マネージャーの教育機会がないような気がするのだけれど…

マネージャーの基礎はどこで身に付けたらいいのだろうか?

あなたの会社のマネージャーは教育されていると思いますか?

というのは、マネージャーのやり方が「我流」であることが多いような気がするからだ。

もちろんそれぞれのマネージャーによってやり方は違って良いと思うのだけれど、基本の「型」みたいなものは身に付けておくに越したことはないのではないか、という問題提起を今日はしてみようと思う。

マネージャーの研修があるじゃないか、という声が聞こえてくるが、そこで行われるのはコンプライアンス系、ハラスメント系、労務管理系が大半であるような気がする。

あとはコーチング系の研修があったりするけれど、何というかとてもフワフワしたものであるような感覚もする。

一連の言わば「とりあえずやりました的な研修」を終えて、出来上がったのが着任当初の僕だ。

そこには現実的な問題に対処する術は殆ど教えられない

もちろん優秀な人であれば、その研修から得た知見を活かして、やる気のない部下をコーチングして高みへ導けるのかもしれない。

本当に下らないことで言い争っている部下達をモチベートできるのかもしれない。

でも少なくとも僕は出来なかった。

とりあえず生身のままで、戦場へ投げ出されて戦い始めた、そんな感覚だ。

マネージャーの「正解」ってなんだ?

仕事なんてそんなものでしょう、という言い分もわかるし、現場でなければ身に付けられない事柄がたくさんあることも十分に承知している。

でもさ、と僕は思うのだ。

あまりにも任せすぎじゃないか、と。

なかなか難しい議論ではあるけれど、「マネージャーのいろは」であるとか「マネージャーの教科書」みたいなものがあれば、もう少し船出は穏やかだったような気がする。

少なくとも会社として「こういうマネージャーを見本とします」みたいなものがあれば、それが指針となるし、実際に会って話を聞くこともできたのかもしれない。

でもマネージャーには色んなタイプの人がいるし、言うこともそれぞれ正反対だったりする。

部下に厳しく、と聞いたその日に、いや、褒めて伸ばそう、みたいなことを言われる。

何が正解なんだ?

もちろん正解なんてものはないのだけれど、どんな武道にだって型があるように、どんなスポーツだって基礎練習があるように、これだけはやっておこう、みたいなものがあったらいいなとずっと思っていた。

本に描かれている理想的なマネージャーとの対比

僕はそれを様々なマネージャー本の中に探した。

いわゆる自学自習というやつだ。

それこそ世の中に出版されている全てのマネージャー本を読んだんじゃないか、というくらい片っ端から読み漁った。

コーチングとかは欧米系由来だから、そっちの方の本もだいぶ読んだ。

でも、何というか、僕にはすごく「綺麗」に感じた。

確かにこういう風にできたらいいな、かっこいいな、と思ったけれど、現実にはあまり役に立たなかった。

僕が働いている職場と、そこに描かれている職場はあまりに違っているように感じた。

僕は泥臭く、生臭く、血の匂いすらする場所にいて、次々に飛んでくる銃弾の雨の中をただひたすら前に進むしかなかった。

きっとそういう綺麗な世界もあるのだろう、と思いながら、とりあえず肉弾戦をするしかなかった。

そして5年の歳月を経て、出来上がったのがいびつな今の僕だ。

これがマネージャーの目指すべき姿なのか、と聞かれたら、僕は正直にそうだ、とは言いづらい。

かつて読んでいた本に出てきたマネージャー達とはあまりに違う僕だからだ。

マネージャーなんて一介の労働者に過ぎない。でもね…

僕は今でも理想のマネージャー像を模索し続けている。

新しいマネージャー本が出れば真っ先に読んで、何とか良い部分を取り込みたいと常に思っている。

僕でもできることはないか、と探し続けている。

でもそれはあくまで我流だ。

もちろん会社によって違うのだろうけれど、僕の場合はこんな感じだ。

体系的にマネージャーを育てようという感じは全くない。

実際に会社には色んなタイプのマネージャーがいて、評価軸も様々だ。

たぶんそれが普通なのだろう。

でも何だか僕には皆の顔が死んだように見える。

仕事なんてそんなものなのかもしれない。

金を稼ぐための手段に過ぎない、それもよくわかる。

やりがいなんていう戯言でただ搾取しているだけだろう、そういう言説にも共感する。

あまり好きな言葉ではないが、社畜というのもその一連の言説の流れなのだろう。

その感覚はとてもよくわかる。

マネージャーだって一介の労働者に過ぎないので、そんな高邁な精神なんて持たずに、とりあえず職務を全うすればよいのだろう。

異論はない。全くない。

でもさ、と僕は思う。

もう少しやり方はないものかね、と。

継ぎはぎだらけで不格好な地べたのマネージャー論

理想論を語るには僕は歳を取ってしまった。

色んな現実も知ってしまった。

それでもさ、と僕は思う。

もう少しマネージャーがまともだったら、少しは仕事が前向きになるんじゃないかって。

少なくともこんな感じでは働いていないんじゃないかって。

もちろん日本の中にもシリコンバレーみたいな自由で快活でポジティブな会社がたくさんあるのだろう。

そこにいるマネージャーはザッカーバーグ的な(もしくはイーロン・マスク的な、ジェフ・ベゾズ的な、でも何でもいい)素晴らしい世界観を持って働いているのだろう。

だから僕の言っていることは的外れなのかもしれない。

別世界からの空言なのかもしれない。

それでも、もしかしたら、僕と同じような境遇のマネージャーがいるかもしれない、と思って僕は現実的なことを書いていく。

その人たちの教科書にはならないかもしれないけれど、少なくとも失敗が少なくなることを願って書いていく。

5年経って見て思うのは、継ぎはぎだらけで不格好なマネージャーになるしかなかった僕でも、成り立ての時よりは色んなことがわかってきた、ということだ。

もう少し早く知っていれば、こんなに遠回りしなくて済んだのにと思うことばかりだ。

プロマネージャー達とは違う地べたのマネージャー論。

どこか少しでも参考になればうれしいです。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


編集後記

リーダーの育成はどのようにすればいいのか?

マネージャーに限らず、日本社会にはビジョンを語ったり、皆をモチベートさせる人材が不足しているような気がします。

営業マンの延長線上としてマネージャーとなった僕のようにどうしようもない感じではなく、きちんとした育成手法があれば、そしてそうして育ったマネージャーが会社にたくさん存在していれば、もう少し社会にも活力が生まれるような気がしています。

仕事は苦役であることは事実ですが、時に充実感が生まれることもあります。

その機会をできるだけ多くできるようなマネージャーになりたいといつも思っています。