「何をやるか」よりも「どうやるか」が重要
WhatよりもHow
今日の話はタイトルの通りで、「何をやるか」を考えられる人は多いけれど、「どうやるか」まで考えられる人は少ない、でも後者の方が(圧倒的に)重要である、と僕は考えている。
例えば、何らかの指標(ここではKPIとしよう)があって、その目標を達成させなければならないとする。
でも、メンバーはあまり育っていないし、意欲もない、結果的に現状のまま進んで行くと、達成は困難である、とする。
その場合、マネージャーはどのように部下に指示をすべきなのか?
僕から見える多くのマネージャーは、結局のところ「根性(気合い・気持ちなどなんでもいい)で頑張れ!」と言っているに過ぎない。
真顔で「ではどのようにやるのですか?」と問われた時に、答えを返せるだけの理論的根拠やイメージを持っていないことが殆どである。
そしてこの傾向は現場から離れれば離れるほど強くなる。
今日はそんな話をしていく。
「逆算の思考」を持っている部下は殆どいない
「何をやるか」で動く部下は放っておいても勝手に動いてくれるものである。
目標をやり遂げるための道筋を自分なりに考え、効率的に仕事に励もうとする。
要は、「逆算の思考」を持っているのだ。
でも、多くのメンバーはそうではない。
成果が上がっていないメンバーは、このような思考様式を持っていないことが殆どである。
そんな状態の時に、「やれ!」と言ったところで、「やる」訳がない。
悲しい(でもリアルな)現実
たぶん、昭和の時代であれば、それは通用したのだろう。
でも令和には通用しない。
具体的にどのようにやるかを説明してあげなければならないのである。
何をそんな甘っちょろいことを、そう思う方もおられると思う。
僕だってその気持ちはわからないでもない。
仕事というのは主体的に考え、自分なりの解決策を構築し、その仮説に基づいて行動を行い、結果を検証し、アップデートしていく過程が面白いのであって、それを手取り足取り教えてもらうなんて社会人失格である、その気持ちはよくわかる。
でも、残念ながら多くの部下はそのレベルまで達することはない。
それが悲しい現実である。
できない部下と働く
マネージャーがプレイヤー時代と違うのは、このような「できない部下」と協働して大きな目標をやり遂げなければならない点である。
もちろん、チームの規模が小さければ、プレイングマネージャー的に動いて、自分でできない部下の分もやってしまう、というやり方もアリではある(消極的選択ではあるが)。
でも、規模が大きくなると、流石にマネージャーの頑張りだけでは埋められないほど目標が大きくなってしまう。
だから、何度も言っている話であるが、部下を使えるようにするしかないのである。
そうは言っても、一朝一夕で明日から「できる部下」になる訳がない。
今日も明日も来月も、もしかしたらその決算年度はずっと「できない部下」のままかもしれない。
それでもマネージャーは数字をやり遂げなければならないのだ。
無理と根性の乖離を埋めるには?
ではどのようにするのか?
それが今回のテーマである「どうやるか」を具体的に説明することである。
これは思いのほか難しい。
目標値の水準にもよるが、当社の場合、目標値自体がやや現実離れしているくらい高いことが殆どなので、真正面から説明すると、「無理っす…」となってしまいがちだからである。
だからと言って、上記したように根性だけでは何にもならない。
この乖離を少しでも埋めていくのがマネージャーの仕事なのである(もちろん目標は必達であるという建前は崩してはならない)。
小さく分解する
では、「どうやるか」を具体的に説明するのはどうやればいいのか?
やや感覚的なものにはなるけれど、パーツを小さくブレイクダウンする、というのが僕のやり方である。
成果が上がらないメンバーと話をしていて感じるのは、やることが不明確で散漫になりがちである、ということである。
努力をしていないことはないのだけれど、なぜ努力をしているのかについての自覚はなく、その方向性もバラバラである。
なので、それを絞ってやる。
小さな目標にしてしまう。
それが大事なことである。
ワクワクさせる
例えば営業において、成果を出す、という言葉は漠然としている。
これを小さなパーツにすると、現在の市場環境だと、たぶんこういうニーズが想定されるから(仮説)、そういう先を抽出して、そこにその話をしに行って欲しい(実験)、ということになる。
もちろん、その仮説について、部下が腹落ちしていることが前提である。
ここはマネージャーの腕の見せ所で、まずはそのメンバーに「いけそう!」と思わせなければならない。
そしてその仮説の共有ができたら、じゃあその対象ってどのくらいあるのかな、という方向に持っていく。
これが上手くできると、「ワクワク感」が生まれてくる。
ちょっと話してみたい、という感じになってくる。
こうなれば、しめたものである。
結果は関係ない
正直なところ、成果はどうだっていい。
成約にならなくて全然構わない。
考え方のベースを伝えることが重要なのだ。
それを繰り返していく。
それが具体策の提示である。
それができれば、徐々にではあるけれど、成果も上がってくるはずだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
マネージャーになってから、なぜ自分がマネージャーになれたかがわかったような気がします。
大半の人は、考えることなく仕事をしている。
(だいぶ偉そうですが)それが僕には衝撃的な事実でした。
ただ、いざマネージャーになると、そういう人達と仕事をしながら成果を上げなければなりません。
それには「言語化」が必要です。
できる人が感覚でやってしまっている部分を砕いて、わかりやすい言葉に変える作業。
これをサボってはいけないですし、それも高い精度で行わなければなりません。
気が滅入る作業ではありますが、地道に続けていきましょう。