課長にはやっぱり当事者意識が必要だと思う
課長になる為に必要な条件とは?
課長になりたいが、現状その手前で足踏みしている部下から、「私が課長になる為には何が足りないのでしょうか?」という相談を受けた。
これは中々難しい質問で、立場が人を作るという言葉にもある通り、課長の要件(必要なもの)をその前の段階で(完全に)具備しておく必要などないのではないか(実際に無理だし)、と僕は考えている。
このことは、現状課長職として働いている人が課長の要件を満たしていない場合も多い(どうしようもない課長がたくさんいる)ということにも関係してくる。
身も蓋もない言い方をしてしまえば、「なってみなければ(向いているかどうかは)わからない」というのが正直なところで、課長になる際に必要な資質と問われても、「これだ!」と言えるものが果たしてあるのだろうか、と考え込んでしまった。
ただ、それでは折角僕に相談してくれた意味がないので、「当事者意識」が必要なのではないか、ということを話した。
自分のことだけを考えていればいいのがプレイヤーで、それ以外のことも考えなければならないのがマネージャーである。
そして、その際に、「我が事」として捉えられるか否かが結構重要なのではないかと僕は考えている。
実際に責任があるか否かはとりあえず置いておいて、自分に責任があると考えられること。
それが課長としては必要なのではないか?
今日はそんな話をしていこうと思っている。
それでは始めていこう。
プレイヤーとしては優秀だけど…
冒頭の質問者である部下に話を戻す。
僕は彼のことを優秀なプレイヤーであると認識している。
でも、課長に昇進させるべきかと問われるなら、「うーん…」と唸ってしまうのが実際のところである。
それはなぜか?
今日のテーマである当事者意識が少し足りないのではないか、というのがその理由である。
一見自分には関係ない物事を自分の責任として捉えられるか
当事者意識。
この言葉をもう少し具体化してみる。
AIによれば、物事や状況に対して「自分の責任」として捉え、主体的に取り組む心理状態、とのことである。
まあそうなのだ。
そして、僕なりにこの言葉に付け加えをするなら、「一見自分には関係ない」という言葉が重要であるように思う。
一見自分には関係ない物事や状況を「自分の責任」として捉え、主体的に取り組むことができるかどうか。
そこが課長としての重要な要素であると僕は考えている。
課長の前段階でも当事者意識は持てるはず
もちろん、冒頭にも書いたように、課長になる前から当事者意識を強く持つということは、現実的であるとは言えない。
プレイヤー、それも僕が属している営業という職種においては、他人のことなど顧みず、まずは自分の成果を上げることに邁進することが必要不可欠ではあるから。
でも、たとえそうであっても、当事者意識は持てるものだと僕は考えている。
仮にチームの成果が芳しくない時、そして、その際に自分の業績も不調である時、どのような振る舞いをするのが望ましいのか?
リーダーシップの発揮の方法は一様ではないにせよ、ここに当事者意識というものが立ち現れるような気がしている。
自分で成果を牽引しようとするのか、チームの他のメンバーを鼓舞するのか、色々なやり方はあるだろうけれど、少なくともその前段階として、そのような状態を自分事として捉えられるか否かが1つの分水嶺となる。
これができるかできないかでは、その後の動きの本気度も変わる。
そこが冒頭の彼には足りないような気がしている。
もっと言えば、それ以外の物事への感覚についても物足りなさが残る。
後輩社員がどのようなことで悩んでいるのか、そこにどのような手を差し伸べられるのか、また他部署との関係性はどうか、そこに当事者意識があるか、そんなことを僕は思う。
現職の課長でもそこまで出来ている人は多くはないが…
これは課長になってからのことを想像してみると、より理解しやすい概念であると思う。
彼が課長となり、チームの成果が芳しくないとする。
もしくは、もっとわかりやすく、部署や会社全体の業績が思わしくないとする。
その際に、どのような動きをすることができるのか?
ここを課長は問われるのではないか?
更に言えば、直接的には自チームとは関係ない他部署の問題に対しても、自分が手を貸すことができることはないのか、それによって全体が良くなる可能性があるのではないか、と考えられることが非常に重要であると僕は思う。
残念ながら、現存する課長の多くもこの水準には達していない。
だからこそ、組織が停滞しているような気もしている。
組織側の責任もある、きっと。
「自己責任」という言葉の蔓延。
営業も確かに、「自己責任」の仕事ではある。
そして、そのような「自己責任」の仕事の中で成果を上げてきた人たちは、自分に直接関係のないように見える物事に対する当事者意識が薄く、でも、一方で組織としてはそのような人たちを重用してきたようにも僕には思える。
短期的にはそれでいいのかもしれない。
自分(とその周辺)のことだけをやっていれば、わかりやすく成果が上がるから。
でも、きっとマネージャーとしてはそれでは厳しい。
そんなことを思うのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
当事者意識というのは現代ではあまり流行らないかもしれません。
でも、これがあるとないとでは、管理職としての信頼感が大きく異なります。
少なくとも、僕は当事者意識のない人といい仕事などできるはずがないと考えています。
ちょっとだけでも我が事だと捉えられるよう意識していきましょう。