どうやってもダメな時はある

UnsplashPars Sahinが撮影した写真

自分はマネージャーに向いていない

チームの状況が悪い時、マネージャーは様々な施策を考え、実行に移す。

でも、それが悉くうまく行かない時がある。

その度に自分の実力のなさに直面し、絶望的な気分になる。

「自分はマネージャーに向いていないのではないか」

そう思うことになる。

僕は8年以上マネージャーをやっているけれど、特に経験が浅い時には、何度もこのような気分になったものだ(今だってないとは言えないが…)。

ただ、その当時のことを振り返って、今の経験を重ねた自分が仮に過去にタイムスリップができたとしても、その状況を打開することは難しいのではないか、とも思うのである。

もちろん、マネージャーの実力不足によって、チームの状況が改善されないということはある。

でも、それ以上のことは、もしかしたらマネージャーの実力云々でどうにかなるものではないのかもしれない。

そういう意味では、あまり気にしなくていいよ、というのが今日の話の結論となる。

それでは始めていこう。

ポジティブな諦念

僕はマネージャーとして経験してきたことをこのブログに書いている。

それだけを読むと、さも上手く行っているように見えるかもしれない。

でも、よく読んでくださっている方ならわかると思うけれど、紆余曲折、試行錯誤の連続で、たくさんの失敗を重ねてきた。

そういう意味では、上手に諦められるようになった、それが適切な表現になるだろう。

それは見方によっては「投げやり」のように映るのかもしれないけれど、そんなことはなくて、ポジティブな諦念というか、「まあ全力は尽くしたよね」というある種の清々しさが含まれているものなのだ。

「やり切った」とまでは言えないかもしれないけれど、「あの状況でできることはやったよね」とは言えるくらいの満足感。

それがあれば、そう思えれば、マネジメントという仕事を続けることはできる。

僕はそう思っている。

光は出口から射すとは限らない

出口の見えないトンネル。

マネジメントという仕事をやっていると、何度もこのような状況に出会うことになる。

五里霧中・四面楚歌、その状況下での悪戦苦闘。

光を探し、藻掻き続ける日々の連続。

それによって、どんどん精神力と気力が削られることになる。

でも、何年もマネージャーをやっている僕からアドバイスをするなら、光というのはトンネルの出口から必ずしも射すものではない、ということは言っておきたいと思う。

もしかしたらそれは暗闇の中で戦っている人の助けになるかもしれないから。

実際にトンネルにひび割れが起きて光が漏れてくる場合もあるし、もしかしたら錯覚なのかもしれないけれど、光が見えるように感じることがある(実際には暗闇でも)。

付け加えるなら、自らが発光体になることだってできる(部下がそうなってくれる場合もある)。

そうやって、何とか前に進んでいく。

倒れながらでも。

匍匐前進でも。

希望の捏造

繰り返すようだけれど、続けること自体にマネジメントは意義がある、僕はそう思っている。

チームの変化の萌芽みたいなものは、もしかしたら既にそこにあって、ただそれに気づけていないだけなのかもしれない。

でも、それを明日まで続けられるなら、突然芽吹いたその可能性を目撃することができる。

そうやって自分を騙しながら、明日も同じような仕事を続けていく。

心が折れそうになりながらも、何らかの希望を捏造して、自分を維持させていく。

その希望を捏造する為の原料となるのが、「どうやってもダメな時はある」という呪文なのかもしれない。

「誰がやっても無理なのでは?」という呪文

何をやってもうまく行かない時、責任感があればあるほど、自分を責めたくなってしまうと思う。

自分の何がいけないのか、そうやって眠れない夜を重ねることが増えていく。

それ自体は(望ましいとは到底言えないけれど)必要な経験ではあると思う。

でも、その絶望感が極限まで行ったら、「オレ以外でも、誰がやっても、ダメだよな」と唱えながら、絶望の淵から引き返してきた方がいい。

免責されはしないけれど、自責であるとも限らない

もちろんあなたが完全に免責されるとは言えない。

でも、全部を背負う必要もないのだ。

他責にしてはいけないけれど、だからといって、全てが自責なわけではない。

それも言い訳ではなく、実際にどうやっても八方塞がりな局面というのはある。

ましてや組織が絡んでくる場合には。

あなたは十分よくやっている

本来的には、上司なりと「どこまで行ったら合格なのか」ということをプロサッカークラブの監督のように事前に打ち合わせしておくべきなのだろうけれど、そんなことは多くの場合はできないから、そして事後にはどうやっても糾弾されるから、自分なりの合格ラインを事前に決めておくことはとても大事なことだ。

多くの組織や上司は、限られた戦力にもかかわらず無理難題を言ってくるけれど、自分だけは現実的な視点を持っておき、その毀誉褒貶に左右されないようにすること。

というか、左右されてしまっても、絶望の淵まで行かないこと。

それがマネジメントを長く続けるコツである。

時々は自分を甘やかしてあげてください。

あなたは十分によくやっている。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

今日の話は現実的な戦力分析と言えるのかもしれません。

自分のチームの戦力がきちんと把握できていれば、どのくらいのレンジでの着地となるのか、というのは予測がつくものです。

でも、周囲の人はそんなことお構いなしで、無理難題ばかり言ってきます。

そのような雑音に惑わされず、明日もマネジメントという仕事を続けていくこと。

それが大事なことです。

あまり自分を責めず、かといって甘えず、日々を続けていきましょう。