きちんと叱る

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本当に…

叱るのは難しい。

でもやらなければチームは確実に緩んでいく

これができない者は「ヘラヘラ系マネージャー」へまっしぐらだ。

そうならない為の方法を今回は書いていこうと思う。

「怒る」と「叱る」

よく言われることであるが、「怒る」のと「叱る」のは違う。

怒るというのは、感情をそのままの形で発露させること。

叱るというのは、相手の弱さを指摘すること。

僕は取り敢えずこんな風に「怒る」と「叱る」を捉えている。

期待値を下げることで怒りは回避できる

マネージャーには日々「怒る」ような事象が起こる。

毎時毎分とは言わないまでも、イライラする事象は本当に絶え間なく起こり続ける

それに対していちいち反応していたのでは身が持たないので、まずは怒らないで済むためにはどうしたらいいのか、を考えた方が良いと思う。

自分の感情が安定していないと、叱るという行為も裏目に出ることが多いからだ。

そして特に若い世代は叱られ慣れていないので、叱っているつもりでも「怒られた」と思ってしまうからだ。

感情を安定させる方法には色々あるが、一番簡単なのは「期待値を下げる」ことだと思う(それ以外の方法については「感情を安定させる」参照)。

悲しい結論であるが、事実なのだから仕方がない。

部下は期待通りに動いてくれることなんてない。

仕事の精度は低いし、速度は遅いし、下手をしたら挨拶すらできない。

でも「まあ、そんなもんかな」と思うようにする。

そのレベルをデフォルトとしてマネジメントを行う。

すると、ちょっとでも期待値を超えてきた時に、本心から喜ぶことができる。

これは綺麗事や精神修養の類の話ではなくて、多くのことを諦めた結果実現できるものだ。

諦められると怒りはなくなる

こんな僕でも、マネージャーになりたての頃には、もっと希望に燃えていたものだった。

バリバリと部下を動かしていくのがマネージャーの仕事だと思っていたし、醍醐味だと思っていた。

でも実際にやってみると、誰一人として僕のペースには付いて来られなかった。

その中でたくさんの失敗もしてきた。

たくさん失望してきた。

結果としての僕は、殆どのことを期待しない虚無感を帯びたマネージャーになった。

達観していると言えば聞こえはいいのだが、そうではなく、ただ「たくさん諦めただけ」だ。

期待すると、傷つくから。

自分を守るために身に付けただけだ。

でも、この境地に達すると、少なくとも瞬間沸騰的に「怒る」ことはなくなる。

「ああ、またか(笑)」「今回はそういうパターンか(笑)」と思えるようになる。

これで第1段階は完了だ。

弱さがバレていることを表明する

次は「どう叱るか」だ。

これはとても難しい問題で、未だ結論は出ていないのだけれど、僕はそれが「自分の弱さによって生じたものかどうか」によって叱るかどうか判断している。

そういう意味においては、「叱る」主体は僕ではなく、自分自身(部下自身)であるとも言える。

部下自身も自分の行いが「逃げ」であることを理解しているのだけれど、それは露見しないものだと思っている事象

それに対して僕は「叱る」

部下に対してというよりは、その心性について「叱る」。

といっても、別にそれを矯正しようという気持ちはない

ただ指摘するだけだ。

「オレは気づいているぞ」ということを表現する。

それが僕の叱るという意味だ。

正しい道に戻す、というような押しつけがましさは僕には全くない。

というより、あまり他人に対して関心がないだけなのかもしれない。

それについてはそいつ自身の問題なので、はっきり言って僕には関係ない。

でもその事象事態に対しては気に食わないという意見表明はする。

それをどう捉えるかは部下の問題だ。

意見表明を「叱る」と定義してみる

僕が気にしていようが、そうでなかろうが、それは僕の問題であって、部下の問題ではない。

何とも思わないならそれで構わない。

でも意思は表示する。

「オレはそれをお前の弱さから生じたものだと思う」と。

それはあくまでもフラットなものだし、別に後を引くものでもない。

ただの僕の意見だ。

受け入れられることなど全く期待していないただの声明だ。

「ああそうですか」という反応でも全く構わない。

それを僕は「叱る」と定義したいと思う。

仕事として弊害になるものにプロとして対処するだけ

僕は彼らの親でも教師でもない、ただのマネージャーだ。

僕らの関係はあくまでも職場内のものかつ限られた時間軸のものであって、それ以外のことについてははっきり言って知ったこっちゃない。

優れた人間になって欲しいとか、立派に生きて欲しい、なんて願いはさらさらない。

プロフェッショナルとして、その職場内で高い成果を挙げて欲しいだけだ。

ドライな言い方になるけれど、その為に邪魔になる要因が部下の弱さに起因するものであれば、それを僕は指摘する。

ここではそれを出して欲しくない、と意見を言う。

ただそれだけのことだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

叱るというのは双方にとって気持ちの良い事態ではないのですが、これをマネージャーが行わない場合、困るのは周りの部下です。

それは弱い毒のようにじわじわとチームに悪影響を及ぼしていきます。

基本的に僕自身は機嫌よく仕事をしていきたいと考えていますが、人間が集まればそれなりの軋轢は生まれますし、それを放置しておくわけにもいかない事態が生じます。

そういう場合、時に(演技的にでも)感情を出すことが必要です。

それによってチームに規律がもたらされるからです。

機嫌よく仕事することと、ヘラヘラすることは全く違います。

バランスを取りながら、的確に叱っていきましょう。