日本企業においては、マネージャーになると「(すごろくにおける)上がり」みたいに考えてしまう人が多いように僕は感じている。

担当者と線を引いて、一段高い所から見下ろしている、みたいなスタンスで仕事に取り組む人が多いような気がしている。

それではダメなのだ。

同じレベル(強度)での努力は難しくても、自分も同じ方向を見ているし、多少の負荷はかけているということが部下にも伝わることが重要なのだ。

もしあなたの声が部下に届いていないのであれば、そういう部分から見直してみるのもいいだろう。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

説得力厚顔無恥度

これは相反するものです。

ただ僕が知るマネージャーの殆どは厚顔無恥で、自分のことを簡単に棚に上げられる人ばかりです。

「よくそんなことを言えるよな」と思うことを簡単に言ったりするので、僕は本当に理解に苦しみます。

たぶんそんな意識すらないのでしょう。

僕は少なくとも自分の言うことに責任を持ちたいですし、せめて無理を言う時には無理を言っているという恥じらいみたいなものを持っていたい、と思っています。

己に厳しく仕事をしていきましょう。