部下のモチベーションの上げ方
メンタルコントロールこそがマネジメントの要諦だ
部下のメンタルコントロールが大事だ、と言っているマネジメント本に出合うことは稀だ。
それは単純に本にしづらいからだと思う。
このようにすれば部下のメンタルは向上しますよ、というような方程式はない。
そして曖昧な概念でもある。
どのような状態がメンタル的に優れているのか、というのは計量不可能で、それを読んだ人たちもどのように実践すればよいのかがわからないので、結果的にそのような種類の本が出版されることはない。
でも僕はそれがとても重要だと思っている。
もちろん超ハイレベルなチームにおいてはもっとスキルやら何やらが求められるのだろうけれど、僕がマネージャーになるようなレベルのチームにおいてはモチベーションを如何に保つか、が生死を分けると言っても過言ではない。
そして今のところ、それができるマネージャーはそう多くない。
裏返すなら、それができれば相対的に優位な戦いができる。
今日はそんな話だ。
あなたは自分開示をしていますか?
まず最初に簡単な質問を。
あなたはチームにおいて本心を曝け出しているだろうか?
もう少し質問の範囲を緩める。
あなたはチームにおいてできるだけ多く本心を曝け出すようにしているだろうか?
これが部下のモチベーションを上げられるかどうかの1つの手がかりとなる。
意味が分からない?
では説明をしていこう。
まずは自分から
営業の基本のキでもあるが、相手との距離を詰める為には、自己開示が必要だ。
まず自分から自分の内情を晒す。
すると、相手も同じくらい(もしくは少し少ないくらい)の自己を開示してくれる。
これを時間や場所を変えて繰り返していく。
すると徐々に相手との距離は近づいていく。
もちろん全てを曝け出す必要はない。
でも、少なくとも相手から「この人の考えていることはよくわからない」とは思われないくらいの距離感にまで近づけることは必要だ。
建前の時代は終わり、本音の時代が始まる
僕がブログ内でよく言っている「言行一致」というものの基礎はここから作られる。
一方で、世間的には「マネージャーは本心を曝け出すべきではない」というような風潮(?)がある。
マネージャーは管理者であって、そこには隠しておかなければならない情報があって、それを部下と共有することは望ましくない、というような考え方がある。
上意下達というか、情報の非対称性というか、とにかく上位者は下位者よりも情報を持っていてしかるべきである、というような考え方がある。
情報というのはある種権力の象徴(一形態)であって、それがあるかないかでその組織内における力関係がわかる、それは事実ではある。
でも僕から言わせたら、それはもう古い考え方だ。
情報を囲い込むことで、その権力性を主張しようとする、権威を生じさせようとするのは時代錯誤だ。
建前の時代は終わって、本音の時代になったのだ。
権威主義が終わって、実力主義が始まったのだ。
そいつが本物なのか偽物なのか、部下は常に上司を見ている。
口だけの奴なのか、本気なのか、それをいつも試している。
そのような社会情勢の中で、情報を囲い込むこと、感情を隠すことは、不信につながる。
「ごっこ遊び」の連鎖
マネージャーへの信頼がないチームにおいて、部下のモチベーションなんて上がるはずがない。
部下も同じように自己を開示することはないからだ。
仕事は「仕事っぽく」することが重要で、そこには「それっぽい」発言が求められて、「それっぽい」行動が求められるんでしょ? というような感じで部下は働く。
双方の「仕事ごっこ」が繰り広げられる。
僕からしたら、とても無駄な時間だ。
マネージャーはマネージャーらしく振舞わなければならないし、メンバーはメンバーらしく振舞わなければならない、そこには本音のやり取りなど不要である、それぞれが職責を全うすればよい。
個性など不要で、マシンのように感情を排して働けばよい。
そんな職場でモチベーションなんて上がるだろうか?
少なくとも僕は上がらない。
マネージャーのモチベーションが上がらない職場で、部下のモチベーションなんて上がるはずがないのだ。
自分の発言に真実性を付帯させる
僕は情報をできるだけ開示する。
それは生意気な言い方をすれば、僕には実力があると思っているからだ。
その情報がなくても、情報を隠さなくても、自分にはチームを纏められるだけの力があると思っているからだ。
権威を主張しなくても、自然と権威性が生じると思っているからだ。
そして僕は感情をできるだけ開示する。
嬉しい時は嬉しいというし、気に食わない時は気に食わないと言う。
そこには僕が上司だから気を遣って同調しろよ、みたいな気持ちは一切ない。
ただの感情の発露に過ぎない。
もちろん僕がマネージャーであるというその事実において、全くそこに権威主義や阿りがないとは言い切れないだろう。
でも日頃から自己開示をしているのであれば、そのくらいのことは部下もわかってくれる。
社会的立場みたいなところから発言しているのか、そうでないのかなんてものは少し臭いを嗅げばわかるものだ。
自分を守ろうとしているのか、そうでないのか、なんて一目瞭然だ。
そうやって自分の発言に真実性を付帯させていく。
そうすれば部下も自己防衛をやめて、本音で会話をしてくれるようになる。
本音で会話した内容をチーム内で活かすことができれば、部下のモチベーションは上がっていく。
そこには居場所があって、自分はチームにとって有用なのだ、ということを実感できるからだ。
僕は彼らと色々な話をしながら、チームを構築していく。
それが部下のモチベーションを上げる秘訣だ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
書いていて思ったことですが、コロナによって居酒屋談義が失われた現在においては、職場におけるこのような「本音ベース」の会話というものがより重要になったような気がしています。
もう少し多様性に配慮した発言にするのであれば、昭和時代においては同質性の高い集団(男性・新卒・正社員・日本人)に対して、居酒屋で本音を開示し合うことでそのモチベーションを高めていたのでしょうが、多様な職員がいる現在においてはそのような手法を使うことはできません。
ではどのようにモチベーションを高めるのか?
それは職場において「本音ベース」で会話をするしかありません。
本音で話ができるようにする為には、マネージャーに実力と覚悟と自信が必要です。
余計な見栄を取っ払って、本音で勝負していきましょう。