部下のやる気がないと嘆く前に

UnsplashTim Mossholderが撮影した写真

根性系の言葉

思うような成果が上がらないと、「やる気がないからだ!」と部下を糾弾するマネージャーは多い。

これは他の言葉(「意識が足りない!」「気持ちが入っていない!」「根性がない!」)でも代用できる。

僕はこれを聞く度にいつも思う。

「やる気ってなんだ?」と。

もう少し言うと、「やる気があれば成果が上がるのか?」とか、「仮にそうだとしても、やる気が出ない要因はマネージャーにはないのか?」とか、そういうことが連鎖的な疑問として出てくる。

そして、このような「根性系」の言葉を使わずに成果を上げるにはどうしたらいいのだろうか、という話に繋がっていく。

それでは始めていこう。

僕はやる気がない

まず僕の話から。

僕自身は昔からやる気がないタイプの担当者であった。

というか、正確に書くなら、彼(彼女)らが求めるやる気がない担当者であった。

彼(彼女)らの求めるやる気というのは、僕からすると「長時間働く」とか、「とにかく訪問営業をする」とか、「ひたすらテレアポする」とか、そういう類の話だと理解している。

ここでのポイントは、「作戦がない」ということである。

ただ長く働いても、ただ訪問営業しても、ただ電話セールスしても、成果は上がらない。

そこに何らかの意図がなければ、意味がない。

僕はそう思っている。

作戦がない根性は不要

こんな感じで仕事をしていたので、それはまあ多くの人に嫌われたものである。

会社に入りたてで、実績も何もない時には、本当に酷いものであった。

でも、僕は自分なりのやり方を曲げず、淡々と成果を出した。

そうやって周囲を黙らせていったのだ。

作戦がない根性は不要。

それが今日僕が言いたいことである。

やる気を出せないのはマネージャーの怠慢では?

翻って現在。

僕はマネージャーになって、やる気不要でも成果が上がる仕組みを求めて日々仕事をしている。

大事なのは成果である。

気持ちではない。

でも、未だに多くのマネージャーは、成果が上がらないことを「部下のやる気」のせいにしがちである。

もちろんそれが要因でないとは言わない。

でも、厳しいことを言うなら、やる気を出させていないマネージャーがまず怠慢なのである。

やる気を出す難易度が高い時代

成果を上げるためにやる気が必要だというなら、出させればいいだけの話である。

「さあ、どうぞ!」と僕は思う。

でも、この時代にやる気を出させるのは、とても難易度が高い。

だから、やる気がなくても成果が上がる仕組みを作った方が楽ですよ、と僕は思うのだ。

So What?の時代

彼(彼女)らの時代にはやる気を出す理由があった。

金・名誉・権力・女(男)を手にしたいという純粋な欲望があった。

現代だってないとまでは言わない。

でも、薄くなった。

「それで?(so whtat?)」の時代になった。

そんな時代において、やる気を出させるのはとても難しい。

少なくともマネージャーはその問いへの答えを持っておかなければならない。

「何のためにやる気を出すのか?」へのアンサーを。

僕にはない。

だから、やる気に頼るマネジメントはやらないようにしているのだ。

やる気が「足りない」とは?

もう少し言うなら、やる気というのは僕の認識ではデジタルなものである。

要は0か1出力があるかないか、というものだと思っている。

でも、彼(彼女)らはそれをアナログなものだと思っているように見える。

やる気には段階があって、グラデーションのように「濃く」なっていくものだと認識しているように見える。

だからやる気が「足りない」という言葉になる。

彼(彼女)らの求める水準に達していないとき(やる気が足りない時)、それはやる気がないことと同義だと見なされる。

そしてやる気はインフレ化していく。

某マルチ商法みたいに、どれだけやる気があるかを大声で叫ぶことで、連帯感を強めたいのだろう。

そういうの、もうやめようぜ?

やる気がなくても成果が上がる仕組みを

僕には彼らの言うやる気はない

でも、作戦(戦術・戦略)に基づいた仕事をしたいというやる気はある。

それも比べ物にならないくらいの。

そうやって僕は仕事をしてきたし、これからもしていく。

仕事の意味が蒸発した時代において、部下にやる気を出させるのは至難の業である。

だから、ベースとしてはやる気がない状態でも成果が上がる仕組みを構築した方がいい。

これがまず第1段階だ。

1人の味方を見つけよう

でもそれだけでは成果は指数関数化しない。

そこに体温がなければ、成果はうなぎ登りにはならない。

熱量を与えるのはあなたなのだ。

やる気を出させるのは、我々マネージャーの仕事なのである。

もちろん、そこまでのレベルに達しない担当者はたくさんいる。

その度に挫けそうになる、それもわかる。

皆にやる気を出させるなんてことは幻想に過ぎない。

だから、1人の味方を見つければいいのだ。

あなたが持つ、「わかり易くないやる気」は、同じ志を持った誰か1人に届く。

それで十分じゃないか?

幸福なんて誤差だ

僕は普段とても冷めた気持ちで仕事をしている。

でも時に、そこに熱量が生じる時がある。

それが僕が仕事をしている意味だ。

そんなささやかな幸福感誤差みたいな違いを楽しみながら、僕はこれからも仕事をしていくつもりだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

やる気という言葉を疑っています。

この時代に仕事に対してやる気があるのはちょっとおかしな人である。

僕はそんな風に思っています。

そんな無理な状態を実現しようとしているマネージャーそれがないと成果が出せないと思っているマネージャーが僕には理解できません。

ましてや誰かに言われて出すやる気などたかが知れています。

やる気がなくても成果が上がるような仕組みを考えていきましょう。