マネージャーって忙しい?

「現場のミドル=忙しい」という定説

社内外問わず、自己紹介を済ませ、現場のミドルマネージャーであることを明かすと、大抵の人が「忙しくて大変ですね」という言葉を返してくる。

もちろんそこには社交辞令的な要素は含まれているとは思う。

そして定型句的な要素もあると思う。

でも、どちらかというと、本心から(そして実体験から)そのように言っているように感じることが多いのである。

「現場のミドル=忙しい」

ただ、個人的な実感としては、その前の役職の時の方が圧倒的に忙しかった(僕の社内の電話と携帯電話は鳴りっぱなしであった)し、それに比べれば全然余裕、といったところである。

なので、そのように言うと、「またまた…(ご謙遜を)」みたいな返しになるので、「ちょっと違うんだよな…」と思うことになる。

多くのマネージャー達が忙しそうにしている中で、僕は暇そうに働いている。

今日はその違和感について話してみようと思う。

ご愁傷様です…

まず日本語的な話からしていく。

「お忙しいところ恐縮ですが…」という定型句を言葉の冒頭に付けるのは、日本的な慣習であると思うけれど、今日の話はそういうことを言いたい訳ではない。

もう少し、実感がこもっているような感じのやり取りの話である。

たぶん大方の同世代の人や年上の人達には、何らかのマネジメント経験があって、それは大変であった、という経験からの言葉であるように僕には感じるのだ。

同情や憐憫。

そのようなものが含まれた総体としての言葉。

それを僕はひしひしと感じるのである。

責任と権限の不釣り合いがミドルマネージャーを疲弊させている

ではミドルマネージャーはなぜ忙しいのか?

責任や業務が集中している割に権限が乏しいから、である(と僕は考えている)。

会社によっても「ミドル」の扱いは違うのかもしれないけれど、僕が務めている会社においては、課長と言ってもメンバーに毛が生えた程度のもので、大した権限は持たされていない。

でも、責任だけは負わされる。

このアンバランスさの中で、膨大な業務をこなさなければならない。

この辺の無力感がミドルマネージャーの忙しさ(と徒労感)を作り出しているのだと思う。

そしてそれに全部応えようとするから、どんどん疲弊していくのだと僕は思っている。

キャパを空けておかなければ有事に対応できない

このブログは駆け出しの頃の自分に向かって書いているものであるから、それを踏まえてアドバイスをすると、「いや、気持ちはわかるけれど、それだと有事に対応できなくなるから、できるだけキャパを空けておきなさい」ということになる。

そして、「キャパを空ける為には、やらなくていいことをきちんと見極めなさい」ということに繋がっていく。

この辺の取捨選択(きちんとした言い方をすると有限である経営資源の配分)が重要なのである。

パレートの法則

全方位で頑張る必要はないのだ。

パレートの法則を意識して、捨てる部分は思いっきり捨てればいいのである。

パレートの法則とは、80対20の法則とも言われることがある、例のアレである。

要は、売上高の80%は20%の優良顧客から生み出されている営業成績の80%は20%の優秀なメンバーから生み出されている(他何でもいい)、ということを意識する(実際の数値が精緻でなくても構わない。あくまでもイメージだ)。

これは分かり易く言うと、テストで80点まで上げるのはそんなに大変ではないけれど、そこから100点まで上げるのは効率が悪くなる、ということ(?)だと思っている。

でも、多くのマネージャーは100点を目指し過ぎている。

結果として、やらなくてもいいことをやって、自分で自分の首を絞めている。

僕にはそのように見える。

プロセスと努力と一生懸命?

もちろんここにはパフォーマンスとしての「忙しさの演出」という要素も含まれていると思う。

僕のように暇そうにしているよりは、忙しそうにしている方が、仕事ができそうに見えるからだ。

そして日本社会というのは「プロセス」「努力」「一生懸命」みたいなものが大好きであるからだ。

当初から言っているように、僕はこの風潮をナンセンスだと思っている。

大事なのは成果である。

「大事な業務」が大事な業務であったためしはない

もちろん僕のフィールドが営業だから、という要因はあるだろう。

でも、他部署の状況を見たり聞いたりしても、「もう少しやらなくてもいいことありそうだけどな…」と思うことはよくあるので、「プロセス礼賛主義」というのは、体に染みついてしまっていて、そう簡単に取れないものなのかもしれない。

そして大抵の場合、何かをやめようとすると、「これは大事な業務なので…」という抵抗勢力が現れるのだけれど、僕の経験では、それが大事な業務であったためしはない。

どうしても、というのであれば、一回やめてみて、必要であれば復活させればいいだけのことである(その結果、復活したことはないが)。

マネージャーの生産性は低いってみんな思ってるぜ?

人間というのは、惰性・慣性に引きずられてしまう生き物である。

ミドルマネージャーの忙しさも、忙しいのが普通だと思っているから、忙しいのである。

一旦、視点を離れて、自分の業務を客観的に眺めてみるといい。

如何に生産性が低いかがわかるだろう。

多くのマネージャーが蔑みの対象になっているのは、メンバーからはちゃんとそのことがわかっているからである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

僕がこのブログを書いているのは、読んでくださっている人達の力になりたいというのは勿論のことですが、大風呂敷を広げると、それがひいては日本の生産性向上に繋がると考えているからです。

日本の生産性が低いのには様々な要因がありますが、その1つとして僕はマネジメント不全があると考えています。

旧態依然とした根性主義を変えたい。

それが僕がこのブログを書いている意味です。

引き続き応援頂けたら幸いです。