エッジを効かせる
マネジメントとは削減することだ
マネージャーには2種類いる。
エッジを効かせられる人とそうでない人だ。
このような二元論には注意した方がいいことは言うまでもないが、そんなことをぼんやりと思うことがあったので今日はそれを文章化してみようと思う。
いつも言うように、「マネジメントとは削減すること」であり、なぜ削減するのかと言えば、自分の戦略なり戦術を尖ったものにするためである。
もちろん自分のチームの戦力が充実していて、思い通りの運営ができるなら別だけれど、そうでない場合には、捨てるところは捨てなければならない。
そうやって意図的に凸凹を作っていく。
でも、エッジを効かせられない人は、「あれも大事」「これも大事」となってしまって、結局どれも中途半端な成果に終わることが多い。
今日はそんな話である。
何をそんなに恐れているのか?
僕は8年近くマネージャーをやっているけれど、その中で自分の長所だと思うのは、濃淡を明確に付けられる点にある、と思っている。
これは自分では当たり前のことだと思っていたのだけれど、後輩マネージャーの指導をしていたり、上司や同僚の話を聞いたりすると、思いのほか出来ないものなのだな、と気づくことになった種類のものである。
みんな理想を追いがち。
というか、捨てることで糾弾されることを恐れがち。
そんな風に感じることが多いのである。
毒にも薬にもならない結論なんていらない
何かを捨てるという行為は、痛みを伴う。
そして痛みに対して、日本社会は敏感である。
特に会社組織のようなところにいると、結果責任を明確にしたくないという意識が強烈に働いて、それも自分にその火の粉が降りかからないようにしたいという思いが溢れんばかりになって、「どれも満遍なくやろうね♡」みたいな、毒にも薬にもならない結論になることが多いような気がしている。
それができれば苦労はないのだ。
でも、できないなら、エッジを効かせるしかないのである。
この辺の「潔さ」みたいなものがないマネージャーがとても多い。
明確なメッセージを伝えられること
エッジを効かせることの効用は、メンバーに明確なメッセージを伝えられる、ということである。
リーダーはこれができるかできないかで、大きくその信頼度が変わる。
「覚悟を持っているかどうか」を、メンバーは値踏みしているのである。
その本気度、熱量みたいなものを的確な温度で伝えられる能力。
それがリーダーシップなのだろう。
リーダーシップを身に付ける簡単な方法
自分にリーダーシップが足りないな、と思う人は、是非ともこのエッジを効かせるということを意識してみて欲しい。
何かを捨てる、という勇気。
それがあれば、自然とそこにリーダーシップは生じる。
もちろん、それを捨てた意図も添えてメンバーに話す必要があることは言うまでもない。
これをせずに捨てることを言明すると(プロセスの開示はとても大事なことだ)、メンバーとの信頼関係が確立していない段階においては、「何もあいつはわかっていない…」という反応に繋がる可能性があるので要注意である。
取捨選択を行うのがマネジメント層の仕事
職位が上がれば上がるほど、具体的な仕事(例えば現場直結の)に携わる時間は減っていく。
その分、自分が関与しない仕事の量が増えていく。
その際に必要なことは、そこにいるメンバーが自分の意図に近いような動き方をしてくれることである。
それはチーム(や組織)の人数が少ないならコントロール可能であるが、多くなればなるほど難しくなっていく。
皆意思を持った人間だから。
そして人間というのは迷う生き物でもある。
だから何か選択肢があった時に、どちらを選ぶのかをチーム(組織)内で統一しておく必要がある。
どれもこれもできる人は別であるが、そうでない場合にはよりその重要性が増す。
その取捨選択を行うのがマネジメント層の仕事なのである。
そんなことを言っている場合か?
別にコトラー(競争地位の4類型)を持ち出すまでもなく、資源量が質も量も少ない組織はニッチを攻めるしかないのだ。
でも、往々にして、何がニッチなのかがわからない場合がある。
というか、ニッチを能動的に定める必要がある場合がある。
そうやって対象をフォーカスしていくことが重要なのだ。
こういうことを言うと、「じゃあ、捨てた他の分野はどうするんだ?」と言ってくる輩が必ず現れる。
言いたいことはよくわかる。
でも、「そんなこと言っている場合ではないだろう?」というのが僕の答えだ。
全方位的に成果が上がる状態だったら、現在のような状況にはなっていないはずなのである。
そうではないなら、尖った戦略を取るしかないのだ。
中小企業(特に小企業)が大企業と同じ戦略を取ったら玉砕するというのは誰にでも伝わる話なのに、チーム戦術となるとそうはならないのが僕には不思議ですらある。
綺麗なサッカーではなく泥臭いサッカーを。
勝ち点1を何とかもぎ取るイメージを。
そうやって戦っていくしかないのである。
尖ろう
僕はそう考えてマネジメントという仕事をやっている。
もちろんそれによって失うものもある。
たくさんある。
ノーペイン、ノーゲイン。
尖っていきましょう。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
凡庸なチームをちょっとマシなチームにする為に簡単な方法は、エッジを効かせることです。
でも、これができる人はそんなに多くありません。
だからこそ、これができれば相対的に優位な位置に立つことができます。
というか、単純にマネジメントという仕事が楽しくなってきます(相対的優位に立ってどうするのか?)。
キーワードは「尖り」です。
エッジを効かせていきましょう。