減らすと良くなる
焼き直し、焼き直し。
「マネジメントとは削減することだ」
僕はこのブログでずっとそれを主張している。
今日もまた同じ話だ。
なので、「もういいや、聞き飽きたよ」という方は、ここで×ボタンを押すか、スワイプして、もっと有益な情報に触れて頂いた方がいい。
でも、これだけ同じことを繰り返すのは、それが何度言っても浸透しないから、という意味合いがあること、それに賛同できる方は、是非続きを読んで頂きたい。
「チームを良くしたい」
「でも、何が原因なのかわからない」
そんな方には「減らすと良くなる」という概念を頭に入れて頂くと役に立つかもしれない。
それでは始めていこう。
前例のないことをやることはリスクでしかない
「減らすということはリスクを負うということである」
日本企業で長く働く僕にはこのように思えることがある。
というのも、「何かを減らす=それで失敗したら責任はお前にあるからな」という暗黙のルール(脅迫)が日本企業にはあるような気がするからである(外国企業のことは知らない)。
「前例踏襲からはみ出すものは、その責任を負う(他の責任もまとめてくっつけて)」
これが日本企業の生産性が上がらない要因の1つである(と僕は考えている)。
新しいことを始めること、無駄なことをやめること、それらは失敗すると全て自分の責任となる。
他の失敗のツケも全部払わされて。
もっと言えば、それで成功したとしても、手柄は他の誰か(多くは上司)のものになってしまう。
だったら、なぜ新しいことを始めたり、無駄なことをやめたりする必要がある?
それが多くの人の実感だと思う(絶対に表には出さないと思うが)。
失敗待ちの無言の歓声
生産性を向上させること、何かを改善させること、というのは、(言葉は強いが)日本企業においてはボランティア活動と一緒で、趣味の範疇に過ぎないものと見做されているような気さえする(また、直接の評価の対象となることは稀だ)。
そしてここには同調圧力(足の引っ張り合い)が関係してもくる。
「ああ、アイツは目立ちたがり屋だから」
そのような声と、多くの無言の「失敗待ち」の圧力。
それによって、僕たちはどんどんシュリンクしていく。
結果、昨日と同じようなことを、それが無駄だと明らかにわかっていても、繰り返すような日々を送っている。
悪目立ちしないように。
そりゃ生産性なんて上がらないよな。
英雄にはなれない。でも、ゲリラにはなれるはず。
ただ、同時に、その中で新しい動きをすることの難しさもわかっているつもりである。
ジャンヌダルクやドン・キホーテには僕たちはなれない。
でも、隠れてというか、ゲリラ的に何かを変えることはできる。
それが今日のテーマである、「減らす」ということである。
そしてマネージャーという立場であれば、会社全部をとまではいかなくても、自分のチームの中くらいなら、それを適用することができるはずである。
軽いノリでOK!
ここで言う「減らす」というのは、何でもいい。
本当に些細なことで構わない。
「改革!」とか「革新!」とかそのような気負いをせずに、無駄なものをやめる、やめられないならその頻度を減らす、そういうちょっとした改善くらいのノリでいいのだ。
稟議や決裁やその他社内手続きがいらないもの、自分の裁量でできてしまうものから始めていく。
日々のちょっとしたストレスを除去していく、そんなイメージでちょこちょこやめていくのである。
それはどちらかというとやめることによる実利(実際に業務がスムーズに行われるようになる)よりも、不機嫌になる可能性を減らすメリットの方が大きい、そんな感じで僕は捉えている。
ストレスをなくすだけでチームは良くなる
繰り返すが、「業務改善しよう!」というような力みはいらない。
あくまでも日々のちょっとした引っ掛かりをなくし、スムーズに業務を進める為にやるのである。
それは一見すると、というか外部の人から見れば、誤差みたいなものである。
でも、内部の人間からすれば大きな違いとなるもの。
それは確実にチームの雰囲気を良くしていく。
無駄なものをなくせば、チームの体温が上がる
冒頭に書いたように、チームを変えたいと思っている人は、何か減らせるものがないかを探し、そこから手を付けることが良い、と僕は思っている。
というのも、無駄なものをなくす、というのは、割と部下からのウケが良いからである。
そして、それがなくなることで、チームの全体的な体温(ベースの体温)がちょっとだけ上昇するからである。
八つ当たりとも言えなくはないけれど…
部下というのは、日々の業務の些細なことで落ち込んだり、イライラしたりしている。
その矛先は時に上司であるマネージャーにも向く。
「なんでこんなムダな仕事があるのに、アイツは対処しようとしないのか」
それは言い掛かりと言えば言い掛かりだし、八つ当たりと言えば八つ当たりのような話ではある。
でも、そのようなちょっとしたストレスを除去してあげると、不満が解消され、チームの空気が良くなるのだ。
それに大した労力もいらない。
何か不満を訴えている部下がいたら、その話を聞き、明らかに無駄だなと思ったらやめてしまう。
それだけでチームというのは良くなる。
簡単だけど、できないこと
ちょっとしたことではある。
でも、やらない(できない)人が多いのも事実だ。
まずは減らすこと。
そこから始めてみよう。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
減らすことは(簡単だけど)難しい。
日本企業で働く僕はこのように思うことがあります。
でも、それをやらなければ、仕事は効率的にはなりません。
と、このように書くと、今度は逆サイドに大きく振れて、「業務改善プロジェクトだ!」みたいな大仰な話になるのも日本企業の良くないところで、そこまで肩肘を張らずとも、気楽に減らせるものを減らすくらいのスタンスでも十分効果がある、と僕は思っています。
うんうん唸って出てくる案に碌なものなんてありません。
「課長! これ意味ない!」
「じゃあ、やめるか!」
これくらいのノリで十分です。
どんどんいらない仕事を減らしていきましょう。