静まり返る職場では成果は出ない

UnsplashErnie A. Stephensが撮影した写真

暗黙知の共有

静かな職場とそうでない職場ならどちらがいいですか?

こう聞くと、前者の方がいいと答える人が大半だと思う。

僕もそうだ。

出来るだけ静かな場所で仕事をしたいと思っている。

でも、成果というものに焦点を当てるなら、あまりにも静かな職場はよろしくないとも思っている。

もちろん、うるさ過ぎるのもどうかとは思うけれど、そこかしこで雑談が行われ、結果として少しざわざわしているという状態の方が、成果には繋がりやすいのである。

それはリアルで働くことのメリットが、「暗黙知の共有」であるからである。

同僚とのちょっとした会話、上司との何気ないやり取り、そんなことの繰り返しによって、暗黙知が共有化され、それを誰もが安価に使うことができることがリアルワークのメリットなのだ。

そういう意味においては、静まり返る職場ではこのメリットが活かされないということになる。

何だか書きたいことは全て書いてしまったような気がするけれど、取り敢えず始めていこう。

ざわついた職場環境の方が成果が出る

マネージャーになってから、いくつかのチームでマネジメントを行ってきた。

それらを振り返って考えると、ざわついた職場環境の方が成果が出ているな、ということに気づく。

もちろん、そのような状況を意図的に引き起こしていた訳ではない。

自然とそうなっただけではある。

でも、そのような環境こそが成果を出す為には必要なのだ。

図書館みたいに静かな職場

ここから逆のことを考えてみる。

静かな職場についてである。

過去の経験においても、そのような静かな職場で働いたことが僕にはある。

誰も何も言わない。

雑談がない。

冗談なんてもっての外である。

始めは僕も当惑したものである。

ここは図書館か?

私語厳禁なのか?

そんな風に思ったものである。

そこで部下に軽口を叩いてみたら、何だか嫌そうな顔をされたので、「ああ、ここはそういう場所なのか」と思ったものだ。

もちろん、そんなことはお構いなしに、僕はその後も下らない冗談を言い続け、職場の雰囲気は徐々に変わっていったのだけれど、それはまた別の話であって、今日はそんな静か過ぎる職場についての話であった。

雑談=無駄?

雑談を嫌う上司はそれなりの割合で存在する。

それは主に「効率的ではない」ことに起因するようだ。

「無駄話をしている暇があったら働け!」

それが彼(彼女)らの言い分のようである。

もちろん、言わんとしていることはわからなくはない。

永遠と無駄話をしていたら仕事にならないのは事実だろう。

でも、そのような無駄話を通して、僕たちは暗黙知を交換しているのである。

知をクラウドに載せる

時々、「雑談はコミュニケーションにおいて重要だからするべきだ」と言っている人に出会うけれど、それは間違ってはいないものの、雑談の効用はそんな次元に留まるものでもないと僕は考えている。

というのも、そのような雑談によって、僕たちは自分たちが持っているノウハウを言わばクラウド上に載せていることになるのである。

また、それは非言語的なので、形式化することがしづらい物事でもある。

それらが空気(雲)のように、職場の上空に浮かぶことになる。

僕たちは時にそれに手を伸ばし、その中にある暗黙知を使う。

そのコストは限りなくゼロに近い。

それがざわざわしている職場において成果が上がる理由である。

手間やコストを回避する

もちろん、自分で調べようと思えば調べることはできる。

ただ、そこには手間や時間などのコストがかかる

それを回避することができるのが、この暗黙知の共有化である。

気軽に話せること。ブレストできること。

それは意識するようなものではない。

ほんの些細な話ではある。

でも、「この分野の話はあの人が詳しいから、少し話をしてみるか」と気軽に思えることが重要なのだ。

そして、そこからちょっとしたブレインストーミングが始まる。

対話を行うことで、頭の中が整理されたり、新しいアイディアが思いついたりする

そのようなことが職場のあちこちで行われるとする。

そりゃ成果は上がるようになりますわな。

個人の仕事とチームの仕事

といっても、集中したい時だってある、そんな時に話し掛けられるのは煩わしい、それもよくわかる。

だから、そのような場合に使えるような個室は必要だとは思う。

そういう意味では、個人単位の仕事とチーム単位の仕事がそれぞれできるような場が必要である、ということが言えるのかもしれない。

ただ、それでも、時間の大半はチーム単位の仕事をする場に注がれるべきだと僕は考えている。

どうしても、という場合を除いて、誰かが近くにいるような環境の中で働く方が、自然とノウハウが共有されるようになるので、成果も上がりやすい、そのように思うのだ。

個室で働くのはNG

これはマネージャーも同様で、個室で働くと誰も声を掛けてこなくなるけれど、皆がいるデスクで働いていると勝手に声がかかるようになるので、その方がお勧めである。

もちろん僕だって集中したい時はある。

マネージャーは常に気を逸らされるので、時には籠りたい、それもよくわかる。

でも、それをグッと堪えて、ざわざわした環境で今日も働くのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「集中する」ならリアルワークで働く意味はあまりないように感じています。

近くに同僚がいるから、そこでちょっとした話ができるから、同じ職場で働く意味が生まれます。

たくさん雑談をしていきましょう。