キレイゴトに逃げない

UnsplashRodion Kutsaievが撮影した写真

まず成果では?

何かを発信する時には、裏付けがなければ求心力を持たない。

僕はそのように考えている。

これはマネジメントにおいても同様である。

成果が出ていないマネージャーが、いくらキレイゴトを並べたとしても(そしてそれが仮にとても良いものだとしても)、「成果が伴っていないんじゃなあ…」と思われて終わりである。

そういう意味では、対外的に発信(アピール含む)する前に、ある程度の実績を作ることが必要なのだ。

ただ、(特に)最近は、これが忘れ去られて(蔑ろにされて)いるような気がする。

取り敢えず、アピールしたもん勝ちというか。

盛ったもん勝ちというか。

物事には本質がある。

それがなければ、キレイゴトはキレイゴトのまま、実態を伴わずに消え去ってしまう。

今日はそんな話である。

「いいね!」の過剰

実績を作るのは難しい。

一方で、キレイゴトを並べるのは簡単である。

ここに多くの人がキレイゴトに逃げてしまう理由がある。

厳しい現実から目を背けて、ちょっとした事象を過大に捉え発信する傾向。

それに対して盲目的に「いいね!」とする傾向。

僕はそういうのにウンザリしている。

暗く長いトンネルとインスタ映え

実績を作るのは、キレイゴトを発信することに比べ、地道な努力を要する。

そして地味でもある。

往々にして華々しいトピックスがある訳ではないし、分かり易い成功方法がある訳でもない。

ただ、暗く長いトンネルを一歩一歩進んでいくだけの日々。

でも、それを続けることで成果というのは付いてくるのだ。

そしてその毎日を経験しなければ、わからないものもある。

ただ、最近の傾向はそうではないように僕には見える。

暗く長いトンネルなんてものはぶっ飛ばして、その先にある観光名所だけを写真に収め、インスタに上げる。

余韻なんて一切無用。

そんな雰囲気を僕は感じてしまう。

「映えない」日々

もちろん、暗く地味な毎日の仕事はインスタ映えしない。

何かスペシャルな話題がある訳でもない。

単調な繰り返しがそこにあるだけだ。

もっと言えば、そこには苦しみだって伴うだろう。

それは「映えない」

確かに。

でも、だからと言って、その経験を経ずしてキレイゴトだけを並べるのはいかがなものか、と僕は思うのだ。

疚しさくらいは持っていて欲しい

何かを発信する時には「疚しさ」が必要だと僕は思っている。

特にそれがキレイゴトに近い性質である場合には。

自分はまだそこまで到達していないけれど、その理想に向かっている(だからこのような発信をすることを許容して欲しい)というような逡巡がなければ、その言葉は空語になってしまう。

もちろん、実績が伴っていれば言うことはない。

堂々と発信すればいい。

でも、上記したように実績を作るというのはなかなか大変なことでもある。

だから到達していない場合には、せめてそこには「疚しさ」があって欲しいのである。

そこから逃げて、上澄みだけすくって、キレイゴトを並べるのは違うのである。

それはあなたの実績ではないから。

そうなって欲しいという願望は、あくまでも願望でしかないから。

マネジメントの成果を数値で表すのは難しい

これはマネジメントという仕事においては特に重要な概念である。

というのも、マネジメントというのは、「具体的な何か」を提示するのが難しいからだ。

いつも言うように、マネジメント以前とマネジメント以後で、「これが変わった!」ということを計量的に明示することは困難であるし、それを理解できる者も少ない。

だから、何となく「宙に浮いてしまう」のだ。

今日のテーマに即して言うなら、「キレイゴト感」が出てしまうのである。

お前が言うな!

リーダー的な立場、誰かに厳しいことを言ったり、求めたりする際には、そのリーダー自身の立ち位置が重要となる。

「お前が言うな!」と言われない為には、それなりの実績が必要となる。

それがなければ、説得力を持たなくなってしまうから。

ただ、上記したように、マネージャーがこれを示すのはなかなか難しいものでもある。

多くのマネージャー達が過去の担当時代の武勇伝を得意げに語るのは、きっとここに理由があるのだろう。

でも、間違えてはいけないのは、過去の実績ではなく、今の実績が大事であるということである。

担当時代の栄光はわかった。

マネージャーとして、何ができるのか(できたのか)?

それを示せなければ、部下はついてこないし、あなたの言葉が部下に浸透するようにはならない。

キレイゴトを言うまでには段階がある

どんなに格好いいことを言ったって、どのような理想世界を説いたって、それは絵空事に終わってしまう。

「それっぽいこと」を言うまでには段階があるのだ。

まずは足元を固めること。

あなたがそのキレイゴトを言う為の説得力を獲得すること。

一足飛びにキレイゴトだけを言わないこと。

それが大事なのである。

覚悟を

素晴らしいことを実現するのは大変なことだ。

でも、多くの人はそれを言いっぱなしにしてしまう。

熱量を込めて言うからには、そこに到達するまでの並々ならぬ努力がその後に求められる。

それを理解してから、素晴らしいことを言わなければならないのだ。

というか、言うからにはそれなりの覚悟を持って然るべきなのだ。

あるのは変わらない日常。

でも、そこにマネジメントの本質はあるのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「覚悟」という言葉が軽くなったなあと最近思います。

キレイゴトを言うことは自由ですが、言ったからにはそれを達成させるべく、並々ならぬ覚悟がなくてはなりません。

でも、雲行きが怪しくなると、覚悟なんて言うものはすぐに放り投げて、そんなことはもともと存在していなかったかのように平然と振舞うのが当世流のようです。

マネジメントにおいて大事なことは言行一致首尾一貫感覚(SOC)です。

自分自身にだけは嘘をつかずにいきましょう。

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