飽きさせない努力
単調であることは良いことであるはずなのに
マネジメント業務は単調である。
特に平時においては。
というか、そんなことを言うのは贅沢な話なのかもしれない。
むしろ、単調であることを言祝ぐべきなのだろう。
毎日が滞りなく過ぎていくことは、マネジメントがある程度上手くいっている証拠であり、それについて不満を言うなんてことはあってはならないことであるのだろう。
でも、である。
そうは言っても代わり映えのない毎日に、モチベーションを失っているマネージャーの方も相当数いるのではないか。
同じことを繰り返していくこと。
抑揚のない日々を送ること。
マネジメントの完成系はどうしたってそのようなものになる。
退屈な毎日。
そんな中で、自分をどうにかして飽きさせないようにすること。
今日はそんなテーマで話をしてみようと思う。
ルーティンは良いこと
着任当初のゴタゴタが一段落して、ある程度テコ入れを行い、チームが巡航速度に乗ると、マネージャーの仕事は途端に少なくなる。
言ってみれば、ルーティン業務をこなしていくことで、1日が過ぎていく。
それを繰り返せば1か月になり、四半期になり、半期になり、1年になる。
これは望ましいことである。
大体が予想の範囲内
マネージャーの仕事というのは、どちらかというと「有事」において必要とされるものであって、「平時」に何事もなく暇であるということは、チームが上手くいっている証拠であると言える。
大体が自分の予想の範囲で過ぎていくこと。
経験を重ねれば重ねるほど、「かつて見た景色」が増えていき、それについての対処法や展開していくであろう方向性がわかるので、多少のことではドキドキしたり、ワクワクしたりすることはなくなる。
また、プレイヤー時代のようにアドレナリンが湧き出ることもなく、平々凡々、心拍数も一定で、毎日が過ぎていくのだ。
チームがワークしていない時は、そのような状態(落ち着いた状態)になることを切望しているのに、いざ一旦上手くいくと、暇を嘆いてしまう。
えなり的弁解
これは「マネージャーあるある」であると思う。
そのような状態を望むのに、いざ実現すると手持ち無沙汰になる。
結果として、マネジメントに対するモチベーションも低下していく。
いや、モチベーションの低下で済むのであれば、まだマシかもしれない。
ベテランマネージャーを想像してもらえばわかる通り、だんだんと腰が重くなり、ルーティン業務以外のことをやりたくなくなる。
面倒になり、億劫になる。
「どうせ同じ給料であれば楽な方がいいでしょ?」
それはその通りである。
こうやって「ただやり過ごす」だけの管理職が生まれていく。
担当者時代には自分はそのような人達を軽蔑していたはずであるが、自分のこととなると「そんなこと言ったって仕方ないじゃないか」的な、えなり的弁解をしてしまうものなのである。
あなたはそうなっていないだろうか?
自分に問いかけてみて欲しい。
マネージャーが突拍子もないことをやり始める理由
僕は日々このような感覚と闘っている。
闘っている、というと大げさだけれど、なるべくそうならないように意識をしている。
多くのマネージャーが、突拍子もなく新しいことをやりたがるのは、たぶんこのような感覚が関係しているのだろう、と思ったりもする。
自分を飽きさせない為に、違うことをしよう。
刺激が欲しい。
その気持ちはよくわかる。
でも、その気持ちだけで突っ走るのはNGだ。
チームが上手くいっていないのであればやるべきであるけれど、自分が飽きているからやるというのは完全に間違っている。
ただチームを混乱させるだけだ。
自分自身のマネジメントを点検する
ではどうすればいいのか?
これはその人のマネジメント段階にもよるとは思うけれど、まだ就任して日が浅い場合には、自身のマネジメントについて研究することがこの「飽き」を和らげてくれるだろう。
前のめりに仕事に没頭している状態からすっと身を引いて、客観的に自分の仕事ぶりを評価してみる。
上手くいっていることを過大評価したくなる気持ちをぐっと堪えて、冷静かつ冷徹に自分のマネジメントを判定する。
そこで見つかった足りない部分を補強する為にどうすればいいのかを考える。
ただし、補強するということは他の部分とのバランスを吟味する必要があるということと同義であるので、これを同時並行でやる為にはどうすればいいのかを検討する。
そして実際にやってみる。
また結果をフィードバックする。
これが1つだ。
マネージャーがマネージャーに安住しない
もう1つは、違う分野に目を向けるということだと思う。
僕は現在こちらの方でモチベーションを維持しようとしていて、マネジメント能力を上げる為には人間性を向上させるしかない、というような観念に基づいた動きと言えるかもしれない。
人間性を向上させる、というとおこがましいけれど、違う分野や同じ分野でもちょっと違う観点にアンテナを伸ばすとマネジメント業務にも活かせるのではないか、という感じである。
もう少し具体的に言うと、マネージャー自身が多様化するキャリアの中で自ら新しいキャリアを切り開こうとする姿を見せることが結構大事なのではないか、と考えている。
言うは易く行うは難し、で自分でやってみてそれを示すことが、腰の重いマネージャーにならない秘訣であるような気がしている。
結果として同じ業務をやるとしても、視座が変わる。
その感覚が大事なのだと思う。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
僕は非常に飽きっぽい人間です。
だからそもそもからしてマネジメントには向いていないのだと思います。
大過なく1日が終わる、というのはとても望ましい事態であるはずなのですが、僕にはつまらないもののように感じてしまうので、チームが一旦軌道に乗ると、途端に興味が薄れてしまいます。
でも決してそれが良いとは思っていないから、余計にジレンマを感じる。
それはきっと僕だけではないのではないだろうか?
そんな気持ちから今回の話を書いてみました。
共感頂けたら幸いです。