平均点以上のチームを作る為には?
不合格でも合格でもないチーム
今日は中級以上のマネジメントについて話していこうと思う。
マネージャーの初任期間を終えて、ある程度経験を重ねてきた時に、ぶち当たるのがこの「平均点」という壁だ。
どうしようもない状態であったチームを、マネジメントスキルを駆使して、何とか引き上げた先にこの「平均点チーム」がある。
以前に比べれば、格段に良い状態になっている。
でも、特別素晴らしくもない。
日々の業務を円滑に回していくことには問題がなくなってはいるけれど、だからといって高いパフォーマンスが上がっているわけではないような状態。
不合格ではないけれど、合格とは言えないような状態。
それがこの「平均点チーム」だ。
「平均点チーム」と「その先のチーム」の作り方は異なる
マネジメントの「いろは」みたいなものができるようになれば、「どうしようもない」チームの状況は改善できるようになる。
他のチームと比べて遜色ないチームは作り上げることができるようになる。
ただ、その先に進めるかどうかはまた別問題だ。
「平均点チーム」の作り方とはまた別の方法論を取り入れていかなければ、「その先」には行けない。
そして、「その先」に進むためには、「平均以下」になる可能性もあることを認識しておかなければならない。
議論の出口がどのようになるかわからないけれど、こんなテーマで書いていく。
ボラティリティの導入が卓越したチームを作る為のカギ
結論から言うと、平均以上のチームを作る為には、ボラティリティ(不確定要素)を導入することが必要である、と僕は考えている。
もちろん、ある程度長いマネジメント期間を与えてもらえるのであれば、平均点チームの延長線上に「卓越したチーム」を作ることができるのかもしれない。
同じ「傾き」の線分の先に、その「卓越したチーム」があるのかもしれない。
ただ、一般的にはそれほど長い期間を与えてもらえることは稀だし、たぶん長くなればなるほど、慣れや飽きが生じるので、個人的には延長線だけの思考で卓越したチームを作ることは不可能であると思っている(スポーツチームにおいても、素晴らしい監督ですら、連覇、3連覇、4連覇…というのはなかなか難しい)。
平均点を下回ることを恐れるな
僕の考えはこうだ。
線分の改善は続けながら、その上にボラティリティを乗せる。
ベースを上げながら、運みたいなものも呼び込めるようにする。
その途中には、平均点チームよりも成果が下回る局面が起こることもある(特に最初期には)。
そのリスクを冒しながら、前に進む。
それしか「卓越したチーム」を作る方法はない。
平均点を下回ることを恐れていては、高い点数は取れない。
そんな風に考えている。
感情を排して第三者的に自分のチームを評価する
これは自分で作ったチームでもそうだし、平均的なチームを途中から率いることになった場合においてもそうだ。
今ある仕組みを壊すことでしか、新しいことは生まれない。
そしてチームにおいては、現状維持というのは少しずつ腐敗していくことと同義でもある。
あるターム内において一定の成果が出た時、そこには当然自分なり(前任のマネージャーなり)の思い入れがあると思う。
その成果を好意的に解釈したいというのはむしろ自然でもある。
ただ、成果を自己評価する際には、感情は排した方が良い。
できるだけ客観的に判断した方が良い。
第三者が同じ成果を出したとして、それをどのように評価するか?
その成果を生み出している仕組みは適切であるか?
そんな冷めた目で見ることがとても大事なことである。
一時的な停滞は必ずやってくる
そのあと、改善すべき点を見つけて、手をつける。
その際には一時的な停滞が生じる。
もちろんもう少し経験を重ねてくると、平均点ではなくて、80点くらいのチームを作れるようになるし、その場合には停滞の度合いは大したことがなくなるのだけれど、今話しているのは平均点チームのことなので、この停滞が生じると自信がなくなってくることが多い。
「前のやり方の方が良かったんじゃないか?」と思うようになる。
その停滞の期間が長ければ長いほど、深ければ深いほど、その思いは強くなる。
ましてや、その方針の変更が自分の信念に基づいたものであれば猶更だ。
過去適切であったものと現在適切であるものは異なる
ただ、僕の経験上、この「チームを壊す作業」というのは避けて通れないものだ。
怪我をした箇所にかさぶたができて、皮膚が強くなるように、チームをより高い位置にしていく為には、このような「壊し」の作業は絶対に必要になる。
破壊的イノベーションとまではいかなくても、現状のやり方とは違った視点からチームを眺めることは必要であるし、「ひどいチーム」を改善する方法と、「平均点チーム」を改善する方法はまた違うからだ。
その時のチームの状況に合わせて、チームビルディングの方法も変わってくる。
過去適切であったものが、現在適切であるとは限らない。
そうやって、少しずつ壊しながら、チームを前に進めていく。
ボラティリティの種を蒔いていく
そして、一時的な停滞が生じたとしても「そこそこ」の成果が出せるくらいの状態までチームを持っていくことができたら、そこにボラティリティを持ち込んでいく。
上手くいけば大きな成果になるような要素を取り入れていく。
博打、とは言えないまでも、レバレッジをかけるような要素を入れることで、チームの成果というのは飛躍的に上昇する。
もちろんそれが上手くいく確率は低い。
ただ、ベースがしっかりしていれば、それが成功しなくてもチームはある程度高い成果を出すことができる。
そうやってボラティリティの種みたいなものをどんどん増やしていく。
すると、その中の1つくらいは上手くいくものが出てくる(書いていて気付いたが、これはPPM理論的な考え方なのかもしれない)。
それを使ってまた更に成長していく。
それがチームを平均点から抜け出す要素となる。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
今回の話がわかる人は、自分で自分のマネジメント手法がある程度確立している人だと思います(偉そうな言い方ですが…)。
だからこそ、自分で作り上げたものを壊すことに対する恐怖もわかるはずです。
でも、その恐怖を潜り抜けないと、その先に進むことはできません。
もちろん、その先に進んでいるかどうかを理解できる人はあまり多くないので、平均的なチームで十分であるという気持ちは僕にもよくわかります。
そういう意味では、ある種自己満足の世界に過ぎないのかもしません。
ただ、このようなチームビルディングができるようになると、マネジメントは自動化(オートパイロット的な)していきますし、日々あくせく働かなくても高い成果を出せるようになっていきます。
自己愛とそれを疑う気持ちを両方持ちながら、チームを改善していきましょう。