話を聞き過ぎるのもまた微妙

話半分で十分

部下というのは勝手なもので、本当に言いたい放題だなと思うことがよくある。

自分のことは棚に上げて、やれあいつが嫌いだとか気に食わないだとか、そんなことばかり言っている。

でも本人の前ではおくびにも出さない

いわゆる陰口というやつである。

リレーションができてくると、この手の話を部下から聞く機会も増えてくる。

ただ、それを鵜呑みにし過ぎるのも微妙だと思うのだ。

「まあそんなものかな」と話半分に聞いておくくらいでいい。

今日はそんな話だ。

自分のフィルターを通して判断することが重要

「良い上司とは部下の話をよく聞く人である」

それは間違っていない。

ただその話を元に自分の尺度を入れて判断を行い、行動に移すまでできることが良い上司の条件である。

聞いた話をそのまま行動に移すのではなく、自分のフィルターを通して判断する、この部分が重要なのである。

拙速に動くのは悪手

僕も初任マネージャーの時にはよくこのトラップに引っかかっていたのだけれど、部下が言ってくる要望や不満にできるだけ早く応えてあげたいと思って動くのは、必ずしも良いこととは限らない、ということは心に留めておいた方が良い。

一旦立ち止まって考えること。

結論が出ないなら、もう少し情報を収集すること。

これが大事である。

取り敢えずそのままにしておく

以前にも書いたことであるが、不満というものは絶対になくならない。

1つ解決したと思ったら、また別の不満が持ち上がる。

もっと言うと、解決したことに対して「以前の方が良かった」なんてのたまう奴だっている。

そのくらい不満というのは「その時の気分」に左右されてしまうものである。

だから部下があれこれ言ってきたとしても、それは取り敢えずそのままにしておくというのが良い対処法であると僕は思っている。

もちろん「ヤバい話」は別である。

それ以外は、ある程度時間をかけて、時間と共に解決していく、というスタンスで臨む方がいいのだ。

ガス抜きだけでもOK?

これはまだ判断をしかねているところではあるけれど、話を聞く、いわば「ガス抜き」をする、だけでも良いのかもしれない、と最近は思っている。

上記したように、大抵の不満というのはその場の気分から生じている程度の話なので、取り敢えず「うんうん、それは大変だったね」と聞いておくくらいのスタンスで良いのかもしれない。

それを「解決しよう」と意気込むと、また違う問題が生じてしまうので、取り敢えず充満したガスだけを抜いておくことに集中する。

そんなイメージである。

やったらやったで不満が出る

ここで1つ押さえておいた方が良いのは、不満を聞いて行動に移さないと、「行動力(決断力)がない上司」であるとか、「腰が重い上司」であるという評価を部下から下される可能性が高い、ということである。

でも、これも話半分に聞いておけばいい、と僕は思っている。

逆にすぐに解決に動いたら動いたで、「自分の考えがない上司」であるとか、「一貫性がない上司」であるとか言われるだけなのである。

それなら、チームの安定性を高める為に、前者の方策を取っておいた方がいい。

定常状態を崩して、次の定常状態に移行するまでには、大なり小なり混乱が生じるので、その期間は成果が停滞してしまうことが多いからである。

それよりも「騙し騙し」運営をしていく方が良いのである。

できない上司と言われたくない気持ちはわかるが…

これはやっている当人としても歯がゆい部分はある。

何となく「できない上司」っぽい仕事ぶりになってしまうからである。

だから何とかしたくなってしまう。

でも今までの経験上、(メンバーのレベル感にもよるとは思うけれど)僕が担当している程度のチームであれば、真に受けない方が結果としては上手くいっているような気がする。

主要メンバーに言っておくのも一つの手

建設的な意見というよりも、ただの愚痴程度の話が多いのが、僕のチームのレベル感である。

それをいなしながら、「まあそうは言っても頑張ろうよ」的な展開に持っていくのがマネージャーの腕の見せ所と言えるのかもしれない。

この辺のバランス感は難しいし、「マネージャーは事態を把握しながらも、敢えて手を打っていない、それはチームのバランスが崩れることを危惧しているからである」ということを主要なメンバーに知っておいてもらうことは必要な下ネゴである。

飲み会の席でもサシのミーティングの時でもいい。

「理解している、でも敢えて動いていない」ということを周知しておくことが重要なのである。

大抵の部下の話は聞き流しておいていい

往々にして、文句ばかり言うヤツの成果は低調である。

というか、その文句を建設的な議論まで持っていけないヤツ、対案を出せないヤツの成果は低調である。

もちろん例外はいる。

でもそれ以外のヤツの話は聞き流しておいてOKなのだ。

非情で結構

八方美人ではマネージャー業は務まらない。

部下から好かれたって、成果が出なければ何の価値もない。

一定の距離感を保ちながら、成果を上げる為の適切な関係性を築いておけば十分なのである。

その為に必要な意見であれば採用すればいいし、そうでなければ放っておけばいい。

非情で結構。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

不満はなくならない。

これはマネジメントを務める人間は絶対に心に留めておかなければならない言葉です。

結局のところ、人間が集まれば不満は生じるものです。

それに対処するのは、自己満足には繋がるかもしれませんが、成果にはあまり関係がありません。

適度な距離感で、淡々と仕事をしていきましょう。