モンスターに貯金という概念はないのであしからず
いつも0から人間関係が始まる
モンスター社員と長いこと仕事をしている。
好きではないのだけれど、なぜかいつの間にかそういう役回りになっている。
その中で僕が身に付けた経験則の1つが「恩を売る(徳を積む・貯金)」という概念が彼(彼女)らには通用しない、ということである。
通常の人間関係であれば、「お互い様」というか、「恩返し」というか、普段からお世話になっている場合には、多少無理な依頼であっても融通を利かせてあげようみたいな考え方が働くものであると思う。
貸し借りとまでは言わなくても、暗黙の貸借対照表みたいなものがあって、「まあいつもお世話になっているし、これくらいは大目に見てあげよう」みたいな感情が湧くのが、よくある人間関係であると僕は考えている。
しかしながら、このような考え方はモンスター社員には通用しない。
昨日までの恩は一切忘れたかのように、100%もしくはそれ以上の力で(瞬間沸騰的に)こちらに牙を剥いたりする。
「おいおい。どうしたんだ? 昨日までのことは忘れたのか?」
そんなことを何度も繰り返して、僕は「御恩と奉公」みたいな概念はモンスター社員には通用しないのだな、ということを学んでいった。
そういう意味では、人間関係がいつも0から始まるという感覚に近く、だからこそあまり先のことを考えず、それぞれの事象に応じてフラットに対応していく、ということが重要となる。
結論は既に書いてしまったような気もするけれど、今日はそんな話をしていこうと思っている。
それでは始めていこう。
文脈よりもその時の感情
「人間関係には文脈がある」
過去からの歴史がある。
僕はそのように捉えている。
でも、モンスター社員にはこのような考え方は通用しない。
彼(彼女)らは、そのような過去からの経緯なんてまるで覚えておらず、全ての行動がその時々の感情によって決定される。
そして、そのような突発的な行動は、こちら側を必要以上に苛立たせることになる。
「あんなにやってやったのに。なんて奴だ!」と。
以前の僕もそうであった。
「恩知らず!」
何度もそのように思ったものだった。
でも、最近はもうやめた。
彼(彼女)らにそのような概念は通用しないから。
こちらが考える「恩」なんてものは、一切関係がないから。
自分に都合の良いことだけは覚えている
これはポジティブに捉えるなら、過去に自らが犯してしまったマズい対応についてもあまり気にする必要がないことを意味する。
もちろん、彼(彼女)らは、粘着的にそのような事象を覚えており、事あるごとにその話を持ち出してきたりもする(とても都合よく)。
通常であれば、このような話に対しては反省を行い、真摯に対応すべきであるのだけれど、ことモンスター社員に対して言うなら、それは一切しなくていいと僕は考えている。
冒頭にも書いたように、人間関係には貸借対照表的なものが存在するはずだから。
「こちら側だけが借りている状態」というのは、通常起こり得ないから。
そのように思うのである。
過去・未来よりも現在を
だから、モンスター社員に対応する際には、その時そこにある仕事や事象に対してだけを考慮して対応することが重要となる。
別に過去の歴史や未来の展望などを考える必要はない。
過去のことを慮ってくれたり、未来に感謝してくれたりすることなんてないからである。
それを期待したり、嘆いたりする必要なんてないのだ。
モンスターに節度はどこまで必要なのだろうか?
もちろん、人としての節度は必要だ。
最低限の対応はすべきであると思う。
でも、相手は何せモンスターだ。
モンスターに節度は必要か?
下手をすればこちらが瀕死になってしまうような生き物を相手に、そんなことを言っていられるだろうか?
言い方は悪いけれど、そう思うことも事実なのである。
熊とハンター
これは「熊とハンター」という、昨今の話題を僕に思い起こさせる。
もちろん、様々な意見があることは承知している。
「熊が可哀そう」
その気持ちもよくわかる。
でも、普段から熊と(モンスターと)接している僕からすると、「ちょっとお花畑過ぎない?」と思ってしまうのも事実である。
彼(彼女)らに話が通じれば、僕だってこのような対応を取りたくない。
でも、そうせざるを得ない。
そういうことなのではないか?
現代っぽいと言えば現代っぽい
過去からの文脈を考えず、ゼロフラットで話をすること。
ここまで書いてきて、それは現代っぽい考え方なのかもしれないとも思い始めてきた。
モンスター社員に限らず、いつの時代も「文脈」というものを理解できない人は一定数存在する。
でも、現代はそれが顕著なのではないか、と僕は思っている。
そこにある言葉、それだけを切り取って、あげつらうような風潮。
過去からの流れを勘案すれば、取るに足らない話であることばかりなのに、過剰にそれを取り上げ、その瞬間だけを叩く流れ。
そういう人たちも、言ってみればモンスター(社員)の一種である。
自衛の為にも、言質を取られるような言い方をせず、その瞬間そこにある事象だけを勘案して話をしていこう。
何だか寂しい話になった。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
文脈が読めない人が増えてきたような印象があります。
物事には経緯があって、その瞬間だけを見て判断するのは拙速だと僕は思うのですが、この種の人はそんなことは気にならず、その時の感情だけで話をする傾向があるので、慣れるまではそれが本気なのか演技なのかがよくわからないままでした。
でも、ある時から、それは「ガチ」であって、演技ではないことがわかるようになり、そこから僕もその種の人への対応を変えるようになったように記憶しています。
今回の話もその一種です。
モンスターに文脈や貯金という概念は通用しません。
刹那的な対応を心掛けていきましょう。