合わない部下とどう働くか?

UnsplashJackson Sophatが撮影した写真

部下と合わないなんて普通じゃね?

マネージャーの後輩から「どうしても合わない部下がいるのですが、どうしたらいいのでしょうか?」という相談を受けた。

彼曰く、配下である1人の部下とどうもそりが合わないとのことである。

なんという可愛い質問!

可愛いというのは、初歩的というか、「そんなことで悩んでんの?」くらいのレベルの話であり、僕からすれば「部下と合わないなんて普通じゃね?」という感じである。

もう少し厳密なことを言うなら、僕は殆どの部下と合わないと思っているし、プライベートにおいて付き合いたいとは微塵も思わない。

でも、仕事としてはそれなりに上手くやっているという自負はある(だからこそ僕に相談にも来たのだろう)。

そういう意味では、部下と合わなくたって、(それなりに)良いマネジメントはできるということになる。

今日はそんな部下との相性について話をしていこうと思う。

好き嫌いで評価を分けてしまうマネジメント

冒頭の後輩マネージャーの話をもう少し広げると、彼のマネジメントスタイルは敵を作りそうなやり方ではあるので、その部下が彼のことを好ましく思っていない理由というのも正直よくわかる。

大抵のこの種の話の場合は、「部下に問題があり、その対処に苦慮している」ということが前提にあるのだけれど、今回の話においては、その要素は全くないとは言えないまでも、そこまで大きなファクターではないように思われる。

どちらかというと、マネジメントのやり方に問題があるような印象だ。

彼は自分の好むやり方をする部下には良い評価を、そうでない部下には悪い評価をする傾向がある(強い)ように僕には見える。

そして、これは多くのマネージャーに見られる傾向でもある。

「それの何がおかしいのか?」

そう思われる人もそれなりにいるのではないか。

でも、僕が思うのは、「まあそうであることは(人間だし)仕方がないけれど、部下に悟られてはいけないんだよな」ということである。

もう少し別の言い方をするなら、「それがもし部下に相性の問題(好みの問題)としてすり替えられている可能性がある(例えば「マネージャーは好き嫌いで人を選んでいる」という批判の類)としたら、それはやっぱりマネジメントとしてはレベルが低い」ということになる。

「人事評価なんて、結局は好みの問題」なのか?

そして、これはどの職場でもよく見られる傾向であるようにも思われる。

もっと言えば、これを人事評価の真理のように言う人だっているくらいだ。

「結局のところ、人事評価なんてものは好みの問題でしょ?」

その人はこれを核心を突いた言葉だと思っているようだけれど、これは僕からすればちょっと若い(青い)感じがする。

「マネージャーも、部下も、好みで良い(悪い)評価を付けていると考えているなら、そのマネジメントは失敗である」

やや言葉がキツくなるけれど、僕はそのように考えている。

それはなぜか?

僕は大半の部下が好みではない

冒頭に書いたように、好みで言うのであれば、僕は大半の部下が好みではないからである。

それは絶対的な意味でもそうだし、相対的な意味でもそうである。

「部下」というカテゴリーの中で、「比較的マシ」という概念を加えても、僕は部下のことを好みで評価できるほど、それぞれの部下に優劣を感じない。

それくらい僕は「部下と合わないな」と思っている。

でも、僕は「部下と良好なコミュニケーションを取れる(難しい部下であっても)」という評価を頂くことが多い。

この乖離。

成果で評価する。以上。

ここには公平性の概念がある。

仕事において僕が公平だと思うのは、「成果を基準に評価をする」ということである。

合う合わないとか、好き嫌いとか、そんなものはどうでもいい。

成果を出しているか否か、それだけが評価基準である。

もちろん、それぞれの業種や職種によって、「成果とはなんぞや?」という定義は異なるとは思う。

でも、どんな業種であれ、職種であれ、その職場において成果とされている基準はあると思う。

それをきちんと見極め、評価すること。

それがある程度部下にも納得性を帯びていると思わせられること。

これだけである。

職場とは成果を上げる場所である

僕は合わない部下でも成果が上がれば高い評価を付ける。

すると、当然ながらその合わない部下も僕が好みで評価をつけているとは思わないという状況が発生する。

そして、他の部下もそのような状況を共有することになる。

となると、「大事なのはマネージャーに阿ることではなくて、高い成果を上げることである」という価値観が共有されることになる。

結果として、チームに余計な慣れ合いが減り、プロ集団的な雰囲気が生じることになる。

「職場とは仕事をする(成果を上げる)場所である」という文化が生まれるようになる。

これが合わない部下と働く秘訣である。

部下との関係は「普通」でいい

繰り返すが、僕は大半の部下と合わないと思っている。

それが言ってみればデフォルトなのだ。

でも、だからと言って、それだから成果が上がらないとはならない。

むしろ部下と合わないことが、適切な距離感とドライ感を生み、仕事そのものに対する集中度を高めるということだって起こり得るのである。

そしてそのような態度は、部下からの信頼へと繋がる。

僕は部下に好かれてはいないけれど、嫌われてもいないと思っている。

部下との関係性は「普通」でいい。

それは僕がこのブログの立ち上げ当初からずっと言っていることでもある。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

好き嫌いで評価しないとマネージャーへの信頼度は上がる。

これを知っているか否かでは、マネジメントの難易度は大きく変わります。

というのも、多くのマネージャーは本文でも書いたように、好き嫌いで評価している(し、それが部下にバレている)からです。

適度に距離を取って、ドライに成果だけを求めていきましょう。

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