フィードバックでキツいこと言えてますか?
ポジティブなことしか言えない環境
何かといえば、パワハラだ、セクハラだ、となる昨今、フィードバックでも部下に気を使っていませんか?
今日はそんな書き出しで文章を始めてみる。
日常業務の中で部下と定期的に対話する(1on1など)人も、どちらかというとネガティブなことを言うよりはポジティブなことを言うことが多い、その方が部下との関係性が崩れず、その後の運営がし易い、そんな人が多いと思っている。
でも、オフィシャルなフィードバック面談の時くらい、キツいことを言った方が良いのでは?
というか、そこでやらないと、中々言う機会がないのでは?
ボーナス時期でもあるので(アップする頃にはだいぶ過ぎていそうだが…)、今日はそんなことを書いていこうと思う。
褒めるだけではダメな部下もいる
叱るより、褒めなさい。
マネジメントについて学びだすと、どこかしらで出会う言葉である。
まあ言わんとしていることはわからなくはない。
でも、それだけではダメな部下もいる。
そしてそのような部下にはきちんとキツいことも言わなければならない。
その機会として公的なフィードバックを利用しない手はない。
今日の話の要点がこれである。
叱ることのリターンはリスクとは等価ではない。が…
どんな部下であれ、明日も明後日も一緒に仕事をしなければならないという環境下では、下手なことを言って部下との関係性が悪化してしまうことを恐れ、言いたいことも言わずグッと堪えているマネージャーが殆どであると僕は思っている。
そしてそれはやむを得ないというか、現在のような状況においては、むしろ有効ですらある。
いつも言うように、僕は仕事としてマネージャーをやっているだけで、そのリスクとリターンを冷静に考えた場合、叱ることのリターンはリスクと等価であるとは言えない、そう思っている。
でも、僕だって人間なので、そして長年マネジメントという仕事をやっているので、それなりに部下に対して言いたいことが募ってくる場合がある。
それを放出する機会が、公的なフィードバック面談(例えば賞与面談)である。
厳しいことは(ヘラヘラせずに)厳しく伝える
1対1のオフィシャルな面談。
そこで部下と向かい合うのは、それなりの緊張感がある。
でも、そこでは変に迎合せず、厳しいことは厳しく伝えた方がいい(特に評価の部分は)。
何というか、仮面を被って、感情をなくして、事実だけを伝える、そのくらいのイメージでいいような気さえしている。
もちろん、伝え方というか、その場の雰囲気の作り方みたいなものには気を遣った方が良いのだけれど、評価は評価というか、査定する者としての厳しさみたいなものはあってもよいのではないか、と思うのだ。
評価に好悪は関係ない
海外ではどうだかわからないが、日本では、評価を下すと、それもよい評価ではない場合には、「糾弾されている」と捉えられることが多いような気がしている。
この「糾弾」は「非難」というか、「嫌悪」というか、言葉は何でもいいのだけれど、そこに「感情」が含まれていると捉えられることが多いような気がするのである(例えば、「私は課長に嫌われている」みたいな受け止め方)。
でも、評価には感情は必要ない。
評価は評価である。
その部下が好きとか嫌いとか、そういうことではないのである。
あくまでも、期待値に対する達成率、それだけを評価し、伝えるのである。
ここを変に言葉を濁し、それっぽく言うから、部下が勘違いするのだ。
「やってもやらなくても同じ」でいいのか?
僕は仕事の出来不出来によって、給与に変動があるのはやむを得ないという考え方を持っている。
もちろん、その変動率が生活に支障をきたすくらいの大きなものであることは望ましいとは言えないが、少なくとも「ヤバいな…」と冷や汗を流すくらいの下落率ではあるべきだと思っている。
一方、やった人には報いるというか、メリハリをつけた運営を行いたい。
でも、現状ではそれはできない。
やった人もやらなかった人も大差がなく、結果として、「やってもやらなくても同じ」という雰囲気が蔓延しているように思う。
それを少しでも変えたいのだ。
そしてそれができるのは、ボーナスの額くらいなのではないか?
やっていない奴にまで気を遣う必要なんてあるのか?
仕事は対価を伴うもので、そこにはパフォーマンスの査定があって当然で、それによって処遇に変動もある、というようなある種当たり前のことがなぜ通らないのかが僕には不思議でならない。
なぜこんなにも部下に気を遣う必要があるのか?
もちろん、ハラスメントを日常的に行っているようなクソマネージャーがたくさんいることも事実だ。
でも、そうでない人まで、なぜこんなにも我慢しなければならないのか?
それも、好悪ではなく、成果が上がっていない人に対して成果が上がっていないですね、と言うことまで封じられなければならないのか?
僕にはよくわからない。
仕事はボランティア活動じゃないぜ?
だから、僕は賞与査定の時くらいは言いたいことを言わせてもらうようにしている。
もちろんそれだって「全力」ではない。
何重ものオブラートを被せて、物凄くマイルドにしているつもりだ(それでも、十分にキツいとは思うが)。
そうやってチームに緊張感を生んでいく。
仕事はボランティア活動ではない。
学校でも部活でもない。
それがわからない人が多すぎるのだ。
真っ当な人に真っ当な対価を。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
キツいことを言うためには、普段からきちんとした仕事をしていなければならない。
本文からのカウンターを書くなら、そういうことになると思います。
「お前が言うな」「お前はどうなんだ」と思われないような仕事を日々続けること。
それはそれなりの緊張感を伴うものです。
「この人になら、キツいことを言われても仕方ないな」
そのくらいマネージャーも真剣に仕事に向き合うべきです。
自らを律して、襟を正して、仕事をしてきましょう。