それっぽいこと言うなら言わない方がマシ
今回も同じような話です
以前、「言葉の質」についての話をした。
今回も似たような内容である。
だから、「また同じ話かよ!」と思う人はここで×ボタンを押して、他の何か有意義なことに時間を使った方がいい。
でも、一方で、何度も書くということはそれなりに意味があることなのだろうな、と思って下さる方は以下お付き合い頂けると幸いである。
それでは始めていこう。
「会議の場で発言しなければ、そこにいる意味がない」の誤認
コンサルファームが言っているのか、アメリカかぶれが広めているからなのか、僕にはよくわからないけれど、「会議の場で発言をしなければ、そこに存在している意味がない」という話を履き違えて、「何の意見も考えも持っていなけれど、とりあえず話をしなければならないから話をする」人が物凄く増えているような気がしている。
何の味もしない、小麦粉を薄く伸ばしたような話。
それを周囲も有難がって聞いているような風潮。
僕はそれにウンザリしている。
「せや!」じゃねえんだよ…
もちろん、先ほどの言説のように、会議の場においては何らかの発言をし、議論に価値を付与することは重要なことであると僕も思う。
でも、(当たり前の話であるが)その発言に価値がある必要がある。
ただ、一方で、議論に価値を付与する発言というのは、それなりに議論が煮詰まってきていたりすると、なかなか難しいのも事実である。
その時に、「そういえば会議が始まってから何もしゃべってないな。せや!」みたいな感じで話し始める奴の、内容が薄いこと薄いこと。
いいから黙って座ってろよ、と僕は思う。
折角議論が着地点を捉えようとしていたのに、そいつがダラダラと話し始めることで、また無駄な時間が過ぎていくことになるのだ。
長くなったという自覚があるなら、次回からは縮める努力をしろよ
これは何も会議だけにおける事象ではない。
できるだけ簡潔に、でもそれなりの内容を持った発言をすることは、ビジネスパーソンとして必要なスキルであるように思う。
でも、そんな概念など一切持ち合わせていないかのように、ダラダラダラダラ話す人が多過ぎて、本当に参ってしまう。
そして、そんな奴に限って、「ちょっと長くなってしまいましたが、以上です」みたいなことを語尾に加えやがる(そして次回も同じように長く話し、同じ語尾を付け加える)ので、本当にイライラしてしまう。
おっと、取り乱してしまった。
ただ、重要なことだと思うのだ。
ドライブしていく言葉と、そうでない言葉
僕は言葉には2種類あると思っている。
ドライブさせていく言葉と、そうでない言葉だ。
そして、僕たちマネージャーに必要なのは、前者である。
1on1など、部下と話をする場面において使うべきなのは、その場がドライブしていくような言葉である。
場がうねり、それまでには想像もしていなかった地点まで気づいたら来てしまっていた、というような感覚。
それを生じさせるのが対話の意味である。
言葉によってしか部下を動かすことはできない
それは1人だけでは成し得ないものである。
場に2人人間がいることによって、それぞれが発する言葉によって脳内の使っていない部分が触発され、結果予期せぬ方向に議論が展開していき、それなりの成果物が生じること。
単線でなく、竜巻のように議論が上昇していくようなイメージ。
もちろん、毎回毎回それが成功する訳ではない。
何回か(何十回か)に1回それができればいいのである。
でも、そのイメージを持っていない人には、絶対にそれができないのも事実である。
ただ言葉を発することだけに価値を置く人(というか価値すら置いていないのだろうけれど)にはそれは永遠にわからないだろう。
でも、マネージャーはこれができなければ務まらないのだ。
というのは、我々は言葉によって部下を動かすしか、自分たちが望むような成果の水準まで到達することができないからである。
到達できないような高みに行くには、うねりが必要だ
これをプレイングマネージャーやマイクロマネージャーはわかっていない。
自分が動いたり、部下を自分の思い通り管理したりすることでは達成できないような水準の成果を上げること。
その為には、部下との対話を行い、そこにうねりを生じさせなければならないのである。
それが自発性を生み、予想外の成果を生むことになるのだ。
言葉の価値を管理する
言葉の質を担保すること。
マネージャーの話は聞く価値があると思って貰えること。
その為には、自分で自分の言葉の価値の管理をしておかなければならない。
モノが溢れることによってその価値が下がるように、言葉も溢れるとその価値が下がる。
母親の小言のように、聞き流されてしまう。
言わなくてもわかることを、さも大事なことのように話すのはやめなよ。
同じことを、横文字に言い換えただけの言葉を発するのはやめなよ。
そんなものは時間の無駄だ。
あなたの言葉が部下に届かないのは、普段のあなたの言葉に価値がないと思われているからだ。
厳しい言い方にはなるが、本当にそうなのである。
部下に自発性がないのは、あなたの言葉に力がないからでは?
あなたが話し始めた瞬間、部下の目の色が変わるか、それともただ視線が下がるか。
自発性というのは、そのような日々の繰り返しの上に生じるものである。
あなたと会話をしたいと思われるか否か。
それによって何らかの望外の成果が得られるのではないかと思われるか否か。
そのような困難な作業を行うのが、我々マネージャーの仕事なのではないか?
厳しい話になった。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
発言は簡潔に。
僕はそう思っているのですが、どうも長々と話をするのが当世流のようです。
それでプレゼンスを発揮できているとでも?
僕にはよくわかりません。
というか、長い話でも濃さが担保されているならいいのですが、そうではなくただ話すこと、話していることに価値があると信じている人が相応にいて、本当にうんざりしています。
言葉を研ぎ澄ましていきましょう。