後ろ向きな部下ばかりでお悩みの方へ

部下の大半は現状維持思考である

前向きで向上心があり、イキイキと働いている部下が欲しい。

その気持ちはよくわかる。

ただ、大抵の部下は、後ろ向き現状維持で、コスパ良く働きたいという者ばかりであるのが現実である。

それは僕の部下も一緒だ。

それこそ僕だって初任マネージャーの時には、こういった現実に対してそれなりに嘆いたり、憤っていたりしていたのだけれど、最近は諦めというか、「まあ、この戦力でやっていくしかないよね…」と思っているので、そんなに感情が波立つことはない。

もしあなたがそういうタイプの部下ばかりでお悩みであるのであれば、今回の話は少しは参考になるかもしれない。

それでは書いていこう。

異論は認める

「部下を育てなさい」というのは、マネージャーがよく言われる言葉の1つであると思う。

ただ、僕はこのステレオタイプな言葉に懐疑的でもある。

波風が立ちそうなので、なかなか現場では言いづらい話ではあるけれど、本音ベースで言えば、「育つ奴は育つし、育たない奴は育たない」というのが現実であると思う。

「それをやるのがお前の仕事だろ!」と言うのは簡単で、現実はそんなに甘くない。

部下を育てるのも大事であるけれど、現場を回すことも大事である。

1日を大過なく終えることだって、重要な仕事である。

それがわかっている人は少ないし、だからこそ僕はこうやって書いているわけである。

理想と現実

理想論を語るのは容易い。

でも理想論を言うだけでは現実は何も変わらない。

毎日の仕事は目の前にあるし、できない部下は実際に存在するし、それを何とかやり繰りしながら仕事をしていくこともマネージャーの重要な任務であるのだ。

あなたのチームと同じように、僕のチームにも後ろ向きな部下はたくさんいる。

そしてあなたと同じように僕も悩んでいる。

ただ、6年間の経験を経て僕が思うのは、そこに体力をかけたところでチームのパフォーマンスが向上することはあまりない、ということだ。

それよりは、前向きで向上心のある部下が伸び伸びと仕事ができるような環境を整備した方が良い。

例えそれがチームに1人しか存在しなくても。

僕はそんな風に考えている。

シーズンを戦い抜く

現在の雇用環境は流動的である。

会社の方針や景気の状況、その他諸々の要因によって、チームの人員構成には変化が生じる。

部下個人のライフプランの変化や家族の状況等々によって、転職を考えたり、産休に入ったり、介護で職場を離れたり、まあ本当に色々なことが生じる。

そんな中で、部下の育成に力を注ぐということに僕は懐疑的である。

もちろん、日々の仕事の中での指導やOJTは行うけれど、それ以上のことを敢えてやる必要はないのではないか、と僕は考えている。

どちらかというと、現有戦力を基に、そのシーズン(決算期)を何とか戦う、という考え方の方が僕はしっくりとくる。

シーズンが終われば、契約更改があって、移籍する選手もいるだろうし、引退する選手もいる。

新人が入ってきたり、助っ人外国人が出ていったりもする。

来シーズンのことはまた来シーズンに考えればいい。

そんな考えで僕はチームを運営している。

彼らには彼らの人生、僕には僕の人生がある

「メンバーの成長なくして高い成果は望めない」

それは事実である。

ただ、そこに欺瞞を感じるのも事実である。

どんなに素晴らしい環境を構築したとしても、どうしようもない部下、育たない部下、というのは存在する。

それはある種価値観の相違であって、それを無理やり矯正する必要はない、と僕は考えている。

彼(彼女)の人生は、彼(彼女)の人生である。

僕の人生ではない。

そのようなドライさも必要なのではないか、僕はそんな風に考えている。

タブーだし、たぶんそれを言っちゃあおしまいなのだろうけれど

僕はマネージャーであるけれど、彼らの親ではないし、あくまでも職務として指導や育成を行っているに過ぎない。

それ以上のことは僕の仕事の範疇ではない。

そういう言い方をすると、「なんて無責任な!」と青筋を立てる人がいるのだけれど、たぶんそういう人は現場のマネージャー業務をやったことがないのだろうと僕は思ってしまう。

もう少し強い言葉で言うなら、「じゃあお前がやってみろよ」ということになるのかもしれない。

会社はボランティア活動ではない

マネージャーの仕事は、成果を出すことである。

極論を言えば、部下を育てなくても成果が上がっていればいいのである。

もちろんこれは極論だ。

ただ、僕が思うのは、「育とう」という気持ちがない奴を「育てる」必要はない、ということである。

会社はボランティア活動ではないし、義務教育でもない。

あくまでも対価を生じる「仕事」である。

それを履き違えている人が多すぎるような気がしている。

「受け身」であることが常態化している人、誰かが何かをやってくれるまで待っているだけの人、全ての責任は外部にあると考える人、に成長はない。

厳しすぎるだろうか?

嫌われる前提で

もちろん現場において、僕がこういう言葉遣いをすることはない。

これはあくまでも「後ろ向きな部下ばかりで悩んでいる人」に向けてのメッセージである。

結論は簡単。

そういう部下に思い悩む必要はない。

それだけだ。

客観的に成果を見て、冷酷に厳しい評価を下せばいい。

世の中はそんなに甘いものではない、ということをわからせてやればいい。

嫌われたくない?

それならそういう部下がいることを甘受するしかない。

僕はそういう部下に好かれたいとは微塵も思わないし、その分伸びようと藻掻いている部下に力を注ぎたいと思っている。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

家族主義的な職業観に違和感を覚えることが時折あります。

年功序列・終身雇用であれば、家族主義的な会社形態というものには違和感はなかったのでしょうが、現代はもうそういう時代ではなくなってしまいました。

もう少し優しい(厳しい?)言い方をするのであれば、例え家族であっても義務はあるし、権利を主張する為には義務を履行する必要はあるよね、ということは最低限理解して欲しいなあ、と思うのですが、そう思うのはどうやら少数派のようです。

部下が後ろ向きであるのは、マネージャーに責任が全くないとは言いませんが、大部分はその部下の責任です。

そしてそのツケを払うのも彼(彼女)です。

お節介は必要だとは思いますが、その先は彼の人生です。

あまり気にせずに成果を上げることに注力していきましょう。