モブ社員? 普通じゃね?

モブ社員で構成されるチームで成果を出すこと

ブログに書くネタを探しながらネットを見ていたら、「モブ社員」なる言葉が出てきた。

これは「モブキャラ」という言葉からの派生で、「主要なキャラクター以外のその他大勢」的なニュアンスがそこにはあるようだ。

まあネット界隈でよくある「自虐的暗い笑い」のようなものなのだろう。

その記事の中では、危機を煽るような表現「あなたもモブ社員にならない為に!」みたいな感じであったのであるが、僕からすれば「大体の人はモブ社員(僕自身も含む)で、それがどうした?」という感じである。

もっと言うと、現代のサラリーマンはむしろ「モブの方が良いのでは?」とすら思うくらいである。

そしてマネージャーの仕事というのは、そんなモブ社員で構成されるチームでどうやって成果を出すか、ということに収斂される。

今日はそんな話をしてみようと思う。

会社の中で主要なポジションを占めるのは良いこと?

まず、この記事の書き手と僕が異なるのは、「会社の中で主要なポジションを占めるのは良いことである」という基本的な考え方にあるような気がする。

そういう意味ではこの記事の書き手の方は昭和世代なのだろうと思う(違ったら申し訳ない)。

スタープレイヤーとまでは言えなくても、会社で一目置かれるような存在になることは無条件で良いことであるという信憑がそこにはあるような気がする。

僕はそこに違和感を覚える。

会社に評価されることに重きを置かない方が良いのでは?

会社の中で評価されることは確かに望ましいことである。

ただ、それは他者の評価に過ぎないことは自覚しておく必要がある。

そして他者の評価というのは流転していくものであるということも。

大事なのは、自分が何に価値を置くかであって、必ずしも会社に評価されるかどうかに優先順位を置かない方が現代では有効である、と僕は考えている。

それは単純に出世というものが割に合わなくなってきているからである。

あまり好きな言葉ではないけれど、わかり易く言うなら「コスパが悪い」のである。

課長の仕事は部下次第

管理職になってつくづく思うのは、「自分の時間がない」「自分で仕事をコントロールしづらい」ということである。

これは部下の仕事の状況によって、マネージャーの仕事というのは左右されてしまう(それも流動的かつ突発的に)ものである、ということだ。

残業や休日出勤なんてのも、自分の意思というよりは部下状況次第で可変していく。

そしてそれが処遇(給与)と見合っているとは思えない。

そこが管理職になって辛いところである。

モブの方が力を付けやすいのでは?

何というか、「自分の能力を自分の力で伸ばすことが難しい環境」にあるような感じである。

もちろんそれこそが「マネジメント力」というものであって、それはそれなりに重要なことではあるのだけれど、そこに重きを置き過ぎると良くない、というのが今日の話となる。

そういう意味では「モブ」というのは自嘲気味に言うなら全然OKで(というか、それが正しい用法なのだろう)、今回の僕のように真面目に取り上げるのはちょっと違う、ということなのかもしれない。

そしてそこに現代的な風味を付け加えるなら、モブ社員の方が力をつけやすいむしろポジティブだよね、というのがここからの話となっていく。

会社は簡単に傾く

会社の中で一目置かれると、自尊心は満たされるけれど、行動が制約されていく。

昭和時代であれば、これが処遇とある程度見合っていて(歩調が揃っていて)、会社に身を捧げれば捧げるほど、それなりの見返りがある、という制度であったのだと思う。

年功序列型賃金制度・終身雇用、のように。

ただ、現代は違う。

会社は簡単に倒産する。

そこまで行かなくても、業況はすぐに悪化する。

それによってボーナスがカットされたり、出向を命じられたり、出勤が抑制されたりする。

これはコロナウイルスを持ち出すまでもなく、ビジネス環境がそうなったからである。

会社オリジナルの能力は危険ですらある

それに対して、働く個人も自己防衛を図らなければならない。

ポータブルスキルなんて言うと意識高い系みたいで気持ち悪いけれど、なんて言うか、「筋力」をつけておいた方がいいのである。

どこでも使える汎用的な力、というのはある種の幻想に近いものではあるけれど、とりあえずどんな競技をやるにしても基礎能力は求められるのとおんなじで、ビジネスマンとしての基礎体力は付けておくべきだと僕は思う。

そしてそれはモブ社員の方がやりやすい。

というか、その会社オリジナルの能力をつけると否が応でも出世してしまうので、あまり適応させ過ぎない方が良い、ということであるのだ。

評価するかしないかは会社が決めること

自社の評価基準に過剰適応し、その能力に特化し過ぎると、他では全然使えない、ということが起こり得る。

それよりは、自分の価値観の中で仕事を最大限行って、評価するしないは会社側に任せる、くらいのスタンスで臨む方がよっぽど良いと思う。

地力を高めておいて、副業なり、転職なりすればいい。

それが現代のビジネスマンの生き残り戦略であると思う。

会社はツールだ

会社というのは、1つのツールに過ぎない。

そこに依存し過ぎると痛い目を見る。

そんなモブ社員たちを束ねていくのが、現代のマネージャーの仕事なのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

大きな「成功」という物語がなくなってから、マネジメントの難易度は格段に上がっているような気がします。

みんな違う価値観を持ち、みんな違うキャリア観を持っています。

そんな中では、ヒーローになることにはあまり価値が置かれません。

むしろモブのまま、自分がいいと思える仕事をやっていった方がいいような気がします。

会社人間になり過ぎないように、働いていきましょう。