第一印象は合っている。けど…
成長限界が見えてしまう
第一印象は合っているものだ。
その人がどのようなタイプの人間であるのか、顔付きと歩き方・会話の1ラリーがあれば、大体のことが把握できる。
もちろん、その人を知るにつれてある程度の修正がなされることはあるけれど、それもそんなに長くは続かずに、元の第一印象に落ち着くことが多い。
これはマネジメントという仕事においてはメリットにはなりづらい特性であると僕は思っている。
「初手」で大体の相手の人となりがわかってしまい、部下の成長限界みたいなものも見えてしまうので、何というか、人間関係構築や部下育成に対するモチベーションが薄れてしまうのである。
そして、好きなタイプであれば話は別であるが、嫌いなタイプであると、第一印象が固定化してしまうので、余計に良いことにはならない。
嫌いな人は第一印象から嫌いである。
それが覆ることはない。
でも、というのが今日の話だ。
それでは始めていこう。
僕にとっての成長とは、鈍麻させることに近い
僕が自分でマネージャーとして多少は成長したなと思うのは、嫌いな人であってもそれをある程度抑えながら仕事ができるようになった、ということである。
そんなこと社会人なら当たり前の話なのだろうけれど、僕の場合はこの程度であっても成長なのである(お恥ずかしい話であるが…)。
HSP的な傾向を持つ人なら共感して頂けると思うのだけれど、「嫌いセンサー」の感度を鈍くできるようになった、というのがこの成長という感覚には近いと思っている。
そういう意味では、成長というよりは鈍化(鈍麻)に近いかもしれない。
要は、自分の感覚を騙しながら人付き合いができるようになったのである。
嫌いセンサー
よく人付き合いの教科書的なものに、「人の良い所を見つけなさい」という使い古された言葉があるけれど、僕の場合はまず「嫌いセンサー」の感度を落とさないとそれどころではないので、これができるようになってから、人の良い面にも目を向けられるようになってきた。
初見から「嫌い」と判定してしまう悪い癖がある僕は、すぐに心のシャッターを下ろし、その人とはできるだけ関わらないようにしようとしてしまっていたのだけれど、これをすぐにしないようにできるようになった(遅らせられるようになった)のである。
この「時間を作る動き」がその人の良い部分を見つけられる確率を高めてくれる。
出来ている人には当たり前の話なのだろうけれど、このニュアンスの違いは僕にとっては大きいのである。
良い所を積極的に見つけようとしても「嫌いセンサー」が反応して拒絶してしまうのと、「嫌いセンサー」の感度を落とすことで時間を稼ぎ、良い所が自然と目に入ってくるという違い。
こうやって僕は自分の第一印象を騙している。
マネージャーはどんな人とも関係性を構築しなければならない
第一印象を騙すことは、僕にとってはマネジメントのペルソナを被ることに繋がる。
マネージャーはどんな人ともある程度以上の関係性を築かなければならない、というのは折に触れて書いていることであるけれど、僕みたいな狭小な心を持つ人間には、これはなかなか難易度が高い。
そして悲しいかな、僕のセンサーは鋭敏である。
そのセンサーをどうやって鈍麻させるか、というのは僕にとっては大きな課題であったわけである。
仕事場以外の顔を知ること
以前にも書いたことであるけれど、手っ取り早いのは「相手のことを知る」ということである。
要は「仕事場以外のペルソナ」を知っておくということである。
仕事場では「嫌いな上司」であっても、誰かの父であったり、誰かの夫であったりするわけである。
もっと言うと、毎週Jリーグの試合を見に行っていたり、空手を習っていたり、クラシックのコンサートに出演していたり、参観日に行っていたり、そういう側面を知っておく。
それだけで「嫌いセンサー」の感度を落とすことができる。
自分は案外悪い奴ではないかという信頼
ここには「自分への信頼度」も関係している。
僕は案外悪い奴ではないのではないか、という考えはマネージャーになってからの大きな気付きである。
別に心を閉ざさなくても、普通にしていれば嫌われることはない、仮に嫌われたとしても自分に問題があるだけでなく、相手にも相応の問題がある、そう考えられるようになったのである。
その2つが合わさると、必ずしも第一印象だけで判断しないで、相手と付き合うことができるようになった、というわけである。
近眼のままでいる
これは「我慢」とはちょっと違うものだと僕は思っている。
焦点がぼやけるというか、近視のままでいるというか、そんな感じである。
目が良ければ部屋の小さな塵にも気づくだろうし、相手の目ヤニだって見えるだろう。
HSP的な僕はそれが無意識的に見えてしまうのだ。
それをぼやかす。
そして相手のことをその間に知っていく。
仕事場以外の人間性を知ろう
現在のようなコロナ禍では、仕事場以外の人間性を知ることは難しいかもしれない。
でも、何気ない対話を続けることで、その糸口は見えてくるものである。
僕が1on1や雑談に重きを置くのも、こんなことが関係しているのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
嫌いな人はずっと嫌いです。
それは部下だって変わりません。
でもそんなことばかり言っていたら、マネジメントという仕事をすることはできません。
そこで僕が取ったのが、センサーの感度を(無理やり)下げる、という方法です。
その間に何とか良い所を知る、それだけで最低限の人間関係を作ることができます。
自分の精神状態を維持しながら、嫌いな人とも上手に付き合っていきましょう。