戦力とマネジメント

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3だってマネジメントが機能したと言える

何が何でも(通信簿でいう)5を取らなければならない。

そう考えているマネージャーが多いような気がしている。

もちろん、5段階評価で5を取れるなら、それに越したことはない。

ただ、マネジメントという仕事はそんなに甘くない。

戦力が整っていなければ、どうやったって取れないこともある。

そんな時に、「なんで5が取れないんだ!」と怒ったり、嘆いたりしても仕方がない。

現有戦力を客観的に分析した時に、何もしなければ2であるが、マネジメントの成果によって3になったとするなら、それはマネジメントが機能したと言える。

でも、そのように判断できる人は多くない。

今日はそんな話だ。

優勝以外は無意味?

マネージャー業を長くやっていると、「優勝以外は許さない!」というような圧力を感じることが多い。

もちろん、気持ちはよくわかる。

どうせやるなら僕だって優勝したい。

でも、足元を見た時、チームを振り返った時、「どうやっても優勝できるような戦力ではないよなあ…」と思うことがある。

その際に、遮二無二なって優勝を目指すか、このメンバーならこのくらいまで行ったら上出来でしょと満足できるか、ではマネジメントという仕事のやりがいは大きく変わる。

そして、文脈からもわかるように、僕は後者のマインドセットをお勧めする。

降格しない監督の凄さは、サポーターはわかってくれるはずだ

これはスポーツの世界(特に昇格降格がある世界)では当たり前の話だと思う。

例えばサッカーの場合、チームの予算というのは限られている。

そして、その予算内で獲得できる(または年俸を払える)選手によってチームが構成される。

監督というのは、その選手たちを如何に活用して勝率を上げるか、というのが大きなミッションであることは間違いない。

でも、だからといって、優勝が可能なメンバーであるかは別問題である。

もちろん、優勝は目指す。

でも、現実的な到達点は「降格しないこと」であることは多い。

この場合、普通にやっていると降格してしまうようなメンバー構成であったら、シーズンを終えて降格しなかった場合、このマネージャーは評価されて然るべきである、と僕は思う。

もっと言えば、それで優勝争いなんてものをしていた日には、そのマネージャーはスーパーな人物であるとすら言えると僕は思っている。

自分だけは理解しておこうぜ?

でも、なぜかビジネスにおいては、多くの場合こうはならない。

「なぜ優勝できないのか!」とか「メンバーが躍動しないのは、マネージャーの腕が良くないんじゃないのか!」とか、そのように糾弾される。

「マジかよ?」と僕は思う。

ただ、スポーツの世界ではなく、ビジネスの世界ではこれが当たり前のようなのだ。

そういった意味では、これを嘆いていても仕方がないのかもしれない。

でも、僕が今日言いたいことは、そうは言っても自分ではその意味合いを理解していた方がいい、ということである。

弱小チームを任されて、成果が出ない日々が続いて、「自分はマネージャーに向いていないんじゃないか…」と思う日があったとする。

その際に僕が言いたいのは、「本当にそうなんだろうか?」ということである。

もしかしたら、そのチームでそれなりの成果を出していることは、それだけで誇るべきことなのかもしれないよ?

僕はそう言いたいのである。

自分のマネジメント力をきちんと理解する

もちろん、第三者は評価してくれないだろう。

上記したように、優勝以外は考えられない人が殆どだから。

でも、せめて自分だけは、自分のマネジメントの評価を適切に行ってみたらどうか。

これは自分を甘やかすとかそういう話ではなくて、自身のマネジメント力がどの程度なのかを知っておくことは、今後マネジメントという仕事を続けていくかどうかを考える上で非常に重要なことだからである。

誰がやったって、ダメなチームはある。

そんな時に、「お前はダメだ!」と言われても、見当違いだなと僕は思う。

そして、「じゃあお前がやってみろよ!」とも思ってしまう(これは行き過ぎだ)。

僕は自分がマネージャーに向いているとは思わないけれど、それでも大多数のその辺にいるマネージャーに比べれば、圧倒的に実力があると思っている。

それは別に誰かに評価された訳じゃない。

自分でそう思っているだけだ。

測定できるなら、測定してもらいたいものだ

それを聞いて「なんだ、自己満足かよ」と思う人もいるかもしれない。

確かに、自己満足だ。

だからいつも僕は思うのだ。

マネジメント力を客観的に測る機械(例えばドラゴンボールでいうスカウターみたいなもの)が欲しいな、と。

マネージャーの及ぼせる影響力は限られている。

それなりにインパクトがある成果を出すところまでは行けるけれど、それ以上のことは難しい。

その境界線の見極めを行いながら、何が効果的な戦略なのかを考え、実行していくことが我々の仕事なのだ。

そして時には、そのような仕事を続けている自分を慰めてあげてもいいのでは?

公平な自己分析を

できることとできないこと。

甘えや自己保身ではなく、客観的に戦力を分析しながら、最善を尽くすこと。

それを公平な目で自己評価すること。

それができれば、この仕事はもう少し続けられるはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

本文中で、「スポーツの世界では…」みたいなことを書きましたが、MLBのアスレチックスの話(マネーボール)があれだけ話題になったのだから、ビジネスの世界もスポーツの世界も似たようなものなのかもしれません。

それを受けてもなお僕が思うのは、セイバーメトリクスのような仕組みがビジネスにも適用できないか、ということです。

客観的に見て、どのようなところまで行けばマネジメントとしては成功なのか?

その為には、きっと今とは比べ物にならないような精細なデータが必要です。

感覚論を打破し、成果を出していきましょう。