課長業に病みそうになったら

理想は早めに捨てよう

新年度を迎え、課長に昇進し、「頑張るぞ!」と希望に燃える若手管理職の人たちにおじさんからのささやかなアドバイスを。

「理想は(早めに)捨てた方が楽だよ」

自分で書いていても身も蓋もないアドバイスだと思うし、それができれば苦労はしないのだけれど、数々の若手マネージャーを見てきた僕が思うのはこのような趣旨のことである。

それは単純に、理想があると「がっかりしてしまうから」である。

そして、責任感の強い人ほど「燃え尽きてしまうから」である。

課長業の苦しいところは、明らかに理不尽だと思われるようなことも「それは課長の仕事だろ?」であるとか「お前の指導がなっていないんじゃないか?」という言葉によって、その責任を負わされてしまうことである。

それだけならまだいい。

人に言われるのはある種仕方がない(と割り切ることはできる)。

でもそれを鵜呑みにして、「その通りだ。自分はなんてできない課長なんだ…」と病んでしまったら元も子もない。

僕のように開き直るのは難しいとしても、もう少し気楽に考えられるようになると課長業を続けられる可能性はだいぶ上がる。

今日はそんなことを書いてみようと思う。

五十歩百歩

「現在の課長(既に課長として職務を果たしている人達)だって求められる条件(理想)を満たしていない。だからそんなに気にすることはない」

これが冒頭の言葉をもう少し噛み砕いた文章である。

僕は数々の上級マネージャーから、「お前はなっていない。だからダメなんだ」ということを言われ続けてきた。

まあ、確かにその通りだと思う。

社会的不適合者である僕が、マネージャーをやっていること自体がそもそもおかしいのである。

それくらいの自覚はある。

でもだからって、それを言っている当事者が、彼ら(彼女ら)の言う仕事の水準を満たしているか、というのはまた別の話である。

私怨を抜きにしても、彼ら(彼女ら)が彼ら(彼女ら)の言う「理想のマネジメント」を遂行できているとはとても思えないのである。

マネジメントについて考えている人に会ったことがない

この話をもう少し敷衍すると、6年以上マネージャーをやってきて、数々のマネージャーの仕事ぶりを見てきたけれど、みんな「大したことはない」というのが僕の率直な感想である。

僕のように「マネジメントとは何か?」「課長とはどうあるべきか?」ということを内省している人とは会ったことがないし、大体の人はかつての自分の上司をロールモデルにして、その劣化版を再演しているに過ぎないのだ(だからこそ、僕はこのブログを始めたわけだが…)。

大丈夫、大丈夫

僕から見える日本社会においては、「マネジメント力」が圧倒的に欠如している。

もちろん僕もその片棒を担いてしまっているのであるけれど、少なくとも彼ら(彼女ら)と僕が異なるのは、その「欠如感」は持っているということだと思う。

僕は現状に全く満足していない。

そして若手マネージャーに対して、自分でもできていないことを偉そうに能書きを垂れるような厚顔無恥さは持ち合わせていない。

なので、繰り返す。

「あまり気にすんなよ」

理想的な○○は存在しない。でもそれは必ずしも悪いことではない。

理想的なチームはできない。

理想的な仕事はできない。

理想的な部下は存在しない。

それは一見諦めのように思える。

でも、そこからチームを立ち上げることが重要なのだと僕は思っている。

「能動的な諦め」というか。

「前向きな諦念」というか。

いつかどこかでふと思い出してくれればいい

「課長は全方位においてパーフェクトでなければならない」というのは幻想に過ぎない。

その呪縛からできるだけ早く自分を解放してあげたらいい。

僕はそんな風に考えている。

ただ、マネージャーに成り立ての、6年前の自分にそのように言ったとしても「は? 何言ってんすか?」と思うだろうことはよくわかっている。

なので、経験を重ね、挫折をある程度経たら、思い出してくれればいい。

そこまで大層に考える必要はないぞ、と。

捨てられるようになったら一人前

問題はいつだって山積みだ。

それを直視し続けると、実際に精神的におかしくなりそうになる

ましてや、課長業は忙しい。

じっくりと考えて、どっしりと問題に向き合う、なんてことは夢のまた夢である。

だから、気楽に構えた方が良い。

できないものはできない、と割り切った方が良い。

捨てることができるようになった時、マネージャーというのは1段階レベルアップするのだと、今になって僕は思う。

まあ、それは現段階では伝わらないだろうけれど。

第一人者? あなたが? 正気ですか?

外部の人間はあらゆることを言ってくる。

自分ではできもしないことを、さもその道の第一人者みたいな面して諭してくる。

はいはい、と聞いておけばいい。

彼ら(彼女ら)のアドバイスなどはっきり言って、何の役にも立たない。

聞き流しておけばいいのだ。

呪いから解き放つ

日本にはまともなマネージャーは殆どいない(僕もその1人だ)。

だから彼ら(彼女ら)のアドバイスなど聞くに値しない。

それよりは、自分を自分の呪縛から解き放ってあげることが重要である。

更なる呪いで自分を縛ってしまっては元も子もない。

自信がない状態であると、ブレてしまいそうになることは僕も何度も体験している。

だからこそ、早めに成果を出すことが重要なのである。

思い詰めることはない。

テキトーに行こう。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

マネジメントについてのダメ出しは簡単です。

なぜなら、「完璧」ということはありえないからです。

なので、他人が偉そうに何かを言ってきたとしても、そんなに気にすることはないと僕は思っています。

それよりも、自分を信じること、部下を信じることが大切です。

あまり悩まず、できないものはできないと割り切っていきましょう。