ベースの信頼感

Unsplashfreestocksが撮影した写真

「話が伝わりやすい」というシンプルかつ強力な理由

ベース(底流)にある信頼感が大事である、と最近よく思う。

派手なことやカッコいいことを言いたくなる気持ちが僕にもないわけではないけれど、それよりもコツコツと信頼を積み上げることの大切さを身に染みて感じる。

それは「話が伝わりやすい」というシンプルかつ強力な理由である。

僕の言うことは、他意なく受け取られる。

仮に誤解があったとしても、話せば真意を理解してもらえる。

そんなの当たり前のことかもしれない。

でも、そうでもないのではないか、というのが今日の話である。

それでは始めていこう。

足し算の日々

毎日の行動や発言、その時の表情や空気感、そんなものの累計が信頼感のベースとなる。

何年もマネージャーをやっているとそんなことを思う。

それは一朝一夕に作られるものではない。

そして、すぐに壊れるものでもない。

そんなことを思うのだ。

地層のように積み重なる

人の信用を失うのは一瞬、ということはよく言われる。

それはその通りだと思う。

でも、日々きちんと仕事をしていて、それなりの苦労を自ら引き受けていると、部下というのは思いのほかわかってくれるものだ、とも思う。

人間なので、誰しも間違いはある。

でも間違えた時に、きちんと謝れば、その真意が伝わる。

そしてきちんと謝ったことで信頼感が失われずに済んだり、むしろ高まったりする。

その繰り返しが地層のように積み重なっていく。

ニュアンスの解釈次第でチームの方向性は大きく変わってしまう

マネージャーとして話をしていると、「ニュアンス」の重要性を感じることが多い。

これは日本特有のことなのかもしれないし、もっと言葉を尽くして、ニュアンスの余地をなくして、誰が聞いても同じように受け取れるように努力すべきである、という言い分もわかる。

でも、毎回それはできない。

それは僕の力量不足であるのだろう。

ただ、その何気なく話した言葉の真意を部下がくみ取ってくれるかどうか、というのは、ベースの信頼感があるかどうかで大きく異なる、そしてそれはチームマネジメントにおいてとても重要なことである、ということを思うのだ。

素直に話をできるという環境

「マネージャーはああ言っているけれど、裏があるのではないか?」

「それなら自分も本心を出さず、黙っておこう」

これは最近流行りの言葉で言えば、「心理的安全性」ということになるのかもしれない。

でも、そんなに難しく考えなくても、「素直に話ができる」という状況を作る為には、信頼感がなければだめだよね、それは一朝一夕ではできないよね、ということなのだと思う。

血を流そうぜ?

これはチームの環境だけでなく、組織の環境も大いに関係している。

官僚的組織に勤めているなら、自己開示の難易度は格段に上がるだろう。

でも、そういう状況においても、上司であるマネージャー(自分)がある程度自己開示をしながら仕事をしている様を見れば、部下もある程度自己開示をしてくれるようになるのだ。

これは言うは易く行うは難しではある。

誰だって自分は可愛いし、上司に変なことは言いたくない。

でも、それよりも大事なことを守ろうとしていたり、自分が嫌なことも進んで被りに行ったりしている姿というのは、人の心を動かすのだろうと思う。

僕は卑怯者だ

僕は自分がズルい人間で、追い込まれると部下のせいにしたくなる卑怯な部分が顔を出すことを自覚している。

だから、そうならないように日々努める。

それは演技でも、仮面でもいい。

マネージャーとして、仕事として、そうならないように仕事をするというスタンスを堅持する。

それを毎日続ける。

そういうことが大事なのだろうと思うのだ。

変わらない日々が、見えない部分で効く

マネージャーが忙しいというのは事実だ。

部下との面談時間が少ない、というのは日本全体の課題であると思う。

そして部下と面談したところで、部下が急成長する訳ではないし、何か目に見える成果が上がるようになるわけではない。

昨日も今日も来週も同じ状況である。

でも、見えない部分でこれが効くのだ、と僕は思っている。

自分の言葉を伝える労力を減らす為に

もう少し丁寧に説明すると、僕は一時期、部下との1対1の面談をやめたことがあった。

流石の僕も、成果に直接つながらないし、時間がもったいないと思ったからだ。

その時に具体的なマイナス面が出てきたわけではないけれど、何となくしっくりこない感覚があったので、暫くしてからまた再開した。

そのしっくりこない感覚の根源にあるのが、今回のベースの信頼感の話なのだろうと思う。

部下と話そうが、話すまいが、目に見える部分に大きな変化はない。

でも、それがなければ、自分の言葉を伝える労力が増える。

そんな感じかもしれない。

温度やテンポを上げること

マネジメントというのは、言葉を介する仕事である。

言葉によって、部下や組織を動かしていく仕事である。

ただ、その言葉というのは、同じ言葉であっても同じように響くとは限らない。

そこに面白さがあるし、大変さがある。

僕は1週間に1度部下と無駄話をすることで、言葉への信頼度を維持している、そういうことなのかもしれない。

仕事のベースにあるもの。

その温度やテンポを少しだけ上げること。

それが仕事をやり易くする上では大切なのだろうと思う。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

僕が営業という仕事をしているからか、部下には嘘は通じない、そんなことを思い知らされることが多いです。

でも、それはネガティブなことばかりではなくて、本心から言ったことは必ず伝わる、ということでもあります。

これはマネージャーのタイプ(キャラクター)によっても異なるとは思いますが、僕には本心を曝け出すやり方の方が向いているようです。

あなたの言っていることは、あなた自身の言葉なのでしょうか?

誰かの受け売りや、組織の命令を繰り返すだけではないでしょうか?

それをやめた時、マネジメントという仕事は面白くなります。

部下を信頼して、自己開示していきましょう。

マネジメント実践編

前の記事

流す力