(仮想)マネージャー育成計画

マネジメント初任者に何を教えますか?
今日は「あなたがマネージャーを育てる仕事を任されたら、どのように行うか?」という問いを立てて、それについて書いていこうと思う。
イメージとしては、これからマネージャーになる人(マネジメント未経験者)に対する研修講師を任された、みたいな感じだ。
対象人数は5人~10人くらい。
研修期間は2週間。
さて、あなたは何を彼ら(彼女ら)に教えるだろうか?
出口が全く見えないけれど、取り敢えず書いていこう。
色々あるけれど、「判断する」のが一番大事
マネジメント業務には色々なものがある。
人事制度・教育制度・労務管理・コンプライアンス・コーチングなどの制度や業務に加え、身に付けなければならないスキルはたくさんある。
ただ、個人的に1番重要だと思うのは、「判断する」ということだ。
他のことは徐々に身に付けていけばいいけれど、この「判断する」ということだけは、そしてそのスタンスだけは、最初から身につけておかなければならない。
ポジションを取ることを教える
そして、(何度も書いていることではあるけれど)「判断する」というのは、限られた情報と時間の中でリスクとリターンを勘案し、「ポジションを取る」ということを意味する。
もう少し言うと、「ポジションを取らない=マネジメントではない」ということになる。
ここがメンバーとマネージャーの大きな違いである。
これさえできれば、マネージャーとしてはまずは及第点は取れるはずだ。
それを2週間の研修期間に叩き込む。
たぶん僕ならそれを行うだろう。
限られた情報の中で判断するという経験をさせてみる
具体的には、部下から相談されるであろう事態(シチュエーション)を数パターン用意する。
部下役とマネージャー役を分けて、それぞれのみが知っている情報を与える。
ただ、その情報は双方とも限られているし、正解はないものとする。
その中でどのような判断を下すか、ということを実際にやってみることに多くの時間を割くだろう。
更にこのロールプレイングのバリエーションは広がりを持たせることもできる。
例えば、登場人物として、顧客を置いたり、上司を置いたり、第3者の情報を入れてみる。
そして部下の言っていることと、第3者の言っていることを矛盾させたりしてみる。
判断を下すまでの時間をタイトにしてみたり、顧客(もしくは上司)が怒っている状況にしてみたり、トラブルが起こっている状況にしてみたり、応用の仕方は様々にできる。
その中で、どのような判断を下すのか、を研修参加者に体験させ、さらにそれを議論させてみる。
これでマネジメント能力は向上するはずだ。
正解はないが、判断はしなければならない
これは僕自身が部下をマネージャーに昇格させる際の判断軸の1つとして、「ポジションを取れるかどうか」を見ていることとも関係する。
多くの部下は自ら判断することをしないで、状況だけを羅列して、「さあ、マネージャー! ご判断を!」みたいなスタンスを取ってくるものであるし、ある程度経験を重ねた中堅社員であっても、こんな感じで仕事をしている人というのは多いので、「自分でどのように考えて、その結果どのように判断を下したのか」ということを説明できるかどうかというのは、マネージャーとして適任かどうかの1つの判断軸になるのだ。
だからこそ、マネージャーになった段階(初期段階)で、判断は自分が行うものである、ということを体に染み込ませる必要があるし、そこには正解などない、ということを体感する必要があるのだ。
全員の不満を解消することはできない、ということを知っておく
これは何も対顧客だけの話ではない。
部下との関係性においても、正解なんてないのだ。
マネージャーが判断を下した時に、メンバー全員が納得することなんてないし、むしろそれによって敵対心を持つ人もいる、ということを知っておく必要がある。
ポジションを取るということはリスクを伴うことであるし、全員の不満を解消することはできない、ということはなるべく早く知っておいた方がいい。
そういう意味で、この判断の訓練というのはとても重要なことだと僕は考えている。
制限された状況下での判断はマネジメントの訓練に効果的である
職階が上がれば上がるほど、現場は見えにくくなるし、情報は制限されてくる。
耳の痛い話ほど聞こえてこなくなるようなことだってある。
部下は自分の責任になることを恐れ、真実を言わないかもしれないし、都合の良いことしか言わないかもしれない。
そういうシチュエーションの中でどのような判断を下すのかをトレーニングしておくことが、マネージャーの育成にはとても有効であるだろう。
管理でなく判断を
これは日本企業におけるマネジメント不全みたいなこととも関係してくるし、またそれについてはどこかで書こうと思うけれど、この「ポジションを取る(判断を下す)」という行為ができれば、マネージャーとして相対的に優位な立場に立てるのは間違いない。
それは、現在大きな顔をしているマネージャーの大半がこれをできていないからだ。
だからこそ、判断を下すことさえできれば、マネージャー初任者であろうと、部下からの信頼を集めることができるし、マネージャーとして立派にやっていくことができるのだ。
もちろん現場に出れば、色々なタイプの部下や上司がいるし、自分の身が可愛くなったりもするので、判断が鈍るということは起こりうることだ。
ただその際でも、自分が行った判断の責は自分で負う、という心構えができているか否かでは、その後のマネージャーとしての成長速度が大きく変わってくる。
本当のことだ。
マネージャーの仕事はマネージする(管理する)ことではない。
判断することだ。
それをまず教えることが僕のマネージャー育成計画である。
異論は認める。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
判断をすること、ポジションを取ること、腹を括ること、マネジメントに求められるのはそういう類のものです。
そこから逃げてしまうと、上手くいくものも上手くいかなくなってしまいます。
逆説的に言えば、それさえできればマネージャーとしては合格点を貰えるということです。
それ以外の物事については枝葉である、と言っても言い過ぎではないでしょう。
もちろんキレのある判断をするには、ある程度のスキルと経験が必要です。
まずは小さなリスクから負っていきましょう。