聞く姿勢を取ってもらう
人を動かす為には話を聞いてもらわなければならないという当たり前の事実
営業もマネジメントも「入り」が大事。
相手が外部の人間(営業)か内部の人間(マネジメント)かという違いはあるけれど、どちらも「人を動かす」仕事である。
そして「人を動かす」為には、まず話を聞いてもらわなければならない。
話を聞いてもらうためには、話を聞いてもらう姿勢を取ってもらわなければならない。
聞く意思がなければ、どんなにアクロバティックな話も、心に届くことはないのだ。
では話を聞いてもらう姿勢を取ってもらうためにはどうすればいいのか?
それが冒頭にも書いた「入り(フック)」である。
今日はそんな話をしていく。
序盤のペース配分がレースの勝敗を決める
営業とマネジメントでは時間軸が異なるので、どちらにもぴったりと当てはまるということではないけれど、「案件(営業)」と「任期(マネジメント)」を揃えると、何となく似通ってくるような気がする。
例えば、初期と中期と後期というものに、案件や任期を3分割するとする。
今回の話は、この例えで言う「初期」に当たる。
以前、「最初の3週間が肝心」というテーマでブログを書いたけれど、今回の話は「その後」の話となるとも言えるだろう。
もう少し言うと、スタートした後の序盤戦をどのように走るかが、レースの最終的な勝敗を分ける、ということになるのかもしれない。
序盤のペース配分が、レースの勝者を決める。
そんなイメージである。
成長曲線
これはようやく最近になってわかってきたことなのであるが、「急いては事を仕損じる」というか、あまり早い段階で成果を追い求めると、その後の伸びが鈍化する、ということがマネジメントにはよく起こる。
それは「無理が利かなくなる」からである、と僕は思っている。
マネージャーとメンバーの関係性が構築できていない段階で、性急に成果を出そうとすると、その短期間においてはいいのだけれど、その後の持続的な成長はなくなってしまう、それはメンバーがマネージャーを信頼しきれないから、というのが現段階における僕の答えである。
これは営業も同じで、商談の序盤において(「道幅が広い段階」と僕はよく表現する)、相手の話をよく聞いておかないと(そしてそのニーズに沿った話を展開していかないと)、その後どんなに頑張っても成約には至らない、ということに繋がってくる。
それは相手が聞く姿勢になっていないからである。
相手に聞く気がなければ、どんなことを話しても効果が薄れてしまう。
大事なのは「コンテンツ(中身)」ではなく、その「場の空気(関係性)」である。
相手が前のめりになるような空気感を如何に醸成するか、が勝敗を分けるのだ。
フックにより即席の信頼関係を構築する
では、その聞く姿勢を取ってもらうためにはどうすればいいのか?
それが「入り(フック)」である。
「入り(フック)」というのは、相手が「おっ」と思うようなこと、「この人の話は面白そう」というイメージ感を共有することである(フックというのは言葉通り、フックする(かける)ということを指す)。
即席の信頼関係、と言い換えてもいい。
もちろん、営業とマネジメントでは時間の尺度が異なるのだけれど、これが両者の間に構築できると、言葉が上滑ることが少なくなるのだ。
そして疑問に思ったことが、そのまま放置されることなく、率直な質問という形で出てくるようになる。
その質問が新たな展開を生む。
そしてそれが「対話」となる。
表面上の言葉のやり取りではなく、モノの本質に迫った対話がそこで行われるようになるのだ(それを僕は「場を構築する」と言ったりする)。
それができれば、営業もマネジメントも上手くいったも同然である。
時間軸の違いには注意しよう
ただ営業とマネジメントが違うのは、既述したように時間軸の長さである。
特にマネジメントにおいては、自身の関係構築の体感と、メンバーの体感は大きく異なるので、注意が必要である。
自分では「もうだいぶ関係性ができたな」と思っていたとしても、メンバーの側はそうではなく、イメージとしては倍くらいの時間がかかるものだと押さえておけばよいと思う。
僕の場合は大体3か月もあれば、それぞれのメンバーの人となりがわかって、それぞれに対するアプローチの仕方がわかるのだけれど、メンバーが僕を理解するのにはその倍の時間(6か月)がかかる、という感じである。
この下地(土台)ができると、成果というのが自ずとついてくるようになるし、ある程度負荷をかけても、きちんとメンバーがそれに応えてくれるようになる。
もちろんメンテナンス作業は必要ではあるが、基本的には巡航速度で飛び続けることができるようになるのだ。
「立場に従う」のと「人に従う」のは大きく異なる
多くのマネージャーが勘違いしているのは、「立場」に従っているのに、「人」に従っていると思い込む、ということである。
メンバーが愛想良くあなたに接してくるのは、あなたがその立場にいるからであって、あなた自身を信頼しているわけではないのだ。
そしてあなた自身を信頼するようになるためには、一定の期間と一定のステップを踏む必要がある。
それを待つことができた時、チームの「初期段階」は終了となる。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
同じ釜の飯を食う、ではないですが、信頼関係の構築には一定の共有時間数が必要です。
それは動かしようのない事実である、そんな風に僕は考えています。
もちろん、1on1を多めにやるなど、(RPGでいう)「バフ」をかけることで短縮することができない訳ではないのですが、やっぱり一定時間は必要だ、というのが現時点での僕の結論となります。
その期間においては、あまり拙速に動くのも考えものです。
焦る気持ちはわかりますが、そこからでも挽回は可能です。
圧倒的なスピードでまくっていきましょう。