戦略に魂を入れるには?

UnsplashDiana Polekhinaが撮影した写真

もう少し成果が出ていても良さそうだけれど、出ていないチーム

これだけ長い間管理職という仕事をやっていると、チームの立て直しを命じられることがある。

そして、「どれだけダメな運営をしているのだろうか」という目で新しいチームに着任すると、「やっていることはそんなに悪くなさそう」と思うことが多い。

となると、何が原因なのだろうか?

戦略も悪くなく、それなりの規律もあり、部下の能力もまあまあであるけれど、チームとしての成果が出ていない状態(客観的に見て、もう少し成果が出ていてもおかしくないと思われる状態)。

でも、僕がそのチームに着任すると、成果が大きく向上することになる。

その違いとは?

僕は戦略の腹落ち具合が大事だと考えている。

もっと言えば、取捨選択というか、やらなくていいことはやらないことが大事であると考えている。

やっていることは悪くなくても、やり方によって、その質は大きく変わる。

今日はそんな話である。

戦略に魂を入れる

戦略に魂を入れる。

ちょっと精神論みたいな話に聞こえるかもしれないけれど、言いたいことはそういうことではない。

部下がその戦略に対して納得的であるかが重要なのである。

大抵のチームで行われている戦略は悪いものではない。

少なくとも、「こりゃダメだ…」と思うような戦略には僕自身あまり出会ったことがない(=出会ったことがない訳ではない)。

となると、筋は悪くない訳だ。

そして、僕がそのチームに着任しても、やることの大枠は変わらない。

でも、成果は大きく異なる。

それは(繰り返しにはなるが)、部下にきちんと腹落ちをさせているからだ。

戦略を変えるのではなく、納得性を付与する

僕が出会う戦略の多くは、「なんとなく」行われてしまっているように感じる。

「なんとなく」というのは、どこかで良いと聞きかじってきたとか、今までそのようにやってきたからとか、そのような理由で行われているという意味である。

これは何か斬新で素晴らしい戦略を常に出し続けるべきだ、ということを意味しない。

ただ、少なくともその戦略が何の目的で行われているのか、どのような狙いがあるものなのか、がチーム内で共有されている必要はある。

それがぼんやりとしていると、折角の戦略も効果は半減してしまうのだ。

だから、まず為すべきことは、戦略を変えることではなく、そこに納得性を付与することなのである(もちろん、そもそもの戦略がクソであれば、即変えるべきだ)。

部下に戦略について言語化してもらう

では、納得性を付与する為にはどうしたらいいのだろうか?

「部下に話を聞く」というのがその答えだ。

もっと言えば、部下にその戦略がなぜ行われているのかを言語化してもらう。

それが納得的な理由(説明)であれば、その部下はその戦略の核の部分まで理解しているということを意味するし、そうでなければ、腹落ちはしていないということを意味する。

そして、チームのメンバーの大半が戦略に対して自分の言葉で語ることができないのであれば、その戦略には魂が入っていないことを意味する。

その場合は、戦略の再考を検討する。

というか、僕の場合は元々の戦略を簡素化することが多い。

目的を明確化する為に、項目数を減らす

これは冒頭に書いた取捨選択という意味である。

部下が既存の戦略を言語化できていない理由の多くは、その目的が不明瞭であることに起因していると僕は考えている。

そして、目的が不明瞭であるのは、そこで実現しようとしている項目数が多すぎることが関係していることが多い。

なので、それを減らす。

できるだけ少なく、欲を言えば1つにまで絞る。

そうやって戦略をシャープにする。

やらなくていいことを明確化する

これは同時に「やらなくていいことを明確化する」ということを意味する。

でも、多くのチームにおいて「やらなくていいこと」なんてものは存在しない(存在が許されない)。

だから、マネージャーがそれを決断する必要がある。

その為には上司への根回しであるとか、ネゴシエーションなどが必要になるだろう。

ただ、これも立て直しを命じられているのであれば、そんなに大変なことではない。

失敗しても同じ、失うものはない、それくらいの覚悟を持って進言すればいいのである。

「やり過ぎ」をやめる

何年もマネジメントという仕事をやってきて思うのは、多くのチームにおける戦略の問題点の大半は「やり過ぎ」に起因する、ということである。

何でも網羅しようとし過ぎ。

そんなものは不可能だ。

項目数が増えれば増えるほど、1つ1つに対する濃度は薄くなるのは当然のことなのに、そこにはあまり意識が向いていないように思われる。

それはたぶん責任が明確化される(やめたことの責任を取らされる)のが嫌なのだろう。

覚悟を

そういう意味では、戦略に魂を入れる為に必要なことはマネージャーの覚悟であるとも言える。

責任を負う覚悟があれば、それをきちんと表明し、部下も理解しているのであれば、大抵のチームの軌道は上向いていく。

何をそんなことか、と思われる人もいるかもしれない。

でも、「そんなこと」が重要なのである。

ブランニューなアイディアは必要ない(というか、もう少し後で良い)。

まず戦略に魂を込めることだ。

そこからチームは変わっていくのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

精神論的なものではない、と言いながら、最後は精神論になってしまいました(反省)。

でも、(手のひらを返すようで恐縮ですが)精神的なものも大事だと僕は思っています。

というか、たくさんいる「その他大勢のマネージャー」から抜け出す為には、覚悟さえあればOKである、とすら僕は考えています。

それも大層な覚悟ではなく、ちょっとした覚悟があれば。

それを示すもっとも簡単な方法が「やめること」です。

できれば1つに。

それができるようになれば、成果を上げることはそんなに難しいことではなくなります。

覚悟1つでマネジメントは変わる。

イージーではありませんか?

覚悟を決めて、マネジメントを行っていきましょう。